「いのちを守る気象情報」という本。おススメします

「いのちを守る気象情報」(斉田 季実治著 ・ NHK出版新書 )という本は、気象災害から身を守るための知識を、一般の人が仕入れるには丁度いいと思います。

著者の斉田さんは、NHKの午後9時台のニュースで天気予報等を担当している気象予報士であり、また防災士の資格もお持ちの方です。

本の内容は、ニュースの気象に関わるコーナーで、少し詳しめに解説していることをそのまま新書用にまとめた感じ。ただ、本にするためにTVよりほんの少し詳しく書いているかもしれません。

理科が苦手でもTVのニュースならわかる、という人には十分納得できると思います。

またこの本は、地震や台風といった「メジャー」な災害だけでなく、大雪や噴火、竜巻といった比較的よく遭遇する人と、ほとんど遭遇することのない人に分かれがちな自然現象も取り上げている所が、私は良いと思いました。

こうした部分は、読まずに飛ばしたとしても、何かの折に「ちょっと目を通す」だけでも(言ってみれば気象に関する辞書のような使い方)大変に参考になる。

例えば「冬の北海道に行く時に、新幹線や飛行機の中で大雪の章を読んでおく」という使い方もアリかなと思います。

災害時の経営者の判断

雨ですね。九州の北部と岩手県沿岸部、宮城県気仙沼市のみなさんの安全をお祈りします。

さて、今朝の佐賀県・長崎県に関わるニュースを見ていて気になったのが、駐車場の車がタイヤの半分くらいまで水に浸かっているのに発進し、膝あたりまで冠水している歩道を歩いている人が何人もいたこと。

夜間勤務でこれから帰宅するとか、医療や介護関係者でどうしても出勤しなければならないとか、様々な事情があり、やむを得ず出かけたのかもしれません。

でも、原則としては道路が冠水していたら、「その場に待機すると命の危険にさらされ」る上に「2階以上に避難する」などの垂直避難が不可能であるという危機的状況を除いて、屋外に出てはならないと思います。

自宅にいるなら登校・出勤はしない。職場にいるなら、無理に帰宅せずにそのまま待機。命を守る以上に大切なことはありません。

ところで、こういう時に経営者(あるいは労働基準法で定める使用者。以下、まとめて経営者等。)は、いつ、どのような判断をして、従業員等に指示しているのでしょうか?

というのも、責任感の強い人は

  • 今日、大切な商談がある
  • いそいで仕上げなければならない仕事がある

など、色々な理由で無理をしてでも出勤しようとしがちです。

だから経営者等は、そうした人たちも安心して避難行動を優先できるように、きちんと指示すべきなのです。

そもそも経営者等には、次の3つの安全配慮義務があります。

  • 労働契約を結んだ労働者が、その生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする(労働契約法第5条)
  • 派遣労働者に対する、同様の不法行為法上の安全配慮義務(東日本大震災・七十七銀行女川支店事件原審(仙台地判平26・2・25))
  • 下請人の労働者に対する安全配慮義務(三菱重工造船所事件(最判平3・4・11))

その他、社屋・工場内にいる取引先や顧客の安全配慮、敷地に隣接している方々への影響への配慮(汚染物質を漏出させない等)もあります。

この義務の履行のためにも、災害発生時や発生が予想されるときの経営者等の判断と指示は重要になります。

従業員を雇っている事業所の多くは、防災計画やBCPを策定済みだと思いますが、次のいずれかに当てはまる場合は、今日のような大雨や台風時の対応も考えておくべきでしょう。

  • 地震を想定した防災計画やBCPしかない。
  • 緊急時の対応マニュアルはあるが、大雨や台風のようにあらかじめ災害発生が予想される場合の、判断時期や対応内容が決められていない。
  • そもそも防災計画やBCPを作っていない。

