台風19号被災者への宮城県の支援策

台風19号で被災した方に向けての宮城県の支援策について、下記にリンクを張っておきます。

県税関係

個人事業税、不動産取得税、自動車税が減免になる場合と、市町村住民税と合わせて県民税が減免になる場合、納税が猶予される場合があるようです。

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/zeimu/r1typhoon19.html

住宅関係

即時入居可能な公営住宅の情報や、仮設住宅や、住宅再建支援制度などについての情報が、このリンク先にまとめて掲載されています。(被災された方御自身は、現在インターネットを御利用できないかもしれませんが・・・)

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/juutaku/r1typhoon19-jyuuakusaiken.html

中小企業向け

宮城県制度融資による資金繰り支援があります。市町村長等による認定が必要になりますが、罹災証明で換えられるものもあります。

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/syokokin/taihuu19.html

東日本大震災で被災した企業がグループ補助金で整備した施設・設備に台風被害を受けたため、その施設を取壊したり、設備を廃棄する場合は,補助金の返還義務はありませんが、知事に報告書を提出する必要があります。 

https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/kifuku/typhoon201919.html

農林水産業向け

被害の大きかった農林水産業に向けては、農林水産省と県・市町村が共同で様々な支援策を発表しております。農地・水路、倉庫、林道、ハウス(業者施工だけでなく自力施工も含む)、果樹植替え、被害果実の利用等様々な支援策があるようです。詳しくは、農林水産省のホームページを御覧ください。

ただ具体的な手続については10月29日現在での農林水産省のウェブサイトでもわかりませんでした。

また、事業資金として「農林漁業セーフティネット資金」と「農林業施設資金(災害復旧)」という制度を、日本政策金融公庫が行っています。「農林漁業セーフティネット資金」の方は、市町村や農協も問い合わせ先に指定されていることと、新規就農者(市町村長の認定を受けた者に限ります)も支援の対象になっています。

その他

その他にも健康相談等の窓口が、下記の宮城県庁ホームページにまとめて掲載されているので御覧ください。

https://www.pref.miyagi.jp/site/gyoseisabisu/2019typhoon19.html

遺言ミニセミナー

昨日、少人数のミニセミナーを行いました。

今回のテーマは遺言です。

相続法改正によって、自筆証書遺言が少し書きやすくなったのと、来年7月10日から始まる遺言保管制度によって、遺言が今までよりは身近になるのかもしれません。

ただ書き方以上に、その内容に注意を払った方が良いので、相続法や相続税の大まかな計算の仕方や控除制度についても触れたので、中身としては盛りだくさんのセミナーになってしまいました。

それでも参加された方は皆さん熱心で、質問もたくさんしていただきました。

参加された方もおっしゃっていましたが、顔なじみの方ばかりの少人数(昨日は4名でした)なので、気兼ねなく質問できるのがこの形式の最大の利点です。

最後の方は、セミナーの内容から少し外れてお茶飲み話タイムに流れていきますが、それもまた楽しいひと時です。

先日読んだ雑誌には、高齢になれば外出機会も減り、家族以外の人間との交流が少なくなると書いてありました。ミニセミナーは、ほんの少しだけ、そうした機会の提供にもなっているようです。

ありがとうございました。

避難行動のタイミング

昨日から「台風19号のような状況の時、どのタイミングで避難所に移動するか」ということを考えています。もう少し踏み込めば「地域住民同士で避難を呼びかけあう時に、どのようにすればよいか」という地区防災計画に関わることです。

おそらく多くの地区(町内会やマンション等の地域住民のまとまり)で、防災計画を立てて、それに基づいて避難訓練や、避難所運営にあたっていることと思います。

その中で、例えば今回の台風のような場合に「どのタイミングで避難行動を開始するのか」ということは、とても大切な計画事項だと思います。

というのも、高齢者や障がい者、小さな子供もいる妊婦さんなどの避難する際に援助の必要な方に、いつ、誰が声をかけ、実際の避難を支援するかというのは、その本人はもちろん、支援者の命に係わるからです。

