健康寿命と平均寿命から

 昨日は行政書士会の研修で「相続・民事信託」をテーマにした講義を聴講しながら、改めて「長寿命になったことのリスク」について考えてしまいました。

 報道等で「健康寿命」という言葉を聞いた記憶のある方は大勢いらっしゃると思いますが、大雑把にまとめたいと思います。

 今年3月に、厚生労働省の「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」が報告書をまとめ、発表しております。それによると、健康寿命というのは次の2つの指標と介護保険のデータを利用した指標の3つを用いているらしいです。

  • 国民生活基礎調査で「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問に「ない」と答えた人の割合を用いた指標
  • 国民生活基礎調査で「あなたの現在の健康状態はいかがですか」という質問に「よい」「まあよい」「ふつう」と答えた人の割合も用いた指標
  • 介護保険で「要介護2以上になるまでの期間」の平均

※要介護1

  歩行や立ち上がりに何らかの支えが必要。認知機能としては、混乱や理解低下が見られる。排せつや食事はほとんど自分ひとりでできる。

※要介護2

 排せつや食事に何らかの介助を必要とする以外は、要介護1と同様。

次に、2010年からの平均寿命と健康寿命の推移を見てみます。資料は同じく「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」の報告書からです。

この表からすると、ここ数年は平均寿命と健康寿命の差は、男女とも縮まってはいるものの、男性で約9年、女性で約12年の開きがあるということです。先ほどの健康寿命の指標から考えると、晩年の9~12年位は医療または介護サービスを受けながら生活する方が多数になると思われます。

ちなみに私が誕生した頃。今から約55年ほど前の平均寿命は男性67.74歳、女性は72.94歳であり、現在の健康寿命にも至っていなかったのですね。(厚生労働省HP「平成29年簡易生命表の概況」から)

現在、私の周囲の70歳台の方々は、まだまだ元気いっぱいです。一方で相続の心配をされておられる方も多い。

ただ、上記の表からすると、相続の前に、御自身や配偶者が、介護が必要になった時のことも考えた方がよいでしょう。

ちなみに、その時に、どなたが、その御高齢の方々の生活を支えるのでしょう?

そのことも含めて、70歳くらいまでには、晩年の10年近くの生活を考え準備を始めた方がよい、と言えるかもしれません。

植物観察と防災

数年前は、年に数回、泉ヶ岳や七ツ森に出かけて山歩きを楽しんでおりました。最近はタイミングがあわなくて少し遠のいているのが残念ですけど。

山歩きで私が楽しいと思ったのは、行くたびに植物が変化していることでした。芽吹いていたり、花が咲いたり紅葉していたり。

御存知の通り、植物はその種類ごとに好む環境が異なります。

日光を好む植物もあれば、日影がいいものもある。池や川の近くのように水際に育つものもあれば、乾燥に強いものもある。

先日、ブラタモリで阿蘇を取り上げていました。阿蘇の外輪山では、毎年、野焼きをして、樹木が育たないようにしているそうです。そうして育った植物を伐採し、田畑に撒いているのだとか。

秋吉台のススキも有名ですが、ススキ野原を放置すれば、やがてアカマツやシラカンバなどの樹木が育ってくるそうです。

アカマツやシラカンバ、ヤナギなどは樹木の中でパイオニア(先駆)的な存在だそうです。先ほど触れたように、周りに木が生えていない環境に、真っ先に育つ種類。ですから、これらの樹木が植樹したわけでもないのに「アカマツ林」のように、ちょっとした群生状態になっていたら、そこは次のような理由で、何年か前に樹木がなくなった可能性を示しています。

  • 人がその土地一帯を利用するために(家を建てる、耕作する等)、樹木を伐採した。
  • 噴火や山火事で焼き払われた。
  • 土石流、土砂崩れ、雪崩、その他の自然災害に見舞われた。

もし、住まいや事業用の「いい土地がある」という情報を得て見に行ったら、アカマツが生えていた。なんてことがあったなら、その土地の歴史を調べた方が良さそうです。

あるいは、地区防災計画を策定するとか、地区独自のハザードマップを作る時に、あらかじめアカマツのようなパイオニアプランツのリストを作った上でフィールドワークに出かけると、新たな視点で地域を見直すことができるかもしれません。ちょっとしたハイキングのような気分で、フィールドワークもできますし。

オリンピック

東京オリンピックまで、あと1年だそうです。

過去の開催地では、オリンピック開催に反対するデモなどもあったように記憶しています。特に、リオは激しいものだったような気がします。

日本は、どちらかと言えば歓迎・盛り上げムードが広がっているようですが、反対派はいないのでしょうか?