大雨や台風などのように、災害発生まで間がある場合の対応について

少なくとも、次の事柄についてはあらかじめ決めて、社内規定として文書化し、正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員・下請等にも知らせておいた方が良いでしょう。

  1. 何を決定するのか(臨時休業(1日、半日)、自宅待機・自宅勤務、事業所内待機、事業の再開について、その他)
  2. 経営者等の内、誰が決定するのか(社長?専務?その人たちがいなかったら?)
  3. いつ決定するのか(気象庁から注意報・警報が発令されたら?市町村から避難勧告が出されたら?その他の基準?)
  4. 決定を、誰が誰にどのように連絡するのか
  5. その他(事業再開時の安全点検について等のBCPに相当する内容や、時間的にゆとりがある場合の機械設備の保全など)

なお、現に台風が来た時のように、天災により臨時休業した場合には休業手当を支払う義務はありません(支払っても良いのですが・・・)(労働基準法第26条)。事業所内で待機させる場合は、原則としては賃金支払い義務は生じないと思われますが、待機時間中に何らかの仕事を命じた場合には賃金・残業代を支払う必要が生じるかもしれません。

ただ、予防的に休業した場合の補償については、私にはよくわからないので社会保険労務士に御相談ください。

参考:「今までなかった!中小企業の防災マニュアル」 本田茂樹編著  労働調査会発行

なお、上記の3の決定するタイミングですが、経営者等の立場から言えば、天候の状況をギリギリまで見極めて判断したいところだと思います。一方で、労働者側の立場から言えば、家族のこともあるので、できるだけ早めに決めてほしいところでしょう。

最近は、人手不足で困っている企業が多いと聞きます。そうであるならば、今働いている従業員の満足度を上げることも大切でしょう。そういう視点も災害発生時や発生が予想される時の判断基準にしてはいかがでしょうか。

避難所に指定された学校の責任

昨日に引き続き、東日本大震災に関わる判決を再読しておりました。今日は、野蒜小学校事件についてです。

一言で、野蒜小学校事件と言っても、内容は大きく言って2つに分かれます。

  1. 学校の体育館に避難してきた住民が、津波に巻き込まれて亡くなった事件(被災者2名それぞれの遺族が提訴)
  2. 学校に避難してきた児童を、引渡し後の安全確認をせずに、事前に登録していた災害時児童引取責任者ではない者に引渡した後、その児童が亡くなった事件

2については、他の場所でも触れているので、そちらを御覧ください。

今回は、1に関連して、市町村が策定した地域防災計画で、指定緊急避難場所または指定避難所とされた学校長の責任についてまとめてみます。

ちなみにこの事件は、最高裁まで争われましたが、2018年5月30日に上告が棄却されたので、1、2審の判決が確定しています。

市町村は地域防災計画の中で、指定緊急避難場所や指定避難所の管理者の役割等について規定しなければなりません。(災害対策基本法第7条、第42条、第49条の4から第49条の9まで)

・・・注1

原審、控訴審とも,法律で言う「避難所の管理者」とは市町村教育委員会であると指摘しています。

なぜ管理者の規定が大切かというと、施設管理者には、その施設を利用する人に対して安全配慮義務とか、危険を予見し、回避する義務、そのための情報収集義務などが発生するからなのです。

つまり、両判決は、上記の法的義務は市町村教育委員会にある、と言っているのだと思います。

ただ原審は「校長は教育委員会の補助機関」としていて、また控訴審は「地域防災計画に言う『施設の管理者』とは、現実に施設を管理する校長と解する」と、結局、校長に上記の法的義務があることを認め、「校長の判断や行為の結果を、本来の管理者である教育委員会が負う」という構成をしております。

