戸籍謄本等と相続一覧図

相続が発生した時に、最初にするのが戸籍謄本等の収集です。

やってみると意外と簡単でもありますが、時には大変な時間と労力がかかることもあります。また、思いのほか、お金もかかります。

ここでは相続発生時の戸籍謄本等の取得に関わる情報を、かいつまんで御紹介します。

※イラストはすべて、「かわいいフリー素材集 いらすとや」から

1. 戸籍謄本等の請求

相続手続に必要な戸籍謄本等は、「亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの連続する戸籍」です。

取得の目的は、法定相続人の確認あるいは証明のためです。

「亡くなるまでの戸籍」というのは、取得した戸籍謄本に「その方の死亡年月日が記載されている戸籍」ということです。

戸籍に亡くなったことが記載されるのは、死亡届を提出してから1週間程度はかかると思います。

したがって、戸籍を集め始めるのは、お亡くなりになってから1週間以上経ってからです。

注意したいのは、次の2点です。

① 抜け落ちている戸籍謄本等がないか?

② 生まれた時の事が記載されている戸籍謄本等か?

昭和30年頃以前の戸籍謄本等は、現在の戸籍と記載の仕方が少し違っていて、読取りが難しくなります。結婚して別の戸籍に入籍した後、離婚して復籍した場合には、同じ戸籍に同じ人が何か所かに記載されていたりします。

また、戸籍に生年月日が書いてあるからと言って、それが「出生時の戸籍」ではないかもしれません。

以上の事がらを見落とさないようにするためにも、次の項のように戸籍謄本等を注意深く読む必要があります。

2. 戸籍謄本等のチェック

下の画像は「戸籍抄本」です。正式には戸籍個人事項証明書と言います(画像の右上部分を御覧ください)。

相続手続では戸籍謄本あるいは戸籍全部事項証明書を取得しますが、違いは戸籍に記載されている全ての人の記録か、1人の事についてだけの証明書なのかの違いです。

戸籍を取得したり見たりする場合のチェック事項は、概ね同じだと思いますのでここでは私の手元にあった私の戸籍抄本で見てます。

(1) 戸籍は、本籍地と筆頭者で検索する。

戸籍謄本等をとる時には、本籍地と筆頭者で検索します。

筆頭者というのは、文字の通り、戸籍の一番初めに書かれている人のことです。

ちなみに日本人の氏名の姓の部分は、戸籍筆頭者の姓になります。

(2) 見落としてはならない戸籍事項

 上の写真では戸籍事項の欄に、改製日と改製事由が書かれています。その意味は、写真の戸籍が作られた日付と理由です。写真の場合は「コンピュータで戸籍を管理するようになった法務省令にしたがって、新しく作られた戸籍」という理由です。

 ということは、この戸籍の基になった戸籍があるはずです。それが「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」と言われるものです。

 写真のような内容の他に、この戸籍事項には「~から転籍」とか「~のため新編製」など様々な情報が書かれます。

 この情報と、戸籍が必要な人の身分事項をよく見比べて、他の戸籍の取得の必要性を判断します。

(3) 父と母、生年月日

 写真は私の分しか書かれていない戸籍抄本ですが、全員分の証明書である戸籍謄本(あるいは全部事項証明書)には、その戸籍に入っている1人1人に父と母、生年月日が記載されています。

 父または母のどちらか一人でも同じ人が親になっている人は、異父兄弟姉妹あるいは異母兄弟姉妹として相続の可能性があります(亡くなった方に子も親もいない場合は兄弟姉妹に相続権があります)。

 逆に、再婚した場合に、再婚相手の子供が同じ家に住んでいるのに戸籍に記載されていない場合もあります。こうした時には法的な親子になっていない可能性があるので、専門家に相談してみると良いでしょう。

