考えよう!給食なしで苦しむ家庭への支援

昨日(2020年4月22日)の朝日新聞の生活面(21面)に「給食なし 苦しい低所得世帯」というタイトルの記事がありました。

新型コロナの感染拡大防止策として1カ月近く小中学校が休校になったことにより、給食が食べられず苦しんでいる低所得世帯への影響と、各地で試みられている対策の紹介記事です。

先日、給食関係事業者への対応について、文部科学省から各自治体への通知があることをご紹介しました。

結構、御覧頂いたことからすると、休校措置によりお困りの事業者が多いのだなと思っておりました。

そんな時に上記の記事です。

行き先のない食材を抱えた事業者。給食がなくて困る子どもや家庭。この両者を結びつける上手い方法はないものか?

少し考えてみました。

考えてみた結果、いくつかの手段と課題が見えてきました。

課題

① 休校期間の見通しが立たない。つまり、事業化することが難しい。

今回の新型コロナで言えば、多くの所では「5月6日までは休校」と決まっていても、その先、授業が再開されるのかどうか、再開されるとしても給食もあるのかどうかすらわかりません。

事前に、こういう場合の食材等の処分方法についての仕組みが出来ていれば別ですが、そうでなければ事業化することは難しいと思います。

(逆に言えば、今後もこうした事態が起きることは考えられるので、地域全体で一種の「食材処分・食品関連業者のBCP」を作成しておくことが、求められるかと思います)

② 金銭や制度上の問題は大きい。

給食センター方式であれば、一つのセンターが作るのは1日で数千から1万食前後かと思います。自校給食方式(その学校で給食を作る)でも、小規模校を除けば数百食。これだけの食事のための食材ですから、おそらくは一般の家庭に販売する価格より安く納入しているはずです。

子ども食堂やフードバンクに納入するのは、それよりずっと少ない量であり、一方、単価は市販の価格より低く抑えないとならないでしょう。

納入業者からすれば「食品ロスを少なくする」ことと「社会的貢献」という価値はありますが、それに止まりそうです。

文科省あるいは市区町村からの

③ 利用者に関わる情報の利用が難しい。

子ども食堂の運営に関係して、以前から指摘されていた課題です。

つまり「誰がそのサービスを求めているか?」

思いついたものの課題が見えたもの

A フードバンクへの食材の提供 

 → 野菜や肉・魚のような調理するための食材提供は難しいか?(調理できない子ども等)

B 子ども食堂への提供

 → 「3密を避ける」という感染拡大防止策との兼ね合い。

C 給食センター等で、計画通り調理し、それを学校、児童センター、その他の場所で炊きだしする。

 → 外国でホームレス対策等として行っているようですが。日本では制度や食品衛生法関係で課題がでてくるでしょうか?不勉強なのでよくわかりません。

 → また、保護者が納めた給食費との兼ね合いが問題になるかもしれません。

他にもいくつか思いつきはありましたが、疾風のように記憶から消えてしまいました。

結局の所、「かなり難しい問題だな」ということだけが、今の私の感想です。

多くの人と知恵を出し合って解決すべき課題のようです。

新型コロナ給付金~外国人と住民基本台帳

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既に御承知のことと思いますが、昨日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が閣議決定され、一律10万円給付(仮称「特別定額給付金」)の見通しが示されました。

※まだ正式決定ではないので、変更もありえます。

総務省のWebサイトによれば、給付の対象になるのは「令和2年4月27日に住民基本台帳に記録されている者だそうです。

これには住民基本台帳に記録されている外国人も給付対象になります。(令和2年4月21日付 朝日新聞朝刊第1面)

手続としては、市区町村から送られてくる申請書に振込先口座を記入した上で、振込先口座の確認書類(私の予想では通帳のコピーかと思われます)と本人確認書類の写し(運転免許証やマイナンバーカードのコピー?)を添付して郵送するようです。

マイナンバーカードを持っている人はオンラインでも申請が可能になるそうです。

ところで、この10万円給付もそうですが、昨日御紹介した、生活困窮者への福祉サービスにも、住民基本台帳に記録されている外国人が申請・利用できるものがあります。

では、どのような外国人が住民基本台帳に記録できるのか?