この裁判では、結論的には避難してきた住民が亡くなったことについて、校長の責任を認めませんでした。

その判断理由を控訴審の判決文から引きます。

「校長の学校施設の現実の管理者としての責務は、このような自ら適切な避難行動をとり得る住民らに対するものであるから、校長の本来的かつ重要な義務である児童の生命、身体を保護すべき義務とは本質的に異なる・・・災害発生時、学校施設内に児童らが存する場合においては、・・・当然に避難者らを誘導する義務まで負っていたと解することは相当ではない(もとより誘導することが望ましいことはいうまでもない)」

住民が避難してきたときに、児童が在校していたということが、この裁判で校長・教育委員会・東松島市が賠償責任を免れた大きな要因ではないかと、私は思います。

私流に判決理由を言い換えれば「子どもの安全確保が最優先で、そのことで今いっぱいいっぱいなんだし、元々、そういう役割なのだから、自分で判断できる大人は自分で判断して行動してください」ということになるのかなと。

でも、注意が必要です。

長期休業中や生徒下校後のように、子供が学校にいない時には、施設管理者(あるいはその補助機関)として、避難してきた住民に対する安全配慮や危険回避義務等の優先順位が上がります。

この事件の場合には、津波が体育館に到達するという予見可能性が否定されているので、児童がいなかったとしても結論は変わらないかもしれませんが、もし日和幼稚園のように「情報収集義務を果たしていれば、津波の到来は、当然予見できた」となれば、結果に対する責任を負うことになるでしょう。

またこの裁判は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求だったのですが、同条2項に規定されている、重大な過失を行った公務員に対し地方公共団体が持っている求償権にも注意が必要なのでないかと私は思います。

・・・注2

つまり、「大人なんだから自分で責任取って」と漫然と構えていたら、事実上の管理責任者とみなされる校長も責任を負うことになるかもしれない、ということです。

以上のことから、避難所として指定された学校の校長としては(あるいは本来の管理責任者である教育委員会としては)、次の準備をすることが必要だと私は考えます。

  1. 地域防災計画または避難所運営マニュアル等の中で、学校と、地域の避難所運営責任者との役割分担や責任範囲を、可能な限り明確にする。
  2. 学校は、住民が避難し始めてから避難所運営組織が立ち上がるまでは、住民対応も視野に入れて、安全配慮義務・危険を予測するための情報収集・危険を回避する行動の3点を確実に実施できるよう、組織作りを行う。
  3. 1と2を踏まえた地区防災計画づくりに、学校も主体的に関わる。
  4. 3の地区防災計画に基づいた地区防災訓練を実施する。

「もうやってるよ」という学校には、余計なことではありました。

逆に、地域住民は、自助と共助の原則にのっとり、つまり、「学校に避難したのだから学校にお任せ」ではなく、情報収集と危険回避の行動を、避難した者同士が協力して行うことが重要なのです。

<注1> 指定緊急避難場所と指定避難所の違い(両方兼ねている施設も多い)

指定緊急避難場所:避難勧告や避難指示等が出されるときに、災害の種類(洪水、津波など)ごとに指定されている避難場所

指定避難所:避難のために必要な間、あるいは災害のため住まいを確保することが難しい住民を一時的に滞在させる施設

※中には土砂崩れが心配される土地にある学校や、かなり老朽化した建物が避難場所になっていたりすることもあるようです。そのように避難所・避難場所として不適切な場合には、市町村に申し出て指定を取り消した方がよいでしょう。(また、もともと避難所でないのに、住民が避難してくることもあるので、その恐れがある場合は、あらかじめ広報しておくことが必要です)

<注2>これまであまり公務員の重大な過失が認定されることはなかったと言われていますが、平成28年にこれを認める判決が2件出ていることから、求償権を行使する例が増えるのではないか、と指摘している弁護士さんもおられます

東日本大震災・日和幼稚園 地裁判決再読

もう何回目になるのでしょうか。東日本大震災での日和幼稚園の園児が犠牲になった事件の仙台地方裁判所判決文を読みなおしました。今回は、裁判所の判断理由の部分を中心に、気になる部分を抜き書きしながらなので、少々疲れました。

