昨年の5月から、新型コロナ関係の「〇〇支援金」だとか「〇〇協力金」の申請のお手伝いなどを通して、多くの個人事業主やフリーランスの方と関わって参りました。
こうした支援金関係などは、確定申告書の写しの提出を求められることがほとんどです。
ですから、多くの方の確定申告書を拝見したことになります。
で、印象で判断すると半数位は白色の確定申告でした。
私は思うんです。
確定申告を白で行うのはもったいない!
これまで白だった方は、来年の確定申告は、ぜひ青色で行いましょう!
Table of Contents
1 青色申告のメリット
国税庁や税理士さん、会計ソフトを作っている会社のホームページだけでなく、個人事業を開始した方のブログでも指摘されている事ではありますが、青色申告のメリットを簡単に御紹介します。
① 所得から最高55万円(eーTaxによる申告をする場合には最高65万円)の特別控除
② 青色事業専従者給与
③ 貸倒引当金
④ 純損失の繰越しと繰戻し
上のうち、①の控除額は、かつて私が白色から青色に変えたときに実感としてありがたく感じました。
②や③については国税庁や税理士さんなどのホームページを御覧ください。
今回、私が強調したいのは「④ 純損失の繰越しと繰戻し」のメリットです。
まず、繰越しの方から簡単に紹介します。
例えば令和3年の所得を予想してみましょう。
新型コロナの影響を受けている方なら、もしかすると赤字になるんじゃないですか?
仮に令和3年の最終損益が300万円の損失だったとしましょう。(つまり預金の取り崩しか、借入でしのいだ)
そして令和4年。新型コロナも収束し(そう願いたい!)最終的に200万円の利益だった。
もし、白色申告なら、令和3年分は所得税を納めることはありませんが、令和4年は200万円の利益に対して課税されます。
一方で青色申告なら、令和3年分は所得税を納めることはありませんが、令和4年も令和3年の300万円の赤字のうち200万円の赤字を繰り越して所得を0にすることができます。
さらに、この損失3年間に渡って繰越せるので、令和5年の収益から赤字分の残額100万円を差し引くことができます。
(こちらのサイトの説明も分かりやすいですよ)
純損失の繰戻しというのはその逆で、赤字決算の令和3年の前の年、つまり令和2年が黒字だった場合に、令和3年の赤字300万円を令和2年の黒字分から控除して既に納めている所得税の還付を受けられるのです。
2 青色申告は簡単
「青色のメリットは魅力的だけど、正規の会計の知識がないから無理!」
と諦めてはもったいないです。
今は、パソコンと会計ソフトがあれば、詳しい会計の知識がなくても、簡単に青色申告ができます!
「パソコンは苦手!」という方でも、おそらくは最初の設定をパソコンに詳しい方にしてもらって、2~3回くらい会計ソフトの扱いに慣れている人に手伝ってもらえば、後は自分でできます!
心配な方は、1・2度、税理士さんに記帳指導を受けたり、申告前に確認してもらえば良いと思います。
そのくらい、現在のパソコンと会計ソフトは手軽に利用できるようになってます!
3 青色申告を行うための準備
(1) 物の準備
- パソコン(安いもので十分)
- 会計ソフト
- インターネットに接続できる環境
- マイナンバーカード(署名用電子証明書が利用できるようにする)
- カードリーダー(個人番号カード対応のもの)
- プリンター(A4版の紙が印刷できれば良いので、コンパクトで安いものでOK)
ざっと、以上のものがあれば十分です。
現在の価格が良くわかりませんが、おそらくは10万円前後で揃うのではないでしょうか?
(2) 税務署への届出
青色申告をする場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出します。
承認申請書は、国税局のホームページからダウンロードできます。
新たに事業を始める方ならば、開業届と一緒に提出すると良いでしょう。
4 記帳指導
会計ソフトを使った日々の記帳の仕方については、身近に慣れている方がいらっしゃれば、その方に教えてもらうのが手っ取り早いと思います。
でも、身近にそういう方がいない場合は、次の場所に相談してみましょう。
- 税理士または会計事務所
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 商工会議所または商工会
- 青色申告会
- 税務署
税理士さんは、当然のことながら税のスペシャリストですから、安心して何でも相談できます。難しいことや特別な事があった時の会計や税のことは税理士に聞くべきです。
中小企業診断士も簿記会計に関する知識や技術のある専門家です。
行政書士も決算書類の作成までは業務として扱えます。ただ、行政書士によりますので、御注意ください。
★税額の計算や相談は、税理士の他は扱えません。
上の相談先の中で税務署は記帳指導を無料で行っているので、お勧めです!
ちなみに、私も何年も前に学習塾を開業した際には、確定申告前に税務署の無料相談を利用したものです。
(こんなことを書くと税務署の職員の皆さんに失礼かもしれませんが、想像していたよりずっと親切でした)
5 噂話
こんな噂話を耳にしたことがあります。
スナックやキャバクラなどのホステスさんの中には、その店に雇われているのではなく個人事業として接客サービスを行っている方がいらっしゃいます。
噂話というのは、そうしたホステスさんの中には確定申告をしていない方もいらっしゃるんだとか・・・。
確定申告をしていなければ(法律上の問題は脇において)、今回の新型コロナのような事が起きた時に支援を受けることが難しくなる。
実際に、私の知り合いで、会社員の傍ら副業で収入を得ていたけれど、その副業の申告をしていなかった方がおられました。
新型コロナの影響で、給与も副業収入も減ったため持続化給付金を申請したかったけれど、申告していなかったために申告できませんでした。結局、家賃支援も一時支援金も、月次支援金もすべて申請できないのです。
事業収入があるならば、毎年、ちゃんと申告をすることが、やはり大切なんです。
支援金や補助金関係だけでなく、金融機関からの融資を受ける際にも確定申告書は重要な書類になります。
知り合いのスナックのママがおっしゃっていました。
「できるホステスは、自己流であっても顧客名簿を作ったり、会計帳簿もつけていた。確定申告もしていた。そうした積み重ねが自分の店を持つ土台になるし、店を持った後も役に立っている。」