土地の相続~登録免許税の免税措置【時限】

「所有者が不明の土地が、九州の土地面積(368万ha)を上回る約410万ha」という推計があるようです。

土地の所有者が不明だと、その土地を買いたい人が買えないだけでなく、公共工事(道路の拡張だったり、ライフラインの敷設)や防災・復旧作業ができなかったりといった、様々な弊害があります。

国交省「所有者不明土地を取り巻く状況と課題について」より

土地のイラスト

こうした状況を受けて、政府も様々な対策を立てています。

特に、所有者が不明になる大きな原因の1つである相続手続については、民法や不動産登記法などが改正され、令和5年以降から順次施行されていきます。

(それらについては、機会を改めて御紹介いたします。)

今回は、その対策の一環として現在実施されている「相続登記の登録免許税の免税措置」について簡単に御紹介します。

1.登録免許税の免税措置が利用できるのは・・・。

登録免許税の免税措置が受けられるのは、土地の相続登記についての、次の2つのケースのような場合です。

<ケース1> 最近、父(又は母)が亡くなったが、土地の名義が何年も前に亡くなった祖父(又は祖母)のままだった。

このケースは、私もよく遭遇します。

この時点でも相続人が何人もいて、登記手続のためにハンコをもらうのが面倒な状況になっていたりします。

面倒だからと言って、そのまま放置すると、さらに相続人が増えて、中には行方知らずの人もいて・・・なんてことになりかねません。

そこで、早めに登記を促すために、この免税措置がとられたのだと思います。

このケースの相続手続としては、「祖父から父への相続手続」と「父の死亡による相続手続」の2段階あります。

※「祖父死亡の時に、父以外に相続人はいなかった」とします。

この2段階のうちの「祖父から父への相続手続」の部分で、土地の登録免許税が0円になるのが、この措置です。

<ケース2> 田舎の土地を相続したが、不動産の価値が10万円もしない。

市街化区域以外のにある評価額が10万円以下の土地を相続した場合です。

特に利用する予定がないと、相続手続をしないままにしてしまったりします。

でも、道路の拡幅などの公共事業でその土地を使用する場合に、所有者が不明だったり、相続人が多数いたりすると事業が進まなくなってしまいます。

そこで、市街化区域以外にある法務大臣が指定した土地の相続手続では、登録免許税が免除されます。

宮城県内の法務大臣が指定した土地については、仙台法務局のHPの「免税対象となる土地」を御覧ください。

2.  登録免許税の免税措置の期限

令和4年(2022年)3月31日までに<ケース1>や<ケース2>のような土地について、相続登記をする場合に免税措置が適用されます。

3.ご注意ください。

免税措置の期限まであと5か月少し(この投稿を書いているのは令和3年10月初旬です)。

免税措置を受けるならば、もう動き出した方が良いと思います。

というのも、相続登記の前にやらなければならないことがあり、恐らく、それに手間暇がかかると思われるからです。

<ケース1>のような場合には、まず祖父(又は祖母)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等を取り寄せなければなりません。

法定相続人が誰なのか、確認するためです。

もし、祖父(又は祖母)の法定相続人が複数いたならば、それらの方々の所在を調べ、その中に既にお亡くなりになった方がおられれば、その方の法定相続人も調べる必要があります。

また、場合によっては遺産分割協議書を作成したり、あちこちに御住まいの相続人全員から印鑑証明等の書類や印をもらったりしなければなりません。

これらの手続には時間がかかるので、早めに取り掛かった方が良いのです。

4.相続手続の相談、手続の依頼は・・・

不動産の登記に関する相談や手続に関わる専門職は、司法書士です。

しかし、戸籍の収集や、遺産分割協議書の作成は行政書士に御依頼いただけます。

当事務所への連絡先は、こちらからどうぞ⇒お問い合わせ

★免税措置の詳細は・・・

免税措置の詳細は、法務局の次のウエブサイトを御覧ください。

法務局のHP「相続登記の登録免許税の免税措置」

モデルナ製ワクチン2回接種完了

予防注射を受ける人のイラスト(マスクあり)