改めて感じたのは、情報収集とマニュアル、そして判断する際の優先事項の徹底、そして訓練の重要性です。

ただ、この判決を読むたびに感じるのは、震災前に「波浪警報、波の高さ6m」と「津波の高さ6m」の違いを、イメージできた人ってどのくらいいたのかということ。

震災の時のあの映像や、震災後の被害の広がりや壊滅した街並みを目の当たりにした今、言葉で説明できなくても、イメージとしては違いがわかります。

でも、震災前の私なら、津波の高さ6mの恐ろしさを、津波に襲われる直前まで理解できなかっただろうな、とも思います。

だから、繰り返し読んで、考え、伝える必要がある。

被災者もそうだけれども、あの幼稚園関係者のすべてが深く傷ついた。そういう悲劇はこの国で二度と起こさないために。

ところで、もうすでにいくつかの台風が日本に上陸しましたが、本番はこれから。

台風の時の高潮は、海面全体が上がったところ(吸い上げ効果)に、強風による高い波が押し寄せます(吹き寄せ効果)。高波は、単に波が高いだけ。

いずれにしても、気象庁から波浪や高潮に関する注意報や警報が出たら、海に近づいてはいけないのはもちろんです。ただ、高波、高潮、あるいは津波の違いをイメージしておくと、「近づいてはいけない距離」への判断も変わってくると思います。

具体的には土地の標高・地形の問題も関わるので、やはりハザードマップを参考にしましょう。

ちなみに、このあと大川小、野蒜小の判決文を読みなおし、防災マニュアルの見直しチェックポイントを作成する計画です。

相続関係ミニセミナー

少し長めの夏休みをとって、今日から私も業務再開です。

なかなかエンジンが掛からない初日。とりあえずFacebookに登録し、この投稿とリンクできるようにチャレンジしてみたのですが・・・。

これだけで、午前の多くを使ってしまいました。

この後の来客予定が終了後は、今週8月24日と、来週27日の相続関係ミニセミナーに向けて、若干の復習をしましょう。

ミニセミナーでは、少人数の利点もあって、参加される方からの質問もたくさんあります。質問の方向も様々。勉強の手を抜けないのです。

今日は、その後に農業関係の法律の勉強もしましょうか。

パイオニアプランツ

浅間山が噴火しました。軽井沢方面に観光に行かれている方、これから予定されている方はご心配なことと思います。

気象庁と現地の情報に注意し、冷静に対応してください。

さて、日本には活火山が111個あると言われています。休火山や死火山も含めると、いったい幾つの火山が日本にはあるのでしょう?

火山活動が収まって、地面に最初に根付く緑。そういうパイオニアプランツの代表が、苔です。苔は岩などの土がまだ十分に積もっていない場所に根付き、その後の植物の生育の土台となります。

我が家の玄関前にも、苔が繁殖している一画があります。

私は苔を見るのは好きなのですが、名前や生態などはよくわかりません。けれど、上の写真は1m四方程度の広さですが、4~5種類くらいの苔が見られます。

冒頭の写真は、この庭の苔の一部を採取して事務所に置いたものです。

苔の花言葉は母性愛。荒れた土地を豊かにする土台。

殺伐とした空気が広がる気配がする今、苔の役割を果たすのは何でしょうね?

住まい探しと防災

家を買う時に、買おうとする場所の利便性の他に、ハザードマップを見たり住宅性能などの防災情報を確認した上で契約する方は多いかと思います。

では、賃貸住宅の契約時はいかがでしょうね?

