収穫後に倉庫に保管していたコメが、台風による浸水で出荷できなくなったと、今朝のNHKのニュースで伝えていました。下にそれを引用します。
このニュースの中で、「収穫前の米は保険で補償できるが、収穫後の米は補償の対象外」とあったので、どういう保険なのか調べてみました。
おそらく、この保険は「農業保険法」という法律に基づく農業共済制度を指しているのだと思います。
この共済は、対象品目が、自然災害や病虫害、鳥獣害等によって収穫量等が減少したときに、その損失を補填するものなのです。
保険や共済には、責任期間とか補償期間と呼ばれる「事故がその期間内に起きたものであれば支払う」という期間があります。
農業共済の中で水稲についての責任期間は「本田移植期から収穫するに至るまでの期間」なので、収穫後の米は責任対象外になるのですね。
畜産、畑作、果樹それぞれで責任期間が異なります
とすると、台風シーズンの稲刈り時期が数日前後するだけで、共済の補償が受けられるか受けられないかの違いが生じることになります。「隣の田んぼは稲刈り前だから共済金が下りたけど、ウチは稲刈り終わって倉庫に保管してたから下りなかった」みたいなことが起きるのです。
台風をはじめとした自然災害が多発する昨今の状況もあるし、上記のように共済制度による補償には限界があるため、農林水産省は収入保険の整備を進めたのでしょう。
農業保険法による収入保険は、自然災害や価格低下などの、経営努力では避けられない収入減少を補償するものです。(これは確定申告後に補填されます。)
だから農業共済より補償範囲が広いと思われます。しかもつなぎ融資も受けられる。
ただし、所得税の青色申告をしていることが条件になっていることは注意が必要です。
他に、農業用ハウスの損害を補償する園芸施設共済や、農機具の損害を補償する農機具共済など、自然災害リスクに対応する共済制度もあります。(まだ詳しくは調べておりませんので悪しからず)
今回のように広範囲に、多数の方が被災されると、支払われる共済金が減額されるかもしれませんが、それでもこうした共済に加入しておくことは被災後の一歩を踏み出しやすくするかもしれません。
農業は自然災害を受けやすい一方で、人々の生活にとって重要な営みです。
ぜひ、少しでも自然災害による収入のダメージを減らし、美味しい農産物を提供していただきたい。そう切に願っています。