先週の木曜日にモデルナ製ワクチンの2回目の接種が終わりました。

1回目は注射した所が痛むだけで、その他の副反応はなし。

でも、2回目に発熱する人が多いと聞いていたので、接種の翌日は予定を入れずに臨みました。

2回目はベテランの看護師さんが打ってくださったためか、針を刺した感触だけで痛みらしい痛みもなく終了。

その夜も発熱はなく「なんだ楽勝だな」と思ったものです。

既に2度の接種を済ませている実母と実姉も「接種した所の痛みだけだった」と言っていたので、副反応が起きにく体質なのかとも。

翌朝、普段通りに朝4時に起床。

コーヒーを飲みながら、民法の教科書を読み、5時頃に検温。平熱。

1時間後、シャワーを浴びる前にもう一度検温。平熱。

この時点で「熱は上がらない」と思いましたね。

朝食後、ゴミ出し。午前7時頃もう一度検温。この検温の結果で出勤するかどうかを決めようと思っていました。

結果、まだ36度台だったけど、明らかに体温が上昇していました。

妻の忠告もあり、大事をとって出勤は見合わせることにしました。

この決断は正解で、8時頃には37度を超え、9時頃には37度7分くらいまであがりました。この時点で解熱剤を飲みましたが、午後には38度を超えました。

翌日の朝は37度くらいで、お昼ごろには平熱に。ただし、このころから頭痛が。

結局、頭痛も平気になったのは夕方くらいだったでしょうか。

モデルナの副反応はキツイとは聞いていましたが、「インフルエンザのワクチン接種とは違うなあ」と実感した所です。

というわけで、これから2回目の接種を受けられる方は、油断せずに準備を整えて臨んでください。

ところで・・・。

私が受けた集団接種の会場は、原則的に1回目の4週間後の同じ時間に2回目の予約が割り振られるシステムでした。

でも、1回目より2回目の方が人が少なかった・・・。これはどういうこと?

ボーっと管理していると、兄弟に叱られる!~YouTube配信⑨

YouTubeに「ボーっと管理していると、兄弟に叱られる!」という動画を公開しました。

親が認知症になったために、そのお金や家の管理をする役割を担うことがあります。

でも、管理の仕方によっては、相続の時のトラブルに発展しかねません。

少々面倒くさくっても、慎重に取り扱うことに越したことはないのです。

この動画では5つの方法を紹介しています。

ぜひ御覧になってください。

話しは変わりますが、

NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で、北大路欣也さんが徳川家康役で、時代背景とかを話すコーナーがあります。

お一人で、長~いセリフを見事に語る。

プロですねえ。すごいです。

単身赴任先で車を使うなら、車検証の書き換えも忘れずに!

洗車をしている男性のイラスト

今日は4月2日。

令和3年度を、新しいお住まいでスタートされた方もいらっしゃることと思います。

これまで乗ってきた自動車を、引越し先でも継続して使用する場合、車検証の所有者または使用者の住所を書き換えをなければなりません。(この手続きを「変更登録」と言います。)

これは、

単身赴任のように住民票を移さないときでも、その転居先で自動車を使用するなら必要な手続きです!

この手続きを怠ると、50万円以下の罰金も有り得るくらい大切な手続きです。

※この画像は国土交通省のHPより引用

特に、仕事の都合による転居の場合、急な異動で転居先で荷ほどきも十分でないまま仕事が始まることが多いので、どうしても自動車の手続を忘れてしまいがちです。

こんなことを言っている私も、行政書士になり自動車手続の勉強をするまでは、まったくわかっていませんでした!

