皆さんの地域では、台風8号の影響はいかがだったでしょうか?
私の住む仙台は大きな被害もなく、近くを流れる梅田川の水量も昨日の午後の時点では普段よりやや多いくらいでした。
26日朝の天気予報を見て、当事務所は27日を臨時休業にしておりました。
結果的には、思いっきり「空振り」だったと言えます。
では、臨時休業にする決断が早すぎたのか?
いつ決断すればよかったのか?
これは、とても迷うところですね。
私のように個人で仕事をしていても、会社のように組織で仕事をしている場合であっても、どちらも「防災のための臨時休業」等の決断のタイミングは迷いがあって当然だと思います。
でも迷っている時間を短くするために、何度も繰り返し「判断するための優先順位」を確認しておいた方が良いと、私は思います。
つまり、事業であれば
- 利益
- 事業の継続
- 顧客の安全
- 従業員等の安全
- 施設・設備の維持
- その他
などのうち、何を優先して判断するのか、経営者は折にふれて自らを振り返り、また従業員にも伝えておいた方がよいでしょう。
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私の場合
私の場合は「安全」が最優先です。
27日は宮城県の北部に出かける予定がありました。
私が早めに決断し相手先に連絡すれば、相手先としては、少なくとも私のことを気にすることはなくなります。
また、私が訪問を取りやめる決断を相手先に伝えることは、相手先自身の判断にも影響を与える可能性があります。もしかすると、相手先も、私が台風接近を理由に訪問を取りやめたことによって、早めに業務を休止し帰宅するという判断につながるかもしれません。
言ってみれば、防災研究者の片田敏孝先生がおっしゃる「率先避難者」の役割を、私が担うということです。
また、28日午後は個人事業主の事業所を訪問する予定が入っておりました。
予報からすると28日の朝には台風が去っているはずでしたが、何があるかわからないのが気象災害です。
念のため26日午前中に個人事業主に電話をし、28日の動きについて打合せしておきました。「28日の状況によっては訪問を延期する」ことも、この電話で確認しております。
私の場合は、まだ零細事業者なので予定の変更は容易なのだと自覚しております。
いくつもの商談を予定されているような事業者の場合には、臨時休業はできれば避けたい決定になるかもしれません。
だからこそ、判断するための優先順位は何なのか、経営者は自分の心に刷り込むように何度も確認すべきなのです。
また、自然災害が現実化しようとしている時にぶれないように、従業員にも周知しておくべきです。
もしかすると、従業員の方で「台風発生」の予報後に、臨時休業の決断が出ても困らないように準備しておくようになるかもしれません。
従業員が率先して準備ができる事業者は、災害発生時にも強いと私は信じていますし、
そのような強い企業にする手法がBCPだと私は思います。
※BCP=事業継続計画
結果的に
台風8号が過ぎてみれば、27日は時おり強く雨が降り、風もあったけど、災害をもたらすほどではありませんでした。
結果的には、臨時休業の必要はなかった、と言えます。
県北部への訪問を取りやめたとしても、事務所で他の仕事をすることはできたと思います。
では、臨時休業の判断は誤りだったのか?
私は、そうではないと思いたい。気象の変化は正確には読み切れないからです。
だから、将来、同じような状況が起きた時も、やはり臨時休業の判断をすると思います。
※絵は「いらすとや」より
片田敏孝 先生
現在、東京大学の特任教授。
東日本大震災で「釜石の奇跡」と言われた釜石市の小中学生の避難行動。片田先生は、その釜石市で防災教育に関わってこられた先生です。
片田先生の著書の多くに(例えば「人が死なない防災(集英社新書)」)
避難の三原則
が書かれています。
- 想定にとらわれるな
- 最善を尽くせ
- 率先避難者であれ
自然災害だけでなく、火災も含めた全ての災害から身を守るための必須の原則だと、私は思います。