大きな災害に見舞われた丸森町の阿武隈川と大郷町の吉田川について、国土交通省の「川の防災情報」というサイトから時間雨量と川の水位のデータをとって、当時の状況を想像してみました。(下のグラフや添付したファイルは、「川の防災情報」のデータを、私のために整理・加工したものです)

 

  • 青の縦棒    ・・・1時間の降水量
  • オレンジの折れ線・・・川の水位
  • 緑の横線    ・・・水防団待機水位
  • 黄色の横線   ・・・氾濫注意水位
  • ベージュの横線 ・・・避難判断水位
  • 赤の横線    ・・・氾濫危険水位

このグラフを見て、私は「早めに避難する判断は難しかったかもしれない」と感じました。

というのも、まず川の増水で指摘されていることですが「雨の降り方が落ち着いた後も、川の増水は続く」ということです。また「いったん増水し始めると、水位の上昇スピードが速くなる」という傾向も見られます。これは、上流や支流、用水路等から流れてくる水が徐々に下流で合流し流れてくることによるそうです。

つまり、川に近い地域の方にとっては「雨の降り方が弱くなったから安心」といことにはならないのです。

このことは、長く川のそばに住んでいらっしゃる方にとっては既知のことでしょうけれども、敢えて強調いたします。

さらに、丸森町では難しい状況にあったと思います。

記録によると丸森町が町内全域に避難準備情報を発令したのは午後2時頃です。避難勧告も午後3時20分ごろです。

これは本格的に雨が降り始めて3~4時間経過頃のことだと思いますが、その頃はまだ阿武隈川の水位データはそれほどの増加は見られません。だから、もしかすると「まだ大丈夫」「もう少し様子を見よう」と思ってしまうかもしれない状況だったのではないでしょうか。

報道などによると道路が冠水したりし始めるのは午後6時あたりだったかもしれません。そのころ既に周囲は暗く、雨脚はかなり強くなってきています。阿武隈川は水位も上がってはきてはいるもののまだ水防団待機水位には至っていない。この時点での避難所への移動の判断は、既に非常に難しい局面になっていると思います。私なら自宅が2階建てなら2階への垂直避難を選択するタイミングです。

安全に避難するには、やはり避難準備情報の段階で移動し始めるのが良かったのでしょう。

今回も、亡くなられた方の多くが御高齢のようですが、高齢者に関しては「周囲への気兼ね」と「家への愛着」、「身体機能・認知機能の衰えからくる判断の遅れ」の3点が、避難行動に影響を与えかねません。

ゆっくり動くために周りに迷惑をかけるとか、避難所で周囲の人に気を遣わせるのではないかとか、逆に気を遣うのがいやだとか。長年住み慣れた家を離れたくない気持ちもあるかもしれません。

同居している家族がいれば一緒に逃げることもできるでしょうけれど、1人あるいは高齢者夫婦のみの世帯だと家に残りたい気持ちが勝ってしまう可能性もあります。

こういう時に、地域の人は、どのように高齢者を避難誘導したらよいのでしょうか?

それが昨日から私が考えていることでした。

そして多くの防災関係者や研究者が、長年考えて呼び掛けていることでもあると思います。

1つの試案として次のような展開を思いつきました。呼びかけに応じて行動を開始してくれれば良いのですが、そうじゃない時には呼びかけ人は呼びかけだけして、すぐにそこを去った方が良いと思います。

段階 呼びかけ人 呼びかけ内容
台風通過が濃厚になった段階 地区の担当者A 避難準備情報が出たら声をかけに来るから、逃げる準備しておいて
雨の降り始め・風の吹き始め 隣の人又は家族

そろそろ逃げる準備しよう

※電話等の方法による

避難準備情報 地区の担当者B みんな移動し始めたから一緒に行こう
担当者Bが去った後に、避難勧告が出る前 地区の担当者C みんな待っているから迎えに来た

私は、呼びかけ人は、それぞれの段階で違う人物が行う方が良いと思います(高齢者にもよるかもしれませんが)。

上記のような呼びかけをやったことがないし取り組んでいる地域も知らないので、効果はわかりません。でも、試してみる分にはいいかなと思い書きました呼びかけ人を務める人材が足りない地域もあると思います。地区の役職員だけでなく、隣近所や中学生、遠方の家族からの電話など様々な工夫でやってみてはいかがでしょうか。