私の住まいの周囲にはアパートが多いのですが、駐車場の車のナンバーを見てみると、本来は仙台ナンバーだらけのはずなのに、宮城ナンバーならまだしも、他県ナンバーもかなりの台数がありますね。

そんなとき、「手続をお忘れですね!」と、つい、私の名刺をワイパーに挟めてしまいたくなります。

転居後の自動車の手続は行政書士に御依頼を!

特に、ナンバー変更を伴う場合、陸運支局に車を持ち込まずにナンバープレートを交換できる「出張封印」という作業にも対応できる行政書士に依頼されると気分的にも楽かと思います。

仙台市や近隣に御住まいの方は、ぜひ当事務所にお問合せください!

ちなみに、

自賠責保険や任意保険の手続もお忘れなく!

※住民票を移動したら、運転免許証の住所も変更!

なお、変更登録に必要な書類や、当事務所の報酬などについては、こちらを御覧ください。

変更登録~自動車の登録

延命措置、誰が決める?~YouTube⑥

動画のサムネイル: 延命措置、誰が決める?

YouTubeに投稿した動画は、延命措置についての意思の表示がテーマです。

「リビングウイル」 とか 「尊厳死宣言」 と言われるものです。

このテーマについて、私は若いころから関心がありました。

中学校の教員をしていた時は、道徳の時間にしばしば取り上げたものです。

それでもYouTubeのような動画という一方的に流すタイプのメディアでお伝えするのは大変難しくて、意図していることがきちんとお伝えできているかどうか、正直言って、少々心配です。

やはり、対面で一緒に考える方が、私は好きだなあ。

それにしても、動画の時間がだんだん長くなってきている。もう少し、コンパクトに、わかりやすくまとめたい。反省します。

延命措置、誰が決める?

高齢者世帯の終活①

「終活」のイラスト文字

以前住んでいた所での話。

御近所に、時どき世間話をしていた高齢者がおられました。

毎日のように庭の手入れをなされていて、車も運転していました。世間話をするときも、ハキハキとお話しする元気な方でした。

御夫婦だけの世帯でした。お子さんはいたようですが、別の家に住んでいるようで、私はお会いしたことがありません。

ある日、いつものように立ち話をしていて、気になったことがありました。

世間話をするお爺さんのイラスト

同じ話を繰り返すのです。数分前にした私への質問を、まるで初めてするかのように、また尋ねるのです。

この時は、気にはなったけれど「お年寄りによくあること」と、流しておりました。

数日後、また立ち話をしました。

やはり同じ話、同じ質問を繰り返します。30分くらいは話をしていたと思うのですが、その中で4~5回は同じことを繰り返すのです。

私は行政書士会で受けた認知症に関する研修や、認知症サポーターになるための講習を思い出しました。

お年寄りによくある「物忘れ」と、認知症の「物忘れ」の違いについての話です。

簡単に言うと、次のような違いがあるそうです。

お年寄りの普通の物忘れは、例えば「一昨日のお昼ごはんを食べたことは覚えているけれど、何を食べたかを思い出せない」というもの。

一方、認知症の方の忘れ方は、「さっき食事をしたこと自体を忘れる」という違いがあるのだそうです。(食事の後に「ご飯はまだ?」と聞くような感じ)

私の御近所さんの場合、私に質問したこと自体をすっかり忘れておられるので、もしかしたら認知症ではないかと思いました。

ただ、私はこの方の配偶者とは面識がございません。

ですから「あなたの配偶者は、少し物忘れがひどいようだけど病院には行ってますか?」と聞くことは、気が引けたのです。

でもあまりにも気になったので、地域包括支援センターに電話をかけ相談してみました。

ただ、地域包括支援センターとしては、「イベントなどに参加されたことがある方ならこちらから何らかの方法で接触することは可能だけれど、一度も関りを持ったことのない方の場合は積極的には働きかけにくい」のだそうです。