昨日お話しした方は、御自宅の近くに活断層があることや、大雨の時に溢水しやすい川があることを御存知なかった。

今年、鹿児島市全域に避難指示が出たときに「どこに逃げればいい」という戸惑いの声が上がったそうです。

住まいの近くに河川がなく、ハザードマップでも浸水被害予測の地域から離れている。崩れそうな山や崖からも遠いなんていう場合は、家に留まった方が安全かもしれません。

住まいを決めるときは、各種のハザードマップなどでその土地のリスクも確認してから契約する。

そうすることで、火災保険の補償内容を含めた防災対策に役に立つと思います。

大雨時の早め避難

台風8号が上陸した九州地方の皆さんは、もう安全な場所への避難を済まされ、天候の回復をお待ちになっていることと思います。

台風の場合、雨だけではなく風についても注意しなければなりません。風については「頑丈な建物の、窓から離れた場所」に逃げる以外、私には対策が思い浮かびません。

大雨の場合、天気予報等をもとに市町村が避難勧告等の情報を出しますが、ここで注意が必要です。

今朝のNHKのニュースで、TV(データ情報含む)やラジオの他に、市町村による「防災無線での呼びかけ」を注意深く聞く、というような呼びかけがありました。

ただ、過去の水害被害者の証言などを見ると、屋外のスピーカーを使った防災無線での呼びかけは、大雨の時は聞こえないようです。

言われてみれば、そうですよね。まず雨の音が大きい。次に、ペアガラスや二重サッシ等の設備を持った家屋は、建物自体が外部の音が聞こえにくい構造になっている。

特に高齢者や障碍者の場合は、早めに避難行動を起こさなければならない反面、音が聞こえにくかったり、情報を入手する手段が限られている方もいらっしゃいます。

ここは周囲の者が、早めに電話をかけるなり、家に行くなどして、避難の手伝いをする必要があるようです。特に、親しい人からの呼びかけは大事だと言われています。

側溝などからあふれた水や、川の堤防を乗り越えた水は道路に沿って流れやすい。この場合、水深10cmを超えると道路と側溝の見分けやマンホールの蓋が開いているか否かの区別がつきにくくなると言われています。

だから道路を水が流れるようになったら、屋外に出ることは避けるべきです。

でも、例えばハザードマップで水深1mを超えるような場所にある平屋の場合は、そこに留まることも危険です(最悪、屋根に上がるという手もありますが)。そんな時にやむを得ず避難する時には、次のことも念頭に入れましょう。

  • 車は使わない。(浮力で浮いたり、エンジンや電気系統に水が入り動かなくなる)
  • 2名以上で、ロープなどで離れないようにして行動する。
  • 長い棒などで自分の歩く少し前の水面下の様子を探りながら歩く。
  • 長靴よりもスニーカーなどの歩きやすい靴にする。
  • 乳児はベビーバスに入れて、幼児は浮き輪などを使って避難する。

何よりも移動距離を少なくすることが大切です。ですから、例えば隣家が2階建て以上なら、そこに避難させてもらうなどしましょう。

もちろん、最も良いのは、そうなる前に避難を済ませておくことです。

8月4日の地震での原発は?

昨日(2019年8月4日)19時23分に発生した地震は、久々に少し強い揺れだったので驚きました。

皆さんのところでは、被害はなかったでしょうか?

地震の後、私はTVでNHKからの情報を見ていました。そこで、これまでの地震ではあまり感じなかった違和感を2点持ちました。私の記憶違いや勘違いや不勉強を曝してしまうようですけど。

1つは、緊急地震速報が遅くないか?ということです。もちろん今までも、揺れ始めてから緊急地震速報が鳴る、ということは何度かありました。でも、もう少し震源が近いとか、マグニチュードが大きかった時に、速報が間に合わなかったような気がしていました。

2つめは、原発についての報道についての違和感。

それは、7時40分か45分くらいのアナウンサーの言葉でした。つまり、地震発生後20分くらい経った時間です。

アナウンサーは、「東海村にある原子力関連施設から異常が起きた報告はありません」というニュアンスのことを述べたのです。

念のため、今日、Yahoo天気・災害の緊急・被害状況で確認しました。ここには情報確認時間として8月4日22時00分とあり、「原子力関連施設への影響」について、おそらくNHKからの情報として次のように記述しております。