簡単に言えば、「在留カードを所持している外国人(中長期在留者)」と特別永住者です。

※その他に住民基本台帳法第30条の45に規定されている外国人も住民基本台帳に記録できます。

もともと入管法上、中長期在留者は住まいが決まってから14日以内に住所地の市区町村に届出をしなければなりません。

この手続きは、法的には住民登録とは別なのですが、市区町村に転入届をすることで入管法上の手続もされたことになっています。

ただ、場合によって、まだ転入の届を済ませていない外国人もおられるかもしれません。(世帯主だけでなく家族の分、例えば世帯変更届を忘れていませんか?)

雇用主や知合いに外国人がおられる方は、その外国人に転入届や世帯変更届などの必要な手続きを忘れていないかどうか声をかけてください。

<ご参考までに>

※例えば、「小学生や中学生くらいの子供がいるのに学校に行っていない」という場合は、事情があって行かないこともありますが、住民基本台帳に記録されていない可能性もあります。

※住民基本台帳に記録されていれば、外国人にもマイナンバーが付されます。

※外国人の住民基本台帳に関する問合せは、市区町村ごとに設けられている外国人の相談窓口か総務省のコールセンターにすると、いくつかの言語で対応してもらえると思います。

技能実習生で、新型コロナの影響により、実習が継続困難になった方への特別措置があります。詳しくは法務省のこちらの通知を御覧ください。その他、手続等でお困りの方は、申請取次行政書士に御相談ください

※母国への帰国が難しい状況になった外国人の方への、在留資格等への措置については出入国在留管理庁のこちらの資料を御覧ください。

<おまけ>

SNSを見ていると、外国人への社会保障や新型コロナに関する給付等について否定的な見解をお持ちの方も多数おられるように思われます。

忘れてはならないのは、日本は国際連合加盟国であり、国際連合憲章を批准しております。ですから国際連合憲章第55条に規定されていることに関し、第56条によって誓約していると私は思います。

また、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)や難民の地位に関する条約あるいは児童の権利条約を批准している日本としては、その条約の規定を守ることは当然の事であり、まして日本は国連の常任理事国を目指していた(?)のだから、他の諸国がどうであれ、国連の理想の実現を目指すべきであるとも思います。

社会保障の最後の砦である生活保護にあっても、永住者や特別永住者、定住者、難民には保護を受けることが認められています。

それは上記のような国連の一員であり、各人権関係の条約を批准していることと合わせて考えれば、ギリギリ最低ラインを守っているのが我が国の現状であると考えられます。

ですから、日本に在留している外国人(しかも各税等の負担もしている)に対して、日本人と同等の保障をできる限り認めることは当たり前のことだと、私は考えます。

生活に困っている方へのお金の制度

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新型コロナの感染拡大を受けて発表された緊急事態宣言。これにより休業をする店が、私の住む仙台でも増えました。街を歩く人の数も減ったように思います。

休業をしていないくても、営業活動が難しくなり顧客獲得は難しい状況です。

そうなると、収入が得られない、あるいは減少する方は多いと思います。既に、様々なメディア等で各種の支援制度が紹介されておりますが、私も下記のようにまとめてみました。

もし、まだ利用の検討をしていないとか、どこに相談したらいいかわからないという方などは参考にしてください。

下の制度のいずれも利用できない方は、生活保護の申請をお考えになられた方が良いかもしれません。

なお、各相談窓口は大変混みあっているようです。直接窓口に出向くのではなく、電話等であらかじめ相談予約をすることが必要です。場合によっては弁護士や行政書士、司法書士等の専門職にお問い合わせになることもお考え下さい。

また、ここでは雇用、年金、健康保険に関わる制度は書いておりません。それらについては社会保険労務士に御相談ください。

住居確保給付金

この給付金は、2020年4月20日から給付対象者が広がりました。フリーランスの方も対象となります。

ただ、フリーランスの方については、SNS上で「使いづらい」との指摘もある制度です。一部、誤解に基づいた批判もありますが、廃業や転職等を考えていない方や副業が難しい方には向かない制度だとは思います