もう周知のことではありますが、オリンピック招致の時に示した予算は8000億円。それが2018年12月では1兆3500億円(他に予備費として1000億~3000億円)。大会組織委員会の負担が6000億円、東京都が6000億円、国が1500億円。

言うまでもなく、東京都と国の財源は税金ですよね。

大会組織委員会がどのようにして6000億円をまかなうかといえば、ライセンス料やチケット販売、スポンサーからの収入。私にはよくわからない「増収見込み」で100億円、「その他」で330億円の収入見込み。(組織委員会のホームページより)

もし、組織委員会が負担分の6000億円をまかなえないときには、まず東京都が、それでも不十分なら最終的には国が負担すると、招致の時のパンフレットにあったと記憶しています。

また、2018年10月の会計検査院の発表では、国が負担するのは8000億円となっています。組織委員会の予算より6500億円の増。

社会保障費は毎年増加傾向。今年10月には消費税は10%に増税され、その影響を緩和するために様々な対策費用を国は支払うはず。

オリンピックによる経済効果を見込んで、これまで2回も消費税増税を延期したのだという噂も聞いておりますが、果たして目論見通りにいくのでしょうか?

「開催することが決まっているのだから、盛り上げていくしかない」というのは理解できますが、なんだかこの雰囲気に違和感を感じる私なのでした。

※ちなみに、こんな私でも日本人選手の活躍や、他国の選手であってもフェアプレーやファインプレーを見るのは楽しいし、たぶんオリンピック・パラリンピックの競技の放送も喜んで観ると思います。

「聞く」ということ

行政書士に限らず、人と関わる仕事をする者にとって、「聞く」という行為はとても重要で、かつ難しいものです。

難しい理由は

  1. 聞く側が、あらかじめストーリーを持ってしまっている。
  2. 聞く側が、話し手の表面的な言葉しか聞いていない。
  3. そもそも話し手が、自分自身の真意をつかんでいない。

といったことが挙げられるでしょうか。

1番目は、いわゆる予断。例えば、テストの成績が思わしくないという生徒の悩み。「この子はいつもヘラヘラしているから、勉強していないに違いない」というのが予断。実は深刻な悩みを抱えていて、それを悟られないようにヘラヘラしているのかもしれません。

2番目は、早合点。例えば、遺言を残したいと相談に来たお客様に、即座に「では公正証書遺言にしましょう」といった対応。本当は、家族と行き違いがあり、修復したいけれど意固地になっているのかもしれません。

3番目は意外と多いです。私は子供から相談されることが多かったのですが、例えば「やりたいことが見つからない」という進路に関わること。いろいろ話を聞くと、案外、興味のあることはあるけれど、チャレンジするきっかけがつかめないとか、親に言いにくいとか、「見つからない」のではなく他に壁があるのに気づいていないとか、薄々知っているけれど無意識に目をそらしているとか。大人も同じです。私もそう。

それで、自分の真意を理解すると、それだけで前に進めたりする。解決策が明確になったりする。

だから聞く側は、話している人の真意を聞き取るように心がけることが大切なんですね。

と、頭ではわかっていても十分にできない。知らず知らずのうちに自分の予断に当てはめてしまう。聞き流してしまう。真意を引き出せずに後悔する・・・。

「聞く」という行為は、奥が深いです。

生活のリスク

 生活をするうえで、どのようなリスクについて、どのような備えの仕方があるのか。

 地震や気象の変化はもちろん、それに伴う食糧や水、住まいの安定確保。世界情勢による石油等の価格変動。少子高齢化の結果として、おそらく経済成長率は大きく上向くことは難しく、年金だけで生活できる世の中でもなし。老後の生活を支えてくれる人材の確保も悩ましい。・・・。

 どうやら今後は、これまで以上に自分で考え備えていかなければならない。そんな世の中になったようですね。

 備える方法として、今思いつくことを挙げてみましょう。

 生活資金の供給源として、仕事、預金、投資、年金、保険。

 でも、いざという時には、やはり人間関係。質と、ある程度の量というか広がりも大切。

 けれど、個人で備えていくのは、やはり限界がありますよ。

 だからこそ、政治は大切なんですね。

 私たち1人1人が描く未来像の実現や、現在の課題の解決方法について、他の人々と率直に語り合い、集団としての意思決定をすることが、政治だとするならば、政治は私達自身の営みではあります。

 けれど、より大きな課題に対しては、信頼できる政治家に託す必要がある。

 だから、真剣に、誠実に課題に向き合う政治家が、党派を超えて、何人も何人も必要なんですよ。

 不満や不安や苦しみの声から逃げない政治家が。持論を展開するだけでなく、異論にも真摯に耳を傾ける。その上で、決断すべき時に決断し、決断した内容と理由を、わかる言葉で丹念に説明してくれる政治家が。