その後は私も所用に紛れ、その方とお話をすることもなくなり、そのまま引っ越したため、御近所さんがその後どうなされたか存じ上げません。

今、当時を振り返って思うこと。

御高齢の御夫婦だけの世帯の場合、

お二人が元気なうちに、地域包括支援センターなどの高齢者を支援する専門職との関りを定期的に持っておいたほうが良い

と思います。

もしかすると、お子さんが同居されていたとしても、忙しくて顔を合わせる時間がすくない時もそうした方が良いかもしれません。

関わり方としては、地域包括支援センターなどが関わるイベントに参加するだけでも良いと思います。

その折に、職員とお話しできればもっと良い。

もし、「地域包括支援センターのような高齢者専門の機関との関りは遠慮したい」という場合。

御夫婦共通のお知り合いと、定期的に茶飲み話とかをするだけでも良いでしょう。

談笑するお婆さん達のイラスト

新型コロナ禍にあって、外出や茶飲み話や、イベントへの参加が難しい状況ではあります。

それに加えて冬場はもっと外に出にくいことでしょう。

そんな時、電話でもいいから、定期的に話をした方が良い。

認知能力の衰えを早めにキャッチできたなら、御本人の意向も踏まえた支援計画が可能になるかもしれないからです。

以上をまとめると、次の3つの方法をまとめてみます。

  • 元気なうちに地域包括支援センターとの関りをもつこと。
  • 御夫婦共通のお知り合いと、茶飲み話をする機会を大切にすること。
  • 外出がしにくい時でも、電話などで話をする機会をもつようにすること。

私は、これらを実践することも、終活の1つだと考えています。

※この記事のイラストは、すべて「いらすとや」さんのものを使用しています。

引越し

自宅を引っ越しました。

引越しは、とにかく疲れます。

荷物の整理がひと段落したら、今度は住所が変わったことによる、様々な手続きが待っています。

大変です。

でも、新たな出会いや、新しい土地での発見や、ワクワクすることもあります。

それを楽しみにしながら、この大変な時期を乗り越えますよ。

おひとり様

もう20年くらい前の話。

石巻市で、小さな学習塾を1人で営んでいました。

小さなアパートに1人で暮らしながら。

そんなとき、風邪をひいて2~3日寝込んだことがあったのです。

38℃を越える熱が出て病院に行くのもつらい状況。

この時ほど強く孤独を感じたことはありません。寂しさを通り越して、恐怖を感じていたように記憶しています。

実家のある仙台に戻る気持ちが強くなった時でもありました。

高齢者の「おひとり様」って、この時の私に近い状況かもしれないと思うのです。

「おひとり様」は、これからどんどん増えていくと思います。

今、働いている独身者も、退職後には「おひとり様」になる可能性がある。

子どものいない夫婦だけの家族も、何年後かには「おひとり様」になるかもしれない。

兄弟姉妹でもない「おひとり様」同士が、支えあって生活していく社会になるかもしれない。

でも、高齢者になった後に、「おひとり様」の生活様式を模索しそれに適応しようとしても、それまでの生活様式を変えることは難しいと思います。

体も心も元気で余裕があるうちに、少しずつ自分なりの「おひとり様」仕様を考え準備し、行動を慣らしておく必要があるのではないでしょうか?