制度の趣旨離職者であって就労の意欲のある方のうち、住居を喪失している方又は喪失するおそれのある方を対象として住宅費を支給するとともに、就労支援等を行う。
対象者次の①~⑦のすべての条件に当てはまること
①離職等により経済的に困窮し、住居を喪失しているか喪失するおそれがある。
②申請日において離職等の日から2年以内。
 ※給与等を得る機会が、個人の責任によらない理由で減少し、
  離職や廃業と同程度の状況にある方も対象になります。
  (いわゆるフリーランスや個人事業主)
③離職前に主たる生計維持者だった。
④世帯収入と預貯金の額が、基準値以下である。
 ※基準値については世帯人数ごとに細かく定められています。
⑤ハローワークに給食の申込みをし、求職活動を行う。
⑥雇用政策による給付やその他類似の制度を利用していない。
⑦世帯全員が暴力団員ではない。
支給額毎月の家賃額を上限に計算されます。
共益費や管理費は給付の対象外です。
支給期間原則として3か月
※就職活動への取組み状況等により、3か月延長を2回までできます。(つまり、最大9カ月の支給期間)
支給方法市町村から、賃貸人や不動産管理会社等の家賃振込口座に直接振り込まれます。
受給中の義務次の1~3の求職活動をすべて行う必要があります。
1.月4回以上、市区町村の就労支援員等による面接等の支援を受ける。
2.月2回以上、ハローワークで職業相談等を受ける。
3.原則週1回以上、求人先へ応募を行う又は求人先の面接を受ける。
※フリーランスや個人事業主等については、2や3に換えて、副業や転職を視野に入れた職業相談をハローワークや自立支援機関と行うことも考えられます。詳しくは相談窓口へ。
(厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室が令和2年4月7日に発した事務連絡に添付されていた「住宅確保給付金の支給に係る事務の手引き【未定稿】」P.15参照)
相談窓口市区町村の福祉関係の窓口

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金は下に記す6つの資金をまとめた名称です。すべて地域の社会福祉協議会が窓口になる世帯単位を対象にした貸付制度つまり借金です。

借金ではありますが、無利子だったり、利子があったとしても非常に低い利率になっています。(2020年4月20日現在の情報)

手続は少し面倒かもしれませんが、生活にお困りの方は一度、社会福祉協議会に出向いて御相談されるとよいかと思います。下に書いていない制度も利用できるかもしれません。

ただし、現在は直接出向く前に、電話で相談予約をされる方がよいと思います。

※外国人の場合

外国籍の方でも、次の2つの条件を満たしている方は対象になります。

  • 住民基本台帳への登録をしている。
  • 現住所に6か月以上居住し、今後も住む見込みがある。

御相談は、市区町村または社会福祉士や行政書士に。

総合支援資金

対象

少なくとも、次のすべての条件に当てはまること

  • 低所得世帯であって、日常生活の維持が困難になっている。
  • 失業や離職及び収入の減少から2年以内で原則65歳未満
貸付内容 生活支援費

再就職や生活再建までの間に必要な生活費

  • 原則3か月(最長12カ月)
  • 単身世帯で月15万円以内
  • 複数世帯で月20万円以内
住居入居費

賃貸住宅に入居するために必要な仲介手数料や保険料、敷金・礼金等

40万円以内

一時生活再建費
  • 新たに就業するために必要な支度費など
  • 現在より安い家賃の住居に転居するための費用
  • 滞納している公共料金を支払う費用
  • 60万円以内
償還期間等

据置期間 : 最終貸付日から6か月以内

償還期間 : 据置期間終了後10年以内 

利子

連帯保証人あり : 無利子

連帯保証人なし : 年1.5%

福祉資金・福祉費

貸付の対象になる経費はいろいろありますが、主なものだけ紹介します。

ちなみに、据置期間はすべて6か月以内。連帯保証人をつける場合は無利子。連帯保証人になる人がいない場合は、年1.5%の利子です。

貸付対象経費 限度額 償還期間
生業費 生業を営むために必要な経費 460万円以内 20年以内
技能習得費

技能習得に必要な経費

その期間中の生計を維持するために必要な経費

習得期間が

6か月程度:130万円以内

1年程度:220万円以内

2年程度:400万円以内

8年以内
支度費 就職・技能習得等の支度に必要な経費 50万円以内 3年以内
療養費 負傷又は疾病の療養に必要な、健康保険適用後の自己負担額や療養期間中の生計を維持するために必要な経費

