これから、自分で事業を始めようとお考えの方。
どのような仕事をするにしても、いくつか準備をした方が良いことがあります。
ここでは、その代表的なものを挙げてみるので参考になさってください。
Table of Contents
1.事業用の預金口座とクレジットカード
プライベート用の銀行口座とは別に、事業用の預金口座を作りましょう。
その理由は、事業のお金の流れを把握することが大きいのですが、他にもいろいろあります。
こちらのサイトに私の思い付きを書いたのでご参考になさってください。⇒ Sawada|note
口座名義は屋号付きのものでも、屋号が無くてもかまいません。
代金を振り込んでもらったり、融資してもらったお金を管理する場合には、どちらかといえば、屋号付きの口座の方が信頼を得やすいかもしれません。
また、将来、法人化を考えていらっしゃる場合にも屋号付き口座の方が良いかもしれません。
※法人名義の口座を作る時に、事業実績の証拠としての利用できるかも?
併せて、事業用のクレジットカードまたはデビットカードを作っておいた方が良いと思います。
私自身はクレジットカード決済用の事業用の口座を、メインの口座とは別に作って利用しています。
※引落時の口座の残高には御注意ください!
屋号入り口座を作る時
個人事業の場合、屋号だけの口座ができる金融機関があるかどうか、私にはわかりません。
おそらくは「屋号+氏名」の口座名義になると思います。
いずれにしても、屋号入りの口座を開設するには、氏名だけの口座とは異なる書類が必要になります。
必要書類は金融機関によって違います。ですから、事前に金融機関に確認してみてください。
ただ、税務署に提出した開業届(税務署の収受印のあるもの)の提出を求める金融機関が多いようです。
※開業後数年してからの場合は、確定申告書の写しを提出する場合もあります。
2.その事業は国や自治体に許可又は届出が必要?
始めようとする事業によっては、国や自治体に許可の申請又は届出が必要な場合があります。
その際に資格や経歴、その他の条件が必要になることが多いので、事前に必ず調べておきましょう。
例えば、飲食業や八百屋のような食品を扱う事業の場合は、保健所に営業許可の申請をするか、または届出が必要になります。
営業許可であれ営業の届出でも、食品衛生責任者が必要になります。調理師や栄養士の資格があればいいのですが、そういう資格が無い場合には食品衛生責任者養成講習会を受講しなければなりません。
飲食関係の仕事は一例ですが、業種によって必要になる準備は様々です。
しっかり情報収集をしておきましょう。
※営業許可等の情報は、行政書士に相談すると良いでしょう。
3.屋号を考える。
屋号入りの口座を作るか否かに関わらず、せっかくですから屋号を作ってみたらいかがでしょうか?
屋号と言うのは、お店の名前。あるいは会社名のようなものです。
御自身の名前だけで仕事をされてる方も多いですが、名刺に付けるタイトルのような感覚で作ってみてもいいのではないでしょうか?
特に、事業の法人化を考えていらっしゃる方は、屋号があった方が便利です。個人事業から法人への連続性をお客様に理解していただきやすいと思います。
個人事業であっても屋号を商号として法務局に登記することもできます。もちろん登記しなくてもかまいません。
屋号を考える時に気をつけたいこと
有名ブランドやキャラクターの名前などを利用するのは避けましょう。
不正競争防止法等に抵触するかもしれないからです。
近隣に似たような屋号や商号で事業が行われていないかどうかも、念のため調べてみましょう。
もし、同じ住所地に同じ商号の法人が営業していたら、その屋号を使用するのは止めましょう。
また、屋号に「~会社」とか「~法人」のように法人と誤解してしまうような言葉を使用してはいけません。
4.開業届を出す。
個人事業を始める時に、絶対にすべきは開業届を出すことです。
※個人事業をしていた方から事業を引き継いだ時も開業届を出しましょう!