【東北電力】
・宮城県石巻市・女川町の女川原子力発電所は運転停止中、地震による異常はない〔NHK〕

【東京電力】
・福島県双葉町・大熊町の福島第一原子力発電所は廃炉作業中、地震による異常はない〔NHK〕
・福島県楢葉町・富岡町の福島第二原子力発電所は運転停止中、地震による異常はない〔NHK〕

【日本原電ほか】
・茨城県によると、運転停止中の東海第二原子力発電所を含め、茨城県内の原子力関連施設で異常が起きた報告はない〔NHK〕

つまり、女川と福島第一・第二は「異常はない」のに対し、東海村関連は「異常が起きた報告はない」という違いがあるのです。

東海道新幹線が安全のため一時停止するほどの揺れです。もちろん、震源に近い東海村にある原子力関連施設でも緊急点検していたはずです。

単なる言葉の問題かもしれません。でも、もし点検中なら「現在点検中だが、モニタリングポストにも異常を示すデータは見られない」とか、地震直後や今現在の様子がわかるような表現をする方がよいのではと思うのです。

「異常が起きた報告はない」というのでは、「報告がない」という事実はわかっても、それ以外のことは何一つわかりません。

異常があったのか、なかったのか、そこは周辺の住民にとって重大な関心事だと思うのですが、それについては2時間後のYahooを見てもわからなかった、ということになります。(ちなみに私は翌8月5日の朝9時頃にGoogleで「年2019年8月4日 地震 東海村 原発」と検索し、上から2番目にヒットしたのがYahooのこの記事でした)

 日本原電の茨城県への報告が遅れたまたはなかったのか、茨城県のNHKへの伝達がそうだったからなのかはわかりませんが、他の原発の状況に関する伝え方との差を見ると「なんだかなぁ」と思います。東日本大震災から何を学び、そう報道したのか?

日本原電は、もちろんその後、点検結果を茨城県他に報告したのでしょうけどね。今のところ、私はそれを見つけることができていませんが。

第2回死亡後手続き・相続お茶のみセミナー

昨日、死亡後手続き・お茶のみセミナーを行いました。

会場は、個人のお宅。参加者は、その家の方も含めて5名です。

みなさん昔からのお知り合いだったようですが、久しぶりに会った方もいらしたようで、少し同窓会的な雰囲気もありました。

今回も冒頭に「気になることがあったなら、私の話をさえぎってもかまわないので質問してください」とお願いしてからのスタート。

知り合いだけのこじんまりとしたセミナーの良さは、気楽に質問できること。

前回もそうでしたが、今回のメンバーも本当にいろんなお話をしながら、でも真剣に聞いてくださいました。

参加者は65~75歳くらいの方々ですので、相続について多少の経験もあるし、テレビや新聞・雑誌などからの知識もお持ちです。けれども防災と一緒で「知識はあるし、そろそろ具体的に行動しなければ」と考えていても、肝心なことにはまだ手を付けていなかったり、何をすればよいのかわからなかったりするのです。

このセミナーの目的の1つは、「もう、具体的な準備をしましょうよ。その手始めとしてエンディングノートを作りましょう」と背中を押すことにあります。

そして、手助けが必要な時に、誰に相談すればよいのかを知っていただくこと。

私や行政書士という存在も知っていただきますが、「こういう時は地域包括支援センターに行ってみましょう」「社会福祉協議会ではこういうこともしてるんです」「不動産の登記関係でお困りならば司法書士に聞きましょう。」と、他の相談機関の紹介もしています。

セミナーは資料にそって進めますが、それに拘ることもしません。参加者の知りたいことについて、私の知っていることをお伝えする。あるいは参加者同士で情報交換もする。脱線することも皆さんが納得しているならまったくOK。

そういうセミナーに御興味のある方は、御連絡ください。