また、避難した後は、玄関先などに外から見えるように「避難しました」というサインを残した方が良いでしょう。

これは、私の住んでいる地区で実際にやっていることです。あらかじめ地区毎にどういう避難したサインを取り決めておけば、地区の担当者が各訪問先を巡回する時に役立つはずです。災害時に避難した後の家に窃盗が入る心配もありますが、命を守る行動を最優先にしてほしいものです。

以上、まだ行方不明の方もおり、緊急避難所で心細い思いをされている方も大勢いらっしゃる段階で、こうした投稿を載せることに躊躇も感じました。でも、被災していない方も関心を高く持っているこの時期に、投稿することの意義もあるかと思います。そうしたことも汲み取って読んでいただけたら幸いです。

台風19号丸森大郷水位等データ

 台風19号丸森大郷水位等グラフ

火災保険の水災補償

台風により被害に遭われた方に、謹んでお見舞い申し上げます。

今は、行方不明の方の捜索や、取り残された方の救助、そして水が引いた後の泥の書き出しなどに大変な時期かと思います。

ところで、すでにいくつかのメディアでも触れていますが、住宅や店舗、家財にかけている火災保険の保険金を今後請求する場合に備えて、復旧作業前にあるいは同時進行で被災状況を必ず写真に撮っておきましょう。

豪雨による水害に対して火災保険から補償を受けるためには、まず、水災が補償されるような契約になっていることが前提です。

なぜ、これを強調しているかというと、火災保険は補償内容を選択できるため、契約時に水災を外している方がいらっしゃるからです。

ですから、まず保険証券を確認するか、保険証券が無い場合には保険会社か代理店に電話をして、補償内容を確認する必要があります。

ただ、被災直後の混乱した中で、火災保険の補償内容を確認するゆとりはないと思います。だから、使うかどうかは置いておいて、とりあえず写真は撮るようにした方が良いかと思います。

被災状況を写す時には「どの高さまで浸水したのか分かるように撮る」ことと、「何が、水や泥をかぶった、あるいは破損したかが分かるように撮る」ことが大切です。

水災の補償を請求するには、次の二つの条件のどちらかに当てはまっていることを証明する必要があります。

  1. 建物または家財に、それぞれ時価額の30%以上の損害が生じた。
  2. 床上浸水の結果、建物または家財に損害が生じた。

この内、床上浸水というのは、火災保険では

  • 土間やたたきの類を除いた建物の床を超える浸水
  • 地盤面から45㎝を超える浸水

のどちらかに当てはまる状態を指します。

例えば、道路に面したお店のフロアーは地盤面とほぼ同じ高さかと思います。その場合、壁や柱に泥などの浸水した痕跡がフロアーから45cm以上のところにあれば、火災保険から補償が受けられる可能性があります。

ですから、その痕跡を消す前に、高さがわかるもの(巻き尺、人など)と一緒に写真に撮っておくのです。

また、実際に建物が破損していたり、家電が水に浸かって使用できなくなっていたり損害があった物を、それを掃除したり処分する前に、泥などで汚れたままの状態を写真に撮るのです。

保険会社に火災保険の請求をすれば、しばらくして、保険会社から調査員が被災状況を確認に来ます。

おそらくその時には、家やお店は片づけられ、水や泥をかぶった家具や家電は処分されていることでしょう。

だから、調査員に被害があったことを、被災された方御自身や御家族が証明しなければならないのです。調査には必ず同行・同席し、損害があったことの証拠として写真を提出しましょう(もちろん写真等の記録は手元にも残しておきます)。また、写真を調査員に渡したことの記録も残すことも大切かもしれません。