 生年月日と戸籍事項欄に書かれている本戸籍編製の年月日を見比べることで、「どこまで遡って戸籍を取得するのか」がわかります。

(4) 身分事項

 現在のコンピュータ化された戸籍なら、この身分事項に「死亡年月日」が記載されています。

 死亡以外の理由で「除籍」と書かれていたら、「その戸籍の次の戸籍」を取得します。

また、婚姻などの事実が書かれている所に記載されている「従前戸籍」を読み取ることで、「その戸籍の前の戸籍」が取得できます。

 なお、古い戸籍の場合、この身分事項に書かれている内容は、1人1人の名前の上に文章で記載されています。この部分を丁寧に読み込みましょう。

3. 相続一覧図

 今、多くの方が法務局のサービスである「法定相続情報証明制度」を利用して、相続手続を行っています。

 このサービスを利用することで、金融機関などに戸籍謄本の束の代わりに法定相続情報一覧図の写しを提出すれば良くなり、大変便利です。

 法定相続情報証明制度を利用する場合には、亡くなった方の戸籍謄本などの他に、家系図のような図を添付します。

 相続財産が預金口座1つと持ち家程度なら、法定相続情報証明制度を利用する必要性は低いと思います。

 ただ、この場合でも相続登記の時に家系図のような相続関係図を添付することがあります。

 こうした手続きに使う家系図には書き方があります。御自身で作成する場合には、あらかじめ調べてから作成しましょう。

4. 報酬 や 料金

 当事務所では、戸籍謄本等の収集だけの御依頼でもお引き受けいたします。

 相続手続のように「戸籍が必要な理由」が一般的に分かりやすい場合は問題なくお引受けできます。でも、例えば、家系図の作成だとかNHK番組の「ファミリーヒストリー」のような目的のために戸籍を収集する場合には、依頼者の委任状だけでは欲しい戸籍が取得できないこともあります。

 戸籍収集の目的によっては御依頼をお断りすることもありますので、この点、あらかじめ御了解ください。

 なお、当事務所では、戸籍等の請求をお引受けする場合には、原則として依頼者様から委任状と、依頼者様本人確認書類のコピーと依頼者様の現在戸籍謄本をいただいております。これらを使用して、市区町村に戸籍請求を行うためです。

(1) 戸籍謄本等の請求にかかる報酬や料金

当事務所の報酬分 実費のご負担
項目 報酬額 実費の内容 料金

基本料金

※最低料金です。

※前払いでお願いします。

10,000円 戸籍謄本 450円

追加料金

※3請求を越える場合に1請求毎に加算いたします。

※後払いになります。

3,000円

改正原戸籍

除籍謄本

750円

半日出張

※仙台市は無料です。

7,000円

戸籍の附票

住民票

住民票の除票

300円

1日(日帰り)出張

14,000円

定額小為替発行手数料

※郵送請求の場合

1枚200円
交通費 見積書をお出しします。

送料(往復分)

※郵送請求の場合に、レターパックを利用します。

740円~

★ 仙台市以外の市町村に戸籍謄本等を請求する場合には、原則として郵送で請求いたします。

★ 急ぎ戸籍謄本等を取得する必要がある場合に、出張料金と交通費を御請求いたします。

金額の計算例

【戸籍謄本等の例】

Aさんが亡くなった時の本籍地が仙台市で、筆頭者がBさん(Bさんは存命)。その前は旧宮城町に本籍地があった。旧宮城町には結婚を機に入籍。結婚前は岩手県盛岡市に亡父を筆頭者とする戸籍だったが、この戸籍に記載されていた人は全員亡くなっている。亡父は結婚当時は岩手県岩泉町を本籍地としていたが、仕事の都合で盛岡市に転籍している。Aさんは岩泉町で出生していた。

戸籍謄本は仙台市以外はすべて郵送請求している。

【計算】

仙台市で2請求(仙台市と旧宮城町の分)。盛岡市と岩泉町にそれぞれ戸籍請求をするので、合計で4請求になると思われます。

当事務所の報酬分 実費 備考
基本料金 10,000円 戸籍謄本 450円  

改正原戸籍

除籍謄本

750円×3通

 =2,250円

 

追加料金

 

3,000円

定額小為替発行手数料

200円×2

=400円

盛岡市と岩泉町の郵送請求分

送料

740円×2

=1,480円

合計 13,000円 合計 4,580円  

(2) 家系図等

項目 報酬額 備考
法定相続一覧図 基本料金 14,000円  
1ページ増えるごとの加算額 5,000円ずつ加算 1ページで表現できる場合には加算されません。
その他家系図 基本料金 30,000円 3代(祖父・父母・子)までで、父母に離婚・再婚歴等がない場合
追加料金 要相談