 一見、丁寧な言葉遣いかもしれないけれど、「その指摘は当たらない」と根拠を明示せずに、一方的に議論を終わらせてしまう流儀ではなく、一般人が理解できるような言語を持っている政治家が必要なんですよ。

 未来に、わずかでも希望を持てるような政治が。

 私たちに勇気を与えてほしいのは、スポーツ選手だけではありません。政治家からも勇気をもらいたい。

 もし、1つの政党だけでなく、どの党派にも、そうした人物がいるのなら、政治はもっと信頼できる。そう思います。

 逆に、そうした状況にないとしたら、生活のリスクは増加する。私はそんな危機感をおぼえます。

相続等のミニ・セミナー①

当事務所で、主に次の内容についてのミニ・セミナーを開催します。

  • 死亡後の主な手続きについて
  • エンディングノートに利用について
  • 主な事前対策について
  • 相続法の改正について

とんでもなく内容が多く見えますが、参加者のニーズが高いものについては少し詳しめに、そうでもないものは簡単に説明します。

ですから、説明の途中でも遠慮なく質問ができるように、少人数で行います。(事務所が狭いという理由もありますが・・・)

<要項>

★ 日時   ・・・ 次の A か B からお選びください。

  A : 8月24日(土) 午前10時00分 ~ 午前11時30分

  B : 8月27日(火) 午前10時00分 ~ 午前11時30分

★ 場所   ・・・ 当事務所内 https://gyoseisyosi-sawada.com/アクセス

★ 人数   ・・・ 3名以内

★ 費用   ・・・ 1000円(資料代を含みます)

★ お申込みはこちらから → https://gyoseisyosi-sawada.com/お問い合わせ/

なお、「興味はあるけど日程が合わない」という方は、御遠慮なく御相談ください。

子供を預かる施設こそBCPが必要、という理由

 保育所・幼稚園・小中学校等の子供を預かる施設で、BCPを策定しているところはどのくらいあるのでしょう?

 私はこのテーマについての統計データを持っていないので、わからないのです。ただ、これだけは断言したい。

 子供を預かる施設もBCPを策定すべきです。

 BCPとは何かを簡単に説明します。BCP(Business Continuity Plan)は日本語で事業継続計画といいます。主に災害発生後の緊急対応が落ち着いた後、通常通りの業務ができるようになるまでの行動計画を指します。

 では、なぜ子供を預かる施設でも、BCPが必要なのか?

 理由は大きく分けて2つあります。1つは、言うまでもなく子供および保護者のためです。2つ目は、職員のためです。

「子供と保護者のためにBCP」という理由

 BCPは災害発生後に、必要に応じて発動させます。ではBCPが必要な時とはどんな時かというと、施設を含む地域に甚大な被害が生じたときです。

 そういう時、まず、保護者の生活はどうなるでしょうか?

 今や多くの保護者が仕事を持っています。その仕事の再開に向けて動く必要がありますよね?また、家屋も被害を受けているかもしれません。その復旧や、罹災証明取得等の手続きがあります。もし、家族にケガ人いたら?そのほかにも水・食料の確保などなど、普段の生活より忙しくなります。こうしたことも重なり疲労が蓄積していくわけです。

 普段より、一時でもいいから子供を預かってほしい、というニーズが高まっているのではないですか?

 子供にしても、不安を抱え、心理的なケアを必要としている子が増える時期でもあります。カウンセラーなどが派遣されたりもしますが、普段、身近に接している大人の方が安心できることだってありますし、そうした人たちだからこそ、深刻な変化に気づくかもしれません。

 少し年齢が上がれば「自分も復旧の役に立ちたい」と考えるかもしれませんが、平時より環境的に危険因子が高まっている時なので、ボランティア活動に参加させるにしても成人の支援が必要でしょう。

 つまり、保護者は、自らの復旧活動を支えるためにも子供を預かってほしい時期ですし、子供自身も身近な大人にそばにいてほしい時期でもあります。普段通いなれた保育園・幼稚園・学校ほど、そのニーズに適した場所はない、と私は思うのです。

 だからこそ、子供を預かる施設は、発災後、早期に業務を再開する必要がある。たとえそれが、一日の内の短時間であっても、です。

 しかし、建物や敷地に被害があるかもしれません。断水や停電等がおきているかもしれません。トイレもすべては使えないかもしれません。平時と同様の規模で子供を預かることには無理が生じます。

 子供・保護者のニーズは高い一方で、環境的な問題がある。だからこそ、BCPを策定・周知し、リスク・コミュニケーションによって相互理解を進めておくのです。

「職員のためにBCP」という理由

 子供のためにも、保護者のためにも(つまりは地域のためにも)子供を預かる施設の早期の再開は必要です。

 しかし、忘れてならないのは、職員も被災者だということです。

 BCPが必要になる状況を想像すれば、職員も被災者であることは容易に理解できることです。つまり、職員の自宅も被害を受けて、職員の家族も支援が必要になっており、職員の生活のために水・食料等を確保しなければならないのです。

