新型コロナの感染拡大に関わり、お店の継続に日々、御心配なされている飲食店経営者は大変多いのだろうと思います。
緊急事態宣言が明日にでも一部解除になりそうですが、以前のような客足がすぐに戻ってくるかどうかも気がかりなところです。
もしかすると廃業するかどうかを真剣に悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな中、私のこの投稿は呑気な話に思われるかもしれません。
というのも、「こんな時だからこそHACCP(ハサップ)の考えを取り入れた飲食店経営をスタートさせませんか?」という提案だからです。
質問です。
この状況下で、これまで休業していた店を再開する。あるいは短縮営業していた時間を元通りにする。
この時に、飲食店経営者としてどんな準備をしますか?
あるいは、お客様に安心してお店で食事を楽しんでいただくために、どのような準備をしますか?
私の事務所がある仙台駅周辺で営業している店舗のいくつかを見てみます。
従業員がしょっちゅうドアやテーブルを拭いています。アルコール消毒しています。
従業員は皆、マスクをしています。
心なしか、座席配置が変わったように見えます。
お客様に衛生管理の御協力を求める表示が見えます。
外から見えるのは、そういったことですが、もしかすると次のようなこともしているかもしれません。
- 従業員の健康観察またはチェック(発熱、咳の有無など)
- 感染予防策の徹底のための開店前のミーティング
- 営業時間の途中からシフトに入るアルバイトへのルールの徹底
これらは、「新型コロナの感染予防」を目的とした対策です。
けれどもこれらの取組みを「食中毒事故を絶対起こさない」ことを目的とする対策に発展させれば、HACCPに基づく衛生管理につながると私は思うのです。
試みに、厚生労働省のHPに掲載されている「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)」(発行 公益社団法人日本食品衛生協会)、あるいは「HACCPの考えを取り入れた食品衛生管理の手引き(飲食店編)」(発行 厚生労働省)を読んでみてください。
HACCPが食品の衛生管理を主な目的としていることから、新型コロナ対策とは多くの点で異なります。というより、新型コロナ対策よりも広範囲の取組みになります。
御存知のように、2020年6月にHACCPに沿った衛生管理がすべての食品事業者に義務化されます。とはいえ、1年の猶予期間が設けられているので、完全実施は2021年6月です。
厚生労働省が公表している「HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A」(2019年2月最終改正)を見てみます。
それによれば、HACCPの実施が営業許可の可否を判断する基準には含まれないけれど、
営業許可の更新時や定期対入り検査の際に、HACCPに沿った衛生管理計画の作成や実践の有無が監視指導の項目になります。
一方、先に紹介した手引き通りにやるのは、なかなかに大変だと私は思います。
少しずつ、お店の状況に合わせて導入していくのが現実的ではないでしょうか。
そのスタートが今だと私は思うのです。
今なら、従業員の理解も得られやすく準備時間もある。お客様の協力も得られやすい。
一方で、単なるコロナ対策に止めてはいけません。
1年後のHACCPに沿った衛生管理の完全実施に向けた、それを見据えたコロナ対策であればより良いお店作りにつながる。
私はそう思います。
だから、まず先に挙げた2つの手引きのどちらかをサッと読んでみて、コロナ対策としてやれそうなものを実践してみませんか?
それが今回の投稿の結論でした。