60歳からの終活 ~ 連絡帳第5章(1)延命治療について

 今回からタイトルにもエンディングノートとは記さないことにいたします。簡単に連絡帳と書きますね。

 連絡帳の第5章は

 私のために

というタイトルです。

 入院したり介護が必要になった時、あるいは最後の時を迎えた時のために、ご自身の希望を書くことが主な内容です。

 その第5章の最初の項目は、

延命治療(あるいは延命措置)についての御自身の意思

を書くところです。

 延命治療とは

病気が治る見込みがなく、死期が近くなった場合、延命のための医療

と言われています。

※内閣府の「平成24年度高齢者の健康に関する意識調査」の質問をもとに定義しました。

 延命治療を行うかどうかは、まず本人の意思が重要です。

 でも「本人の意思が重要」とは言っても、実際に延命治療を行うかどうかの判断が必要な時には、本人が意思を表すことができない状態になっています。

 だからこそ、事前に延命治療についての意思を明確に表明しておくことが大切なのです。

 また、家族の考えも重要です。

 延命治療を行うかどうかを判断する時点では、医師等は家族から医療への同意を得る必要があるからです。この時、家族は重い責任を負います。

 家族が延命治療を要請しても、あるいは「本人の希望」を尊重し延命治療を断ったとしても、後でこの時の判断について苦しみます。

 この家族の苦しみを和らげる方法の1つが、本人による事前の意思の表明です。

 連絡帳には延命治療についての選択肢をいくつか用意しています。そこから自分の気持ちに合うものに✔を付けた上で(場合によっては矛盾しない2つの選択肢に✔することもありえます)、その理由を手書きで書き、最後に日付と署名をするようにしてあります。

 でも、本当は次の3つの内の、いずれかが良いと私は思います。

  • 前文手書き
  • 公正証書
  • 公益財団法人日本尊厳死協会のリビングウイル

 ちなみに私は、連絡帳の記載をもとに、自筆書面を作っています。

 その上で、家族に自分の気持ちを自分の口から伝えておくことが最も大切です。

できれば同居の家族だけでなく、遠方に住む家族にも伝えておくことが望ましいです。「そんな話、聞いたことがない!」という家族がいると、家族間の意見の対立が生じやすいからです。

尊厳死と安楽死

公益財団法人日本尊厳死協会のWebサイトによれば、

「尊厳死とは、不治で末期に至った患者が、本人の意思に基づいて、死期を単に引き延ばすためだけの延命措置を断わり、自然の経過のまま受け入れる死のこと」

と説明されています。

公益財団法人日本尊厳死協会 「よくあるご質問」 から

一方で、安楽死とは、不治で末期であるという点は尊厳死と同じですが、

「医師など第三者が薬物などを使って患者の死期を積極的に早めること」

という点が尊厳死とは異なります。

※同じく公益財団法人日本尊厳死協会 「よくあるご質問」 から

以前、NHKが日本の患者さんがスイスで安楽死を行ったことを取り上げた番組が話題になったことがあります。

NHKスペシャル 彼女は安楽死を選んだ|番組|NHKアーカイブス

海外には安楽死を合法として認めている国があります。そうした国制度では、安楽死が選択できる条件や方法を詳細に設定して、複数の医師や法律専門職等が条件に合っているかどうかを時間をかけて判定した上で行えるようです。

韓国ドラマの「医師ヨハン」は、安楽死と尊厳死についても触れており、かなり考えさせられました。

将来の遺族の心の負担を軽くするために

延命治療を行ったかどうかに関わらず、その決断を医師に伝えた家族は、ご本人がお亡くなりになった後に苦しむことが多いと上に書きました。

 その家族の心の負担を軽くする方法として、事前に自分の意思を書面に記し、口頭でも伝えることの大切さもお示ししています。

 その他に、私が「有効かもしれない」と思っていることが、大きく言って2つあります。

① 遺書 又は ビデオメッセージ

遺産の処分の仕方については、法的に有効な遺言書にすべきです。

ここで示した遺書又はビデオメッセージは、遺言書とは別です。

あくまでも将来の遺族に、あなたの気持ちを伝える目的のものです。

これまで御遺族の中には、遺品整理の時に見つけた日記やメモを読んだことが救いになったと言う方もいらっしゃいます。

② 人のつながり

あなたと将来の遺族の共通の知人は、死後の悲しみを分かち合える心強い存在になると思います。

もしその知人が近隣にお住いなら、もっと良いと思います。

今現在、そうした知人がいないならば、これからつながりを作っていく事も終活の1つに加えてみてください。

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