場合によっては、様々な制度を学び利用計画をたてることも必要になるかもしれません。

というわけで、「おひとり様」の生活相談を始めます。

まずは、今の心配事や不安などを聞かせてください。

11月30日(月)から12月5日(土)まで相談料を無料にする期間を設けます。

実家の断捨離とメルカリ

私と同世代の40代後半から60代くらいの方の中には、

「親の荷物が多すぎて困っている!」

と、家財の整理に悩んでおられる方もいらっしゃると思います。

私たち子供が

「使っているのを見たことないし、もう必要ないだろう」とか

「いる物といらない物に整理してくれたら、処分はやってあげるから」

などと言っても、

「全部いる物だ!」、「自分でできる!」と頑として捨てようとせず、

部屋には相変わらず荷物があふれてたりします。

2、3年前、私の実家がリフォームをする際には、母と同居している姉が断固たる決意で処分していました。

もちろん、姉は母の同意を得ながら進めていたはずです。

でも、リフォームの工期や、それに伴う一時転居の日程との兼ね合いもあり、あれこれと悩む母のスピードに付き合っているわけにもいかず、「これ捨てていいよね」という有無を言わせぬ雰囲気を漂わせながら断捨離に突き進まざるを得なかっただろうと想像しています。

それでも、リフォーム後の快適な部屋に落ち着いた後に、ポロっと

「〇〇が無い・・・」

と、つぶやく母を見ると、やむを得なかったと思う反面、気の毒に感じたりします。

荷造りのイラスト

最近、我が家で断捨離を実行しています。

本や服を ブックオフ に持って行ったり、粗大ゴミとして処分していたのですが、知人の勧めでメルカリを始めてみました。

はじめは「売れたらラッキー」くらいの気持ちでしたが、意外でした。

「いくら何でも、これは買い手がつかないだろう」というような本などにも、買い手がつくんですね。

調子に乗っていろんなものを出品し、お陰様でかなり断捨離が進みました。

私たちがメルカリで断捨離をしていることを聞いた義母は、「これも出品してみて」と言い出しました。

出品した義母の物に「いいね!」がついたり、購入希望者との様々なやり取りがはじまると、義父もメルカリに興味を持ち始めたんです。

そこで思いました。

高齢者の断捨離には、手放すためのストーリーが必要なんじゃないでしょうか?

ストーリーというか、それを手放す理由。自分自身が納得できる理由です。

引っ越しやリフォームというのは、断捨離のキッカケにはなるけど、1つ1つの物を手放すための理由にはならないんじゃないか。

フリマアプリのイラスト

その点、「メルカリはいいなあ」と思います。

例えば、「売ったお金が、お小遣いになる」んですよ。これだけでも嬉しいですよね。しかも、自分で値段を決められるし、たくさん出品して、たくさん売れると、まるで「商売をしているような気分」を味わえるんです。

「値引きしてください?」というコメントも来ます。そうした方々との交渉を楽しむ方もおられるのではないでしょうか?

出品する時に、その物に関する説明を書きます。大きさだったり、傷や汚れの状態だったりしますが、手放すその物にまつわるストーリーを書くことだってできます。

また、「必要とする人がいる」から売れるんです。それが、たとえ安い金額であっても、「自分が大切にしてきた物を必要としている人がいる」というのは嬉しくないですか?

あるいは、買い手との交渉の過程で、その方の人物像や、その方が買った後でどのように利用するのか想像したりすることを楽しむ人もおられるでしょう。

コロナ禍にあって、他者とのコミュニケーションに不自由さがある中、間接的にでも、金銭交渉であったとしても、それは心地よい刺激になるのではないかと思います。

メルカリ以外のフリマアプリは利用したことがないのですが、おそらくは同様の楽しみは得られることでしょう。

もちろん、高齢者の大量の荷物すべてをフリマアプリで処分しましょうということではありません。

でも、メルカリに関する私の義理の両親の様子から、「手荷物を手放す」あるいは「荷物を仕訳、整理する」キッカケにはなるんじゃないかなと思います。

親子で「これ、売れるんじゃない?」なんて相談しながら、残すものと、処分する物の仕訳をしていく。

なんか、楽しそうじゃないですか?