(1)税務署に事業開始等申告書
まず、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出しましょう。
管轄する税務署はこちらでお調べください。⇒税務署の所在地などを知りたい方|国税庁 (nta.go.jp)
届出書の用紙は税務署か、国税庁のHPで入手できます。
届出書を提出したら、控に収受印をもらって保管しましょう。
※屋号付きの預金口座を作る時に、税務署の収受印のある開業届の控が必要になる場合があります。
(2)都道府県の税関係部署に個人事業開業・廃止等届
税務署の他に、都道府県の税関係の部署に個人事業の開業・廃止等の届出も提出します。
5.税務署に青色申告承認申請書を提出する。
個人事業主・フリーランスにとって、所得税の確定申告は重要な手続です。
確定申告には白色と青色の2つの方法がありますが、特別な理由がなければ、私は青色申告を強くお勧めします。
その理由は2つ。
特別控除が最大65万円と、白色にはないメリットがあることが1つ。もう1つが年間の収支が赤字になった場合には3年間繰り越せることにあります。
「青色申告をするためには簿記の知識が必要なのでは?」と躊躇されるかもしれません。
でも、日々の記帳に限定して言えば、現在流通している会計ソフト(青色申告用ソフト)やオンラインの会計サービスを使用すれば、それほど難しい知識は必要ありません。
ただ、開業した年の確定申告や、特別なことがあった年には(法人を設立した時とか、事業用の資産等を売却した時など)、税理士に相談された方が良いと思います。
※確定申告時の税理士は非常に忙しいと聞きます。ですから、はじめて税理士に相談する場合には、11月とか12月といった少し早めの時期にした方が良いと思います。
会計・税金の基礎知識
先に、「日々の記帳に限定して言えば、会計ソフト等を使用すれば、それほど難しい知識は必要ありません」と書きました。
でも、売掛金とか買掛金のような会計の基本になる言葉は知っておいた方が良いと思います。
また、青色申告をするためには複式簿記で記帳する必要があります。
書店の資格コーナーには、簿記3級から1級までの簿記検定の教科書や問題集があります。これらは複式簿記のための資格ですね。
これを見ると、なんだかとても難しい感じがしますが、とりあえず3級の教科書をさらっと見てみてください。覚えようとしなくてもかまいません。ただ会計の言葉の意味とか、「仕訳」についてなんとなくわかればOKでしょう。
あるいは個人事業の開業や会計についての入門書を開いてみるのお勧めです。
これらのことは、できれば開業前にやっておくこと。そして、開業後に会計ソフトを使って入力する時にもう一度、これらの本を開いてみると最初に読んだ時よりも理解できるはずです。
マイナンバーカードを取得しましょう!
青色申告の特別控除を最大限に活かすために、eーTaxを利用しましょう。eーTaxとは、大雑把に言えば、オンラインで行う確定申告のこと。
※e-Taxには所得税の確定申告以外の手続にも利用できるようです。
会計ソフト等を利用していると、eーTaxでの確定申告も簡単にできます。
そのためにマイナンバーカードと電子証明書が必要です。
ですから、マイナンバーカードが無い方は、あらかじめ取得しておいた方が良いでしょう。
※マイナンバーカードの交付には申請から1か月程度の期間を見込んでおく必要があります。
マイナンバーカードについては、マイナンバーカード総合サイトを御覧ください。
なお、電子証明書の取得にはアルファベットと数字によるパスワードも必要になります。あらかじめ御準備を!
6.国民年金と国民健康保険の手続きも忘れずに!
会社員や公務員を辞めて個人事業を開始する時、あるいは専業主婦が事業を始める時には国民年金と国民健康保険の加入手続きも必要です。
市区町村の役場に行って手続をしてください。
国民健康保険
会社員等が国民健康保険に加入する場合には、前の健康保険の資格喪失証明書とマイナンバーが分かる書類が必要になるのでお忘れなく!
また、国民健康保険は世帯単位で加入します(国民健康保険証は1人1枚)。保険料等は世帯ごとに支払う事にも御留意ください。
国民年金
本人確認書類と、マイナンバーがわかる書類が必要です。マイナンバーカードがあればこれ1枚で済みます。
その他に、年金手帳か基礎年金番号通知書もお持ちください。
会社員等を辞めて起業する場合には、退職の日がわかるものもあると良いでしょう。
7.名刺と事業用の印鑑
屋号や事務所または店舗、事業に使う電話番号やメールアドレスが決まったら、名刺を作りましょう。
澤田の場合
もう何年も前の話。
学校の教員を辞めて塾を作ったときのことです。
「とりあえず名刺を作ろう!」と思い立ったのですが、お金を節約もしたかった。そこで、エクセルと、市販の名刺ラベルを使って自分で名刺を作りました。
当時は自分で「なかなか良いじゃない♥」と自画自賛していたのです。
でも、営業に来る教材会社の人とか、新聞広告を頼んだ代理店の人とかと名刺交換するとき、なんだか恥ずかしい気持ちにもなりましたね。
書家とかデザイナーとかのセンスのある人の手作りならまだしも、そういう美的センスに自信のない人はデザインだけでも誰かに依頼した方が良いですよ。
印鑑について
現在、多くの行政手続きで印鑑は不要になっています。
しかし、市町村への申請では、印鑑が必要なことも見かけます。
また、請求書や領収書を発行する時や契約書類など、民間同士の書類では押印が求められることは今も多いです。(というより、印のない署名だけの文書への違和感とか不安感があると言った方が良いかもしれません)
という訳で、印鑑はあった方が良いでしょう。
※朱肉をつけて使う印鑑であって、スタンプ(商品名〇〇ハタ)は使用不可の場合が多いです。
預金口座とは違い、個人事業ではプライベートで使っている印鑑をそのまま事業に使っても特に問題になることはないと思います。
でも「公私のケジメをつける」という面から、事業用の印鑑があっても良いかもしれません。