また、浸水被害ではなく、豪雨・暴風雨による土砂崩れや落石による損害も、この水災補償により保険金が支払われます。

ですから、火災保険の契約に当たっては、浸水はないかもしれなけれど土砂災害が予想される時は、水災も補償されるようにしておくべきです。

被災後の混乱した中、冷静でいることは難しいとは思いますが、これからの生活再建のために耐えて頑張っていただきたい。心からそう願っています。

夫婦合わせて201歳

昨夜放送されたNHKの「所さん!大変ですよ」は、高齢者の健康の秘訣についての特集でした。

その中で2人の年齢を合わせると201歳になるという御夫婦が、とても幸せそうで、あのような年の取り方をしたいものだと思ったものです。

たまたま昨日の仕事の帰り道、なんとなく「幸せ」について考えていたのでした。

ドラマなどのプロポーズで「必ず幸せにします」みたいなことを言いますよね。その「幸せにする」ということの中身のことです。

何年かしたらマイホームを建て(あるいは買い)、それなりの収入と、安定した生活、家族全員が笑顔で暮らす、というイメージかなと勝手に想像したのです。

そこで私が、これも勝手にひっかかったのが「何年かしたら」というところ。

でも、先の201歳の老夫婦のように、その日、その時に幸せを感じられるということが、実は何よりの幸福なんだろうなと、実は皆がわかっていることが、ふと腹に落ちたのです。

そのために、自分の周囲の人の幸せのことを考える。先日のブラタモリで紹介していた最澄の教えである「忘己利他(もうこりた)」が、本当に大切なんだなと、思った昨日の夜だったのです。

・・・なかなか実践できないのですけどね。

親のトリセツとユマニチュード

私の母も80歳を超え、大分、老いを感じるようになりました。話しかけても反応がなかったり、歩くスピードもずいぶん遅くなりました。

でも、私の言っていることが理解できないのではなく、恐らくは聞こえづらかったり、考えたり思い出したり判断したりするのに少し時間がかかるだけだったりします(その証拠に、私が母の反応を待つのを諦めたころに、ゆっくり話しだしたりします)。自分の考えを持っており、口出しされると無言で拒絶したり、時には反抗もしたりします。

少し前に「『年を取ったな』と実感する時」というタイトルで、何かのきっかけがなければ自分の年齢について考えることはない、という旨の投稿をしました。

母くらいの年齢になれば、さすがに自分の年についての自覚はあるでしょうけれど、「自分にできること」とか「自立への意思」のようなものは維持しているのではないでしょうか?

このことは御高齢の方と接する時にも心がけておきたいことだと私は思っており、それに関する本を2冊御紹介いたします。

  • 「精神科医が教える 親のトリセツ」 保坂隆著(中公新書ラクレ)
  • 「ユマニチュード入門」 イヴ・ジネスト,ロゼット・マレスコッティ著本田美和子訳(医学書院)

1冊目の「親のトリセツ」の著者、保坂隆先生は、聖路加国際病院で診療教育アドバイザーをなさっている精神科医です。その豊富な御経験から、高齢者の心理を踏まえた接し方について、様々なアドバイスをまとめたのがこの本です。

内容としては運転免許証の返納にかかわることや、家の片づけ、相続など、高齢になった親に関する様々な心配事に対し、どう関わったらよいかが丁寧に書かれています。どのケースにしても、本人の意思の尊重が土台にあり、その本人の意思決定をどう支えていくかという視点が貫かれているように私は読みました。

2冊目の「ユマニチュード入門」は、認知症ケアの世界的な第一人者であるイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が、その魔法とも言われるような技法の基礎を紹介した本です。テレビでも放送されたことがあるので、御存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この本には「ユマニチュードの4つの柱」として認知症の方への接し方、「心をつかむ5つのステップ」として認知症の方を訪問するところから退室するまでのおおまかなコミュニケーションの取り方について紹介されています。

4つの柱は認知症の方の体の支え方などの技術なので、多少の訓練が必要かと思いますが、5つのステップは完璧なものでなくてもマネをすることはできそうです。

何よりも、このユマニチュードで「認知症の方の人権」ということを私は考えさせられました。

超高齢化社会の日本。実行できるできないにかかわらず、多くの人とこれらの本で紹介されている知識を共有出来たらいいなと思います。