※古物の売買や交換を営業とする場合は古物営業許可が必要になりますが、買い取りをしない場合には許可は不要です。

特養などの高齢者施設の防災

この2020年7月の大雨によって、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。また、安否がわからない方の御家族の御心痛はいかばかりかと存じます。

この大雨でも多くの方が被災されました。

中でも、私の心にひっかかるものが、熊本の特別養護老人ホーム「千寿園」のことです。

気象庁も予想しきれなかったほどの雨量と、急激な増水であったので、非常に残念だけれども、この結果を防ぐことは難しかっただろうと思います。

ですが、今後の防災の面からは、今回の件から何かを学び考え、改善を果たしていかなければならないのも確かです。

ここでは、2020年7月6日の朝日新聞の記事やNHKのニュース報道を基にした、現時点での私の感想も含めた簡単な私見を書き留めておきます。

1 高齢者施設等について

高齢者施設の中でも、特に特養についてです。

千寿園もそうでしたが、多くの特養は川の側だったり、崖や山裾が迫っている所だったり、周囲が田畑だったりといった、郊外の少し不便なところにあったりします。

つまり、そもそも災害に遭うリスクの高い所にある施設が多いのではないでしょうか。

また、御家族の介護の経験をされている方は御存知だと思いますが、入居するのは順番を待たなければなりません。

つまり、常に部屋やベッドに空きがない。

一方で、介護にあたる人材は不足しており、各施設はあの手この手で人材を確保しようと必死です。

これらすべてのことが、平時に防災の計画・準備・訓練に影響してくると思います。

7月8日にNHK仙台放送局が報じたニュースでは、宮城県内の福祉施設や病院に作成が義務付けられている避難計画を、4割近くの施設で作成していないことが明らかにされました。

2 災害時の高齢者施設の課題

課題1

まず、車椅子などを利用しての移動になると思われるので、介助する人が必要です。

避難が必要な高齢者をすべて安全な場所に移動するのに、何人の介助者が必要なのでしょうか?

課題2

千寿園が被災した時、地域住民が駆けつけて高齢者の避難や救助を手伝ったと報じられています。

これは、地域住民と千寿園との日頃の結びつきの良さを示していると思いますし、また、住民の皆さんの行動に頭が下がる思いです。

一方で、救助に向かわれた地域の方々は危険にさらされた、ということにもなります。

これまでの多くの災害でも、消防署員や警察官だけでなく、民生委員や町内会等の役員、消防団員といった方だけではなく、近所の高齢者を気遣って声をかけにいった人たちが命を落としたりしています。

温かな気持ちを、より安全な方法で行動化できないものでしょうか?

課題3

垂直避難は、同じ建物(あるいは通路などでつながっている別棟)の空きスペース、または避難者のために臨時に確保されたスペースへの避難になります。

千寿園の場合、1階は水没だったようです。映像では建物は2階まであったようですけど、2階部分はそれほど広くは見えませんでした。

高齢者や障がい者の施設の場合、建物は何階まであって、上の階に空きスペースがどのくらいあるのか?という問題もあると思うのです。

課題4

垂直避難の場合は、エレベーターを使用することになると思うので、時間がかかることは想像できます。

避難に必要な時間は?

課題5

災害からの避難は、一日二日我慢すれば元に戻れるということにならないかもしれません。

一方、入所している高齢者は、持病があったり、オムツ等の介護用品が必要だったりします。

避難する場所に、それらを備蓄しておく場所はあるのか?補給がされやすい場所でしょうか?

課題6

多くの高齢者施設は、地域の福祉避難所に指定されていると思います。

福祉避難所は、病気や障がい、乳幼児などの特別な配慮が必要な方(要配慮者と言われます)とその同伴者が、支援を受けながら避難できる場所です。

想定されている利用方法としては、地域の指定避難所に避難してきた方の中に、要配慮者がいる場合に、市町村の判断で福祉避難所を設けることを、施設に要請するとあります。

3 思いつきで恐縮です

上に書いたような、私の問題意識をもとに、思い付きの案を書いてみます。

「いや、それは無理だよ」と現場の方、行政の担当者に一蹴されたり、

逆に、「もうやってるよ」、「それは検討してみたけど、ダメだった」もあるかもしれません。

とりあえず、検討材料の1つとして一瞥して頂けたら幸いです。

① 避難支援パートナー・ボランティアを登録制として利用できないか?