1年以内:170万円以内

1年~1年半:230万円以内

5年以内
介護等費 介護サービスまたは障がい者サービスを受けるのに必要な経費やその期間中の生計を維持するために必要な経費

福祉資金・緊急小口資金

原則として、下記の使途のため緊急かつ一時的に貸付ける少額資金です。

貸付限度額は10万円以内。据置期間が2か月以内。償還期間は1年以内です。

<主な資金の使途>

  • 医療費又は介護費の支払
  • 火災等により生活費が必要
  • 年金・保険・公的給付金等の支払い開始までに必要な生活費
  • 解雇や会社の休業等による収入減のための生活費
  • 滞納している公共料金の支払

教育支援資金

低所得世帯に対する、高校や短大・大学などへの授業料や入学金等に充てる資金。無利子です。

据置期間は、卒業または退学してから6か月以内。

償還期間は据置期間終了後20年以内(ただし、貸付金額により変わります)。

<貸付内容>

教育支援費 高校等に支払う授業料などの月額
就学支度費

入学金等の入学にかかる経費で自己資金でまかなえない額。

入学時の1回限りの支給になります。

滞納 高校等に在学していて、授業料を滞納して進級や卒業ができない場合に、自己資金でまかなえない額。

<限度額>

 

高等学校

専修学校(高等課程)

高等専門学校

短期大学

専門職短期大学

専修学校(専門課程)

大学

専門職大学

教育支援費 月額35,000円以内 月額60,000円以内 月額65,000円以内
就学支度費 50万円以内

不動産担保型生活資金

自己所有の不動産に住んでいる、低所得の高齢者世帯が必要とする生活資金を貸付ける制度です。

対象
  • 申込者が単独で所有している不動産に居住している。
  • 世帯の構成員が65歳以上で低所得世帯である。
  • 不動産に抵当権や賃借権等が設定されていない。
  • 他の公的資金の貸付を受けていない。

※マンションはこの制度の対象外です。

条件 社会福祉協議会が依頼した不動産鑑定士による評価額が1000万円いじょうであること。
限度額 評価額の70%程度
貸付期間

貸付元利金が限度額に達するまで。または借受人が亡くなるまで。

※借受人の配偶者が貸付契約を承継する場合は除きます。

貸付月額 1月あたり30万円以内で、3か月ごとの交付

利子

年利3%以内

※長期プライムレートにより低くなる場合もあります。

償還期間

償還方法

貸付契約終了後3か月以内。

借受人または連帯保証人による一括償還

担保

社会福祉協議会が根抵当権設定登記をします。

その他、必要な保全措置をとります。

連帯保証人

推定相続人の中から1名を連帯保証人とする必要があります。

※推定相続人がいない場合は、不要です。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金

一般に住宅を所有している場合は生活保護を受けることができないと言われています。

この制度は、住居を所有している65歳以上の方が、そこに住み続けたいのだけれど生活保護を受けなければ生活できないという場合に、その住居を担保にして生活資金を貸付けられる制度です。

内容は「不動産担保型生活資金」の制度と、ほぼ同じですが、次の点が異なります。

対象
  • 生活保護の実施機関(福祉事務所)が要保護世帯であると認める高齢者世帯であること。
  • 不動産は、マンションも含まれます。
条件 評価額は500万円以上です。
限度額 原則として評価額の70%程度ですが、マンションの場合は50%程度になります。
貸付月額

