3月12日、平日火曜日の午後7時。
いつもなら家で夕飯を食べ韓ドラを見ている時間に、私は妻と共に仙台メディアテークで「ニュースタンダードな不動産×暮らしのこれから」というイベントに参加していました。
このイベントは、宮城県石巻市を拠点に空き家活用などの取り組みをしている株式会社巻組の渡邊さんと、仙台市青葉区で毛糸屋兼編み物教室を営むitoshigotoの小山さんのトーク・セッション(?)。
お二人の話の中に、私が普段モヤモヤと考えていたことが妙に重なったような部分があって、今回は、そのことについて書き留めて置きたいと思います。まだモヤッとしたままですが...。
小山さんが仙台に店を開く前、東京でシェアオフィス(というかシェア工房?)を借りて現在のitoshigotoに繋がる活動をしていたそうです。この当時の小山さんの居場所は、自宅+会社+シェアオフィスの3拠点。これを直線で結ぶと1辺が2kmに満たない二等辺三角形に。つまり、小山さんは日常の多くを、この二等辺三角形に沿ってグルグルと居場所と活動内容を変えながら過ごしていたことになります。
また、このシェアオフィスは、いつ行っても誰かが活動していて、自分の創作活動に疲れたら他の入居者と会話することも出来る。加えて誰かが企画したイベントに、流れに乗るような気軽さで参加することもできる。言ってみれば、スモールビジネス・オーナーのコミュニティでもあった。
一方の巻組の渡邊さんは、空き家を利用してシェアハウスやシェアオフィスを運営する会社を経営しています。その運営を通してコミュニティ作りを指向している。
渡邊さんの意味するコミュニティと、私が最近、意識し始めているコミュティが、どのように重なり合い、あるいは異なるのかわかりませんが、小山さんと渡邊さんの会話の中の「三角形又はサードプレイス」と「コミュニティ」という言葉に、何かのヒントを見たような気がしました。
先の「サードプレイス」という言葉を私は「第三の居場所」と理解しています。第1の居場所が住まい。第2が学校や職場などの、その人のメインの活動場所。そして自宅でも学校・会社でもない「自分の居場所」がサードプレイス・第三の居場所です。
小山さんのように自分自身の「職場」として第三の居場所を持っている人もいるかもしれません。あるいは趣味に没頭する場所としての活用も巻組さんの事例にはありました。そのような活動だけではなく、例えば以前、仙台市の小田原であった「ただいま・おかえり実行委員会」のように、定期的になんとなく集まってたこ焼き作ったりテイクアウトを持ち込んで、色々な話を雑談的にするだけの場所で会っても良い。そうした「自宅でも学校・職場でもない」自分の居場所があることは、自分を解放するあるいは自分らしさを見いだすことに繋がるかもしれません。
もう一つのキーワードであるコミュニティ。これには2つの意味があるような気がしています。
1つは、趣味や嗜好、活動が共通する人の集まりとしてのコミュニティ。もう一つは地域とか場所に基盤を持つコミュニティ。
私が最近、その価値を再認識し始めたのが地域のコミュニティです。
なぜなら、災害への対応にしても、高齢者や子ども、障がい者、外国人などの生活に関わる課題解決の糸口になると思われるのが地域のコミュニティだと思うからです。でも一方で、地域コミュニティの代表格である町内会とか自治会(これにマンションの管理組合を含めても良いような気がします)は、役員の高齢化とか担い手不足が取りざたされています。
12日のイベントで、小山さんと渡邊さんの話を聞いていて、「第3の居場所」と地域コミュニティが結びつくことで、現在のいくつかの課題解決に結びつく糸口が見つかるのではないかとボンヤリ思ったのです。
実際にそうした動きは各地で生まれていますよね。例えば子ども食堂はその1つ。他にも介護事業所が地域の人を受け入れて様々な年代や背景の人々の交流になっている例も報道されています。
そう考えると、私が思うより遙かに先に、気づき動く人々がいる。そうしたことも考えた夜でした。