災害が起きそうな時に他所に避難するにしろ、垂直避難を選択するにしろ、移動を介助する人が必要なことに変わりはありません。

職員を総動員するという手もありますが、これが適切なのかどうか、私には疑問です。なぜなら、

  • 職員も被災者になる可能性が高いことから、家族や自宅への対応も必要になる。
  • 復旧まで長期戦を覚悟しなければならず、職員の休養も必要である。

一方で、職員以外に手伝っていただく場合、職員並みのものではなくても、多少の介助の知識・技術が必要になると思います。

だから、緊急時に支援可能な方々に、事前に登録していただき、年に1回でも2回でも、移動等の練習をしていただいたらいかがでしょうか?

お気持ちのある方がたであれば、どなたでもかまわないと思いますが、例えば、次のような方に登録して頂けたらいかがでしょう?

  • 自宅で高齢者等を介護している方
  • 医療系あるいは福祉系の学生
  • 元医療または福祉関係施設の職員

これらの方々の中で、1晩だけ宿直につきあっていただく。

自宅で高齢者等を介護している方の場合、その介護されている高齢者等も御一緒に施設で過ごしてもらう。つまり、その高齢者の事前避難も兼ねるということ。

② 民間宿泊施設を福祉避難所として利用できないか?

この点については、既に旅館等と事前協定を結んでいる自治体もあります。

また、実績もあるようです。

たとえば、2020年7月9日にNHK長野放送局が伝えたところでは、重度障碍者施設「阿智温泉療護園」が、すぐ目の前にある旅館に避難させてもらっています。

ただ民間施設を福祉避難所とする場合、この施設に保健師等の自治体の専門職員を派遣すべきです。

また、医療や介護に必要な機器や薬などを持ち込む必要があります。

福祉施設が避難所として利用するのであれば、機器等の持ち込みは問題ないと思いますが、福祉施設の利用が前提でない場合には、検討課題になります。

逆にこの利点は、普段、在宅で療養生活を送っている方がたの場合、事前避難がしやすいのでは、と考えます(あらかじめ市区町村が指定していることと、事前避難を了承していればですが)。

③ 特養の敷地内の駐車場などを、避難タワーのような機能の建物にできないか?

東日本大震災の後、津波からの避難のための建物が各地に建設されています。

避難目的に特化したものもあれば、1階は津波に襲われても、2階以上に避難できるように建替えた学校等もあります。

特養や障がい者施設を、災害リスクの少ない場所に建設することは難しいと思います。

また、現在ある場所に、災害に対応できる建物に建て替えるのも予算的に厳しいところもあるかと思います。

もし、敷地に青空駐車場のような空間があるならば、そこの一部を避難タワーのようなものにしてしまう、というアイディアです。

避難スペースとして利用する2階以上の部分は、普段は、利用者の運動場とか、会議室だとか、とにかく居住以外の目的に利用する。災害の危険が予想される時に、入居者や近隣の要配慮者の避難スペースとして使えればよい。

既存の建物とは、渡り廊下やスロープなどでつなぎ、極力、エレベーターのように電力で動かす機器には頼らないという考慮も必要かもしれません。

4 最後に

以上、まだ情報が不確かな内に、ほぼ思い付きで書きました。

おそらくは、今、進行中の状況が一段落したら専門家による詳細な分析報告があるかと思います。

ただ一言申し上げれば、毎年のように「これまで経験しなかったような雨」とかによる災害が起きている中、専門家の意見を踏まえた上で、それぞれの地域や職場で、より想像力を高めて準備・訓練していかなければならないと思います。

この記事が、みなさんの想像力の喚起につながりますように。

普段、御自宅で生活されておられる方の、防災についても気がかりなところです。

その点については、また改めて。