宮城県に出されている緊急事態宣言は、9月13日から、まん延防止重点措置に緩和されます。
それの結果、飲食店への要請事項も、少しだけ緩和される運びとなりました。
報道によると、今回ご紹介する「みやぎ飲食店コロナ対策認証」を取得している店と、所得していない店で要請事項に下のような区別が設けられる方向です。
認証を取得した店 | 認証されていない店 | |
仙台市 | ・午前5時~午後8時までの営業可 ・午前11時~午後7時まで酒類提供が可 | ・午前5時~午後8時までの営業可 ・酒類提供はできない。 |
仙台市以外 | 通常営業可 | ・午前5時~午後8時までの営業可 ・午前11時~午後7時まで酒類提供が可 |
このように、認証の有無によって、要請内容を変えています。これは、8月のまん延防止重点措置の時と同じです。
宮城県の「みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」事務局のHPによれば、宮城県全体で11%、仙台市内で19%の飲食店が認証を取得しているようです(9月3日現在のデータ)。
なお、この認証制度は、政府の要請に基づいて各都道府県で導入されているものです。
ただし、具体的な内容は各都道府県ごとに決めていると思います。
※令和3年4月30日付事務連絡「飲食店における感染防止対策を徹底するための第三者認証制度の導入について」内閣府・厚労省・農水省
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1.認証制度の目的
飲食店の新型コロナ感染防止策を強化し、それを県が認証する制度です。
県が認証することにより、次のような効果を狙っているのだろうと私は思います。
- その店の感染対策が行政が求める水準に達していることが、一般に認知される。
- その店が客に協力や了承を求める感染対策の根拠となる。
- 感染予防に関心の高い客が、対策を確実に実施している店を安心して選び利用することができる。
- 以上の結果、感染拡大に一定の歯止めがかけられると見込まれる。
2.認証取得のメリットとデメリット
正直に申し上げます。
私は、つい最近までは、この認証を取得する意義を見出せませんでした。
認証取得と維持にはコストがかかります。それは、ほぼ全ての飲食店が掲示している「緑色のむすび丸」のポスターを取得するコストを上回るはずです。
小さな店舗には負担の割にはメリットが少ないと思っていました。
しかし、おそらく今後は変わります。
ワクチン接種率の向上と、抗体カクテル療法などの治療法の確立などから医療機関への負担が増えない範囲で、経済活動が緩和される見通しです。
ですが、いきなり全ての店に対して「今日から通常営業OKです」となるより、段階的に緩和されるのではないでしょうか?
その時に、飲食店の場合、認証取得の有無で差が設けられる可能性はあります。
実際に、宮城県では「認証店おうえん食事券」の導入も検討されています。(仙台市のHPより)
今後の国の飲食店等への支援策は、自民党の総裁選や衆議院議員選挙の行方いかんにもよりますが、現状を考えればなんらかの措置はあるのではないでしょうか?
今回の宮城県のまん延防止重点措置を見ても、仙台市以外の店舗での認証の有無による要請の差は大きいと私は思います。
認証取得までには期間がかかります。(申請受付から認証まで約3週間)
まだ認証を受けていないお店は、今のうちに、検討してみてはいかがでしょうか?
3.認証制度の対象
基本的には飲食店の営業許可を所得している店が認証の対象です。
しかし、以下の店は認証を取得できません。
- 持ち帰り専門店(洋菓子店、弁当、総菜など)
- デリバリー専門店
- 風営法2条の許可業者(キャバレー、バーなど)
- キッチンカー
- 旅館やホテル内の飲食店(ただし、例外もあります)
その他にも認証の対象外になっている業種があります。
詳しくは、 「みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」事務局のHP の「認証制度全般に関するFAQ」を御覧ください。
4.認証基準(概略)
政府が各都道府県に求めた、感染防止の必須項目は次の4点です。
(1) アクリル板等の設置(座席の間隔の確保)
パーテーション(アクリル板等)が設置されているか 又は 座席間隔を1m以上確保するか。
(2) 手指消毒の徹底
消毒設備を設置した上で、従業員が来店者に呼び掛けて消毒を行う。
(3) 食事中以外のマスク着用の推奨
掲示物か従業員の声がけで来店客にマスクを着用してもらう。
(4) 換気の徹底
以上の4項目を、宮城県では36の基準に分けています。
ですが、多くの基準は、既にほとんどの飲食店が取得している「緑のむすび丸」のポスターの基準とほぼ一緒です。
大きな違いは、対策を実施しているか否かの基準が、客観的に証明できるか?という点にあると思います。
代表的なポイントを2つあげます。