生活保護の実施機関(福祉事務所)が算定した額

※交付は1か月ごと。

備えあれば患い無し~貞観政要~

by Bin co

先日、「地域防災とまちづくり」( 瀧本浩一著 イマジン出版) という本を読みました。

著者の瀧本先生は山口大学准教授で総務省消防庁消防大学の客員教授も兼ねておられる方で、いくつかの県で防災アドバイザーをされている方です。

この本の「おわりに」で先生が紹介していたのが、貞観政要(じょうがんせいよう)の上の言葉です。

今まさに世界中が新型コロナウィルスという災害に遭っている時に、少し場違いな感が無きにしもあらずですが。

しかし、こうした最中でも「自分は大丈夫」と思っている方もおられるかもしれませんし。自戒も込めて載せることにしました。

「備えあれば患い無し」という言葉は、防災に関連してよく使われる言葉ですが、その出典の1つが貞観政要なんですね。

貞観政要では、「安きに居りて=平和な時」に思う「危うき=危機」というのは、何も災害に限ったことではないようです。

でも、今、報道されている各国の対応等を鑑みて、やはり平時つまり「安きに居る」ときに何をしていたのかが、大事だなと思う次第です。

今、瀧本先生の指摘を受けて、「貞観政要」(呉兢編纂 守屋洋翻訳、ちくま学芸文庫)を購入し読んでいるところです。正直、冒頭からため息をつきながら、辛い思いをしながらの読書です。

なお、冒頭の画像にある漢文を書いてくださったのは、書道家のBin co さんです。

新型コロナ対策と災害発生時の避難所

すでに、いくつかのメディアで「現在の新型コロナ感染への対策が施されている中で、地震等の災害が発生した場合の避難をどうすべきか」という問題が提起されています。

私は東日本大震災の時などに、避難所の中でインフルエンザの流行が懸念されたことを思い出しました。

でも、今回の新型コロナは毎年流行するインフルエンザよりも感染力が強い。その上、すべての人が免疫力を持っておらず、重症化のリスクもインフルエンザよりも高い。

だから、東日本大震災時やその後の災害の時の対応を参考にしてそれで済ませていたのでは不十分になる可能性が高いと私は思います。

しかも、すべての人が未経験の事態!

さらに、準備しておくべき物資の中には、入手が難しいものもある(例えばマスクや消毒液)!

加えて、多くの人が共同作業をすることもやりにくい(3密)!

それでも、防災対策を考える時に最も大切な「想像力」をフルに発揮し、少しずつやれることをやっておくしかないでしょう。

以下に、いくつかの私の思い付きを書いてみます。お読みになった方々で、さらにご検討ください。

※それぞれの避難所での対策を当事務所でも一緒に考えさせていただきます。まずはメールで御相談ください。(初回無料)

1.大雨対策ならば知人宅への事前避難。

 もちろん、浸水や土砂災害の恐れがないならば、自宅で待機することが求められるでしょう。金銭にゆとりのある方ならば、ホテルへの避難もあるかもしれません。

 知人宅へ事前避難する場合、次の点を合意しておく必要があるかもしれません

  • 避難する側が持ち込む物 と 家を提供する側が貸す物 との区別
  • 滞在費用の負担
  • 滞在期間(特に、避難する側の家が被災した場合、いつまで滞在できるか)
  • 感染リスクへの対応(特に、避難する側の配慮が求められることかと思います)

2.地震の時は、建物が倒壊する危険がないなら在宅避難。または車やテントを利用。

上記、1や2の避難者に対する、地域の自主防災組織や行政などによる次の配慮は欠かせません。

  • 支援物資の提供
  • 災害や支援、復旧に関する情報の提供
  • 被災状況や、必要とされる支援、救護等の要望事項等の収集

さらに可能であれば事前に、避難所以外への避難を選択する人・世帯を把握しておくことが望ましいと思います。

3・避難所の使用割当の見直し

新型コロナ対策で大切なことの1つが「3つの密」を避けることでした。

現在の状況下で避難の在り方を見直すのは、この3密の解消の必要性からです。そのために知人宅への事前避難や在宅、車・テント避難が可能な人には、そちらを選択していただき、避難所を利用する人を減らすしかないと私は思います。