 職員も、平時同様に勤務することはできないのです。それは本来、公務員であっても同じはずです。

 公務員が「全体の奉仕者である」ということの意味を間違えてはいけないと思います。「一部の者への奉仕者ではなく全体の奉仕者」なのであって、「どんな時も奉仕に徹せよ」ということではない。「奴隷的拘束」を受けないのは、公務員も同様です。

 つまり、職員一人一人の勤務時間を減らす必要があるのですから、業務の規模は一定期間は縮小せざるを得ないはずです。

 子供・保護者のニーズに応えることと、職員とその生活の保護の調整を図るためにも、BCPの策定は必要なのです。

 BCPを策定するのは、手間がかかります。平時から業務繁多の施設で、BCP策定にかけるゆとりはないかもしれません。でも、もしまだ対策を立てていない施設で、上記のことからBCP策定の必要性を御理解いただけたなら、方針だけでも早急に立ててほしいと願います。方針が立てられれば、あとは、定期的に開かれる会議・打合せで少しずつ対応を決めていけばよいのですから。

死亡後手続き・相続お茶のみセミナー

死亡後の手続きや、相続手続きを中心とした、ちょっとしたミニ勉強会を、御協力を得て行いました。

一般の方のお宅を会場に、その方のお知り合い3~6名の参加者です。

少人数にした狙いは、気楽に質問していただきたいから。

イメージとしては、相続をネタにしたお茶飲み会。

実際にやってみて、イメージ通りのにぎやかさで、私も楽しかったです。

「誰に相談したいいか、わからない」という方や、様々な士業の違いに戸惑う方などいらっしゃる中で、とりあえず「相談する相手が1人見つかった」という、ちょっとした安心感は持っていただけたのではないかと思います。

人生のベテランの方ばかりなので、御自身やお知り合いの経験談があったり、様々な質問があったりで、私も勉強になりました。

もし、御興味を持たれたら、御連絡ください。

私の事務所の防災グッズ④

地震に備えて、棚やキャビネットの転倒防止も図らなければなりません。

こうした棚にも、突っ張り棒式のものがあるので便利です。

 本棚や食器棚のような背の高い家具には、家具の天板と天井の隙間に突っ張り棒を入れて固定する人が多いかもしれません。仙台市の住宅地にある私の家でもそれを使っており、東日本大震災にも耐えました。効果は実証済みなのですが、欠点もあります。天井が高いと使えないこともありますし、斜めに固定すると効果が減ります。

 金具とねじやベルトなどで固定するタイプもありますが、家具や壁に穴をあけるので、アパート等の賃貸物件には使いづらい。

 上の写真には2つの製造元の、類似商品が写っています。両方とも壁や家具には粘着力の強いゲルマットが使用されています。ですから、穴をあける必要はありませんし、天井の高さを気にする必要もありません。

 ただ、私がこのグッズで棚を固定した後、大きな地震がないので効果はわかりません。製品が入っていた袋には「震度7まで対応」と書いてあったような気がします(捨てちゃったので確認してません)。

 また、壁と家具の隙間に限度があったことも注意事項の1つです。ほこりや湿気対策として、家具と壁の間を広く取りたい方は、確認してから購入された方が良いでしょう。

 さらに、転居等でこのゲルをはがすとき、壁にどのような影響がでているのかもわかりません。家の構造物に傷がなければ、敷金への影響はないとは思いますが、保証はできません。

 それでも私が、従来型の突っ張り棒タイプではなくこれにしたのは、天井の高さと、棚の上のスッキリした感じが気にいったからでした。

事務所用のキャビネットの場合、上と下のキャビネットが分離していたりします。内部でねじ止めもしていますが、念のために貼ったのが、上の写真のようなシート(?)タイプのものです。

貼る方向が大事なようなので、使う方は注意しましょう。

DIYショップなどに行けば、本当に様々な防災グッズが売られています。使用条件等をよく読んで買うようにしましょう。

ちなみに、効果は不明だし、もしかすると家具にもあまり好ましくないのかもしれませんが、家具を壁側に微妙に傾けるような、我ながら涙ぐましいこともやってます。

これも、ゲルタイプのものが売られていますよ。

「今日も嫌がらせ弁当」感想

現在公開中の「今日も嫌がらせ弁当」という映画。

とても面白かったです。

実話をもとにした映画だそうですが、あのお母さんは凄い方です。

  • 断固としてやり抜く
  • ユーモアがある
  • 娘への想いが込められている

詳しくは、映画を御覧ください。本もあるようですから、そちらも。