1 実施状況の記録(文書)
2 十分な設備・備品
「1 実施状況の記録」ですが、この様式は 「みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」事務局のHP からダウンロードできます。
記録内容は「従業員の体調」、「CO2濃度測定結果」、「その他の対策の実施状況」の3つです。これらの事項について、毎日、記録することを求められています。
その他に、来店者に連絡先を記入してもらう様式もあります。
次に「2 十分な設備・備品」です。
室内はCO2濃度が1000ppm以下に保たれるようにしなければなりません。
そのため、CO2センサーの設置は必須です。ただ、1個で十分とは限りません。
CO2センサーは定期的な換気以外のタイミングを見定めるのに必要な機器です。出入口や窓、換気扇から離れた空気の流れがあまり良くない場所に設置します。
CO2センサーは、通信販売等では1個4,000円以上の価格で販売されています。
窓が少なかったり、環境によっては窓を開けにくかったりすることもあるかと思います。
こうした場合、換気のために扇風機やサーキュレーターの利用も必要になるかもしれません。
また、HEPAフィルター付きの空気清浄機を設置することも考えなければならないかもしれません(カラオケの歌唱者の近くなど)。ただし、空気清浄機はフィルターも定期的に交換する必要はあると思います。空気清浄機は通販で安いもので1万円(14畳程度の空間)以、。フィルターは1枚3000円~かと思います。
アクリル板等の設置ですが、基本的には人と人との距離が1m以上開けることが難しい場所に設置します。
入口で体温を計測したり、計測機器を設置している店舗があります。しかし、宮城県の認証基準では、体温計測は義務ではありません(「望ましい」とは書かれています)。
ペーパータオルを捨てるゴミ箱は、宮城県の基準には書かれていませんが、HACCPの観点からもフットペダル式の蓋つきゴミ箱が望ましいと思います。
消耗品としては、次のものが必要になります。
- 不織布マスク(従業員用、場合によっては未着用の来客のため)
- 消毒液(コロナ対策としてはアルコール、ノロウイルス用には次亜塩素酸)
- ペーパータオル(トイレの手を拭くタオルは不適当)
宮城県の認証の基準については、 「みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」事務局のHP を御覧ください。
5.費用の補助制度
認証基準をクリアするために、CO2センサーや空気清浄機などを購入しなければならない方もおられるかと思います。
宮城県では、それらの費用を補助する制度も設けています。
詳しくは、宮城県飲食店感染予防環境整備支援事業事務局のHPを御覧ください。
あらかじめ気を付けたい点を2つ挙げておきます。
1つ目は交付される補助金です。
消費税抜きの価格で5万円以上の支出に対して補助されます。つまり、5万円未満で収まった場合には、補助されません。
また、上限は10万円です。
2つ目は補助金は後払いです。
補助金の申請は、認証を取得した後になります。
認証のために空気清浄機やCO2センサーを購入した物について、その発注書、請求書、領収書を添付して申請することになります。
また、購入が認められる物のリストも 宮城県飲食店感染予防環境整備支援事業事務局のHP からダウンロードできます。
6.生活衛生同業組合の組合員の方
「みやぎ飲食店コロナ対策認証を取得したい」とか「補助金の申請をした」と思っても、申請が面倒だったり、不慣れだったりすると、それだけでためらってしまうかもしれません。
もし、申請を希望されている方が、生活衛生同業組合の組合員だったなら、組合を通して行政書士を派遣してもらえる制度があります。
こちらを利用すると、行政書士への報酬は無料になります。
このみやぎ飲食店コロナ対策認証制度やその補助金申請が、生活衛生業同業組合の支援事業の対象になるかどうかは、現時点では私にはわからないのですが(無責任な書き込みですみません)、一度、組合に問い合わせてみてください。
7.当事務所ができる支援
澤田行政書士事務所では、みやぎ飲食店コロナ対策認証制度とその補助金について、申請のお手伝いをいたします。
仙台市 | 仙台市近隣市町(交通費込み) | |
相談のみ | 4,000円 | 10,000円 |
みやぎ飲食店コロナ対策認証申請の支援 | 15,000円 | 25,000円 |
宮城県飲食店感染予防環境整備支援事業の補助金申請の支援 | 15,000円 | 25,000円 |
認証と補助金両方の申請支援 | 20,000円 | 30,000円 |
協力金の申請の支援 | 後日 | 後日 |
仙台市近隣市町として想定しているのは、富谷市・多賀城市・名取市・大和町・川崎町です。
それ以外の市町村については、別途、出張料・交通費を御請求いたします。
※この投稿の画像は「いらすとや」から