その上で、次にあげるような避難所の運営方法を見直すことが大切になるでしょう。

① 1つの世帯あたりの避難所での利用面積を広める。

② 世帯と世帯の間隔を広げる。

最近は、段ボール等で区割りをしている避難所もあるようですが、その準備がない所では3密を可能な限りで解消するために、人と人との間を開ける手立てが必要です。

例えば、通常の避難場所が「学校の体育館」だけを使用する計画であるならば、校舎の教室のいくつかも使用できるようにすることも考えなければならないと思います。

安全な場所ならば、地域の集会所やビルの会議室を提供してもらうことも検討してよいかもしれません。

③ 定期的に消毒をする。また、その当番を割り当てる。

④ 救護班や救護所を複数化する。

これは、発熱、咳等の症状から感染症(かぜ・インフルエンザも含む)への罹患が疑われる人を、他の人々とは離した方が良いと考えるからです。

また、避難所に備蓄しているマスクや手袋、防護服があるはずがないのでそれに代わるエプロンや、防護服代わりにするゴミ袋や、廃棄物を入れるゴミ袋には限りがあると思います。特にマスクやゴム手袋は、感染症対応班や消毒係に優先的に配当しやすくする必要があります。

⑤ 支援物資の配給場所および時間と、行政等からの情報を提供・掲示する場所を工夫。

⑥ 動線の整理をする。

例えば「正午より昼食の炊き出しを行います」という告知では、炊き出し場所に人々が殺到してしまうことでしょう。

だから時間をずらして支援物資を取りに来てもらうとか、配給場所を複数用意するなどの工夫をする必要があると思うのです。

これと同様のことは、行政などからの復旧や支援に関する情報提供にも言えると思います。

例えば、掲示板を何箇所かに分けて設置し、1つ掲示版に集まる人数を減らすことも考えられます。

人の動きが滞るところがあると、そこに一時的にでも3密の場面が出てきてしまいます。

それを避けるためにも、避難所の利用計画を見直し、人の動線を整理することが重要になるでしょう。

要するに

新型コロナの広がりが心配される現在、避難先での3密を避けるには

  • 避難所利用者を少なくする手立て(自助も含めて)
  • 避難所内での3密の解消の工夫
  • その他、避難所内での感染の広がりを防ぐための手段

が必要なのだと思います。

その方法として、以上のことを思いついたのですが、ここまで読んでくださった方はどう思いますか?

課題

障がい者や介護が必要な高齢者、自宅療養をしている傷病者の避難行動は、新型コロナ対応においては一層の配慮や困難が予想されます。

こうした方々のために福祉避難所がありますが、新型コロナ等への感染リスクを考えると、受入施設の立場からすると難しい判断を迫られるような気がします。

最後に

沖縄は例年5月上旬には梅雨入りします。

過去には4月下旬に台風が鹿児島県に上陸した時もあったようです(昭和31年)。

地震には季節は関係なく、いつ発生してもおかしくはありません。

最悪の事態を想定し準備をしておくのが防災ならば、

今、新型コロナ感染拡大を防止しつつ、自然災害への対応をどうするのか?

を考えることは非常に大切なことであると思います。

自助と共助の両方を、少し考えてみてはいかがでしょうか?

遺言保管制度の手数料

2018年に行われた相続法改正。そのほとんどが今年の4月1日に施行されました。

そして最後に残された「自筆証書遺言の保管制度」が、今年の7月10日から実施されます。

しかし、これまで手数料等の詳細が明らかになっておりませんでした。

今日、久しぶりに法務省のホームページを見てみたら、3月31日から専用のページがオープンしていました。(下にリンクを張りました)

ただ、ほとんどのメニューは「準備中」になっておりましたが、下記の点は確認できます。

  • 手数料
  • 遺言書保管所一覧

遺言書の保管申請は、一件3900円。変更届については手数料はかからないようです。

詳しくは、法務省のホームページを御覧ください。

ちなみに、相続される方が保管されている遺言書の「遺言書情報証明書」の交付は、全国どこの法務局に申請してもかまいません。ただ、遺言書の閲覧は、保管している法務局に行かなければ見ることができません。

法務省のホームページ : 法務局による自筆証書遺言書保管制度について

保管してくれる遺言書の様式等は、まだわからないので、早めに遺言書を作成したい方は、既に施行されている自筆証書遺言のルールに基づくか、公正証書遺言を作成されるべきです。

