先日、「遺言書に配偶者居住権について書きたいのですが?」と相談にお見えになられた御夫婦がいらっしゃいました。
私の場合、遺言書作成の御相談ときは、相談内容にお答えする前に必ずお聞きすることがあります。そのお答えを聞きながら、相談者がお持ちの制度への理解度とともに、「心配されていることは何か?」などの本音部分を確認していきます。
この相談者の方の場合、配偶者居住権の仕組みは大変よくお調べになられたようでした。
御夫婦が配偶者居住権の設定をお考えになったのは、相続税の節税を目的とするためだそうです。
たしかに、税理士さんのWebサイトには、配偶者居住権は節税の効果があると紹介されているものがほとんどです。特に、2次相続*では効果が発揮できそうです。
でも、中には「節税効果が期待できないケースもある」という税理士さんもおられます。
ですから、節税目的で配偶者居住権の設定をお考えの場合には、まず、相続税に強い税理士さんに相談した方が良いでしょう。
節税が目的でないならば、配偶者居住権はデメリットもありますし、そもそも配偶者居住権を設定しなくても良いこともあります。
いずれにしても、配偶者居住権については、設定する・しないを決定する前に、専門職に相談することを強くお勧めいたします。
先の相談者御夫婦の場合、私から配偶者居住権のデメリットや自筆証書遺言の書き方などの情報を提供し、節税効果については税理士に相談した上で遺言書を作ることと、書いた遺言書は専門家に診てもらうことなどをアドバイスいたしました。。
なお、配偶者居住権について、詳しくはこちらを御覧ください。
2次相続とは・・・
例えば、夫婦と子供という家族構成を考えます。
夫が先に亡くなった場合の相続を「1次相続」と言います。
1次相続の結果、夫の遺産を妻と子供が相続しますが、遺産のうち不動産を妻の名義にしたとしましょう。
時がたち、妻が亡くなった場合、妻の名義になった不動産を子供が相続する場合を、2次相続といいます。