御相談は、行政書士や弁護士などにお尋ねください。

火山灰への対応

今日の朝刊(毎日新聞では1面と3面、朝日新聞は社会面)に、政府の中央防災会議の作業部会が発表した、富士山が大規模噴火した時の影響について掲載されていました。

東日本大震災後には、「大きな地震の後には大きな噴火が起きやすい」と警戒もされていました。2014年の御嶽山、2015年の口永良部島や桜島などの噴火は有りました。東北地方では火山活動が活発化したことはあったものの、今のところ大きな噴火はありません。

「災害は忘れたころにやってくる」ではありませんが、今朝の富士山が噴火した時の影響予測の発表は、近くの火山が噴火した時のことを考えておくにはいい機会かもしれません。

自然災害の中で噴火については、桜島周辺など国内のいくつかの地域は防災ノウハウを蓄えているとおもいます。しかし、近くに火山があってもその麓から少し離れると、噴火への防災意識は希薄になりがちです。でも火山灰は広範囲に影響を及ぼすので、それへの備えは大切です。

例えば、私の住む仙台市に最も近い活火山は蔵王。

蔵王が噴火した時、宮城県側で言えば蔵王町や川崎町などの麓に住む住民は大きな被害を受けそうですが、仙台市はそれほどの被害はなさそうにも思えます。

ですが、蔵王の御釜から直線距離で30km近く離れた仙台市にある遺跡では、蔵王の火山灰の層が見つかっていることから考えると、安心してばかりもいられません。

火山の麓以外の地域で考えられるのは、火山灰による直接・間接の被害。

今朝の朝刊には、項目的にその被害予測が出ていましたが、健康面や上下水道、農作物への被害予想については出ていなかったようなので、その点について簡単に触れます。

この投稿の下にリンクを張った、昨日の中央防災会議の資料ではこの点についても触れていたので、御興味のある方はそちらを御覧ください。

まず、健康面への影響です。

こちらについては、独立行政法人防災科学技術研究所が翻訳した「火山灰の健康影響 ~地域住民のためのしおり 」が参考になります。(より簡単に紹介したパンフレット「火山灰から身を守ろう」は、小学校中学年以上のお子さんにもお勧めします。)

特に、呼吸器系や目への被害が心配されるようですので、ゴーグルやマスクの準備が必要です。

コンタクトレンズを使用している人は、コンタクトを外さなければならないようです。

マスクが入手できるようになったら、学校や勤務先にも常備しておくと良いかもしれません。

動物への影響も考えておかなければならないでしょう。

ペットであれば、火山灰が除去されるまでは家屋内で保護すれば良さそうです。

水道や下水道は、浄水場や汚水処理場などに火山灰が降ることによる被害が予想されます。他の災害への備えと同様に、飲料水や簡易トイレの備蓄が大切です。

次に農産物。

家庭菜園でとれる野菜くらいであれば、灰をきれいに落とせば食べられるようです。

でも、業として収穫する農作物への被害は甚大になります。

農作物そのものへの被害(傷や変色、収穫不能など)もそうですが、農地や施設設備、農業用水の復旧は相当の時間と費用がかかるでしょう。

火山灰降下などの噴火による直接的な被害の他に、火山灰が大気圏を漂うことによる気象変動、特に日照不足と低温による影響も、農業の場合は考慮すべき事柄です。

取りあえず、収入保険への加入等、経済的な対策はしておくべきかと思います。

その上で、農地や採草放牧地や施設設備の復旧、家畜のえさの確保等の手段を農場ごとに、あるいは地域ごとに備えておくべきかと思います。

農業は自然現象の影響を大きく受ける産業です。しかも、生活や経済への影響も重大!

地震や大雨などの災害同様に、噴火に対する備えもする。農業こそがBCPを策定すべき産業だと私は思います。

※中央防災会議の作業部会の公表資料はこちらから↓

中央防災会議 防災対策実行会議 大規模噴火時の 広域降灰対策検討ワーキンググループ(第4回) の資料等