行政の台風後の初動の遅れは準備不足の現れ?

昨日(2019年9月16日)の朝日新聞朝刊に「千葉県・国、初動に遅れ」という見出しの、台風15号関連の国と千葉県の対応についての記事がありました。

以下、その記事から。

南房総市では台風に襲われた9月9日の翌日10日には、固定電話、携帯電話、インターネットが使用不能状態になり、11日午後には防災行政無線も使えなくなった。これで住民との連絡手段は、直接現地に向かう以外になくなった。

各市町村に1,2台ずつ配備されている防災電話と、県と情報共有できる防災情報システムが停電でシステムダウン。これで、県との連絡手段もなくなった。

こうした状態を、市幹部は「手足がもがれた状態だった」と述べています。

千葉県庁は9月10日災害対策本部を設置。12日夜にいすみ市に県職員を1名派遣。13日に南房総市に13日に1名派遣。県知事の現地視察は14日。

県の担当者は「医療機関の停電や断水への対応で手いっぱい」だったそうです。また県知事は「やみくもにやるのではなく、土台をしっかりしてから来た」と述べているようです。

この記事では、政府の対応や専門家の「初動の遅れが深刻な被害の長期化をもたらす」指摘なども掲載していますが、知りたい方は新聞を御覧ください。

私は、この記事を読んだときに、疑問がわきました。

9月8日の段階で、各市町村と県、政府はどのような準備をしていたのでしょうか?

地震は、発生する日時を予測することは、現時点では不可能です。

だから、事前防災は、いつどこで起こるかわからない地震に対する準備であるために、人や物資の配置・整備については制約があると思います。また、事後の対応への準備が中心になるのもしかたのないことです。

でも、台風は3日くらい前には予想が可能であり、遅くとも前日には通過時間や、台風の強さもかなりのところ分かっています。

だから、台風は、事前に、台風通過後直ちに行動できるように具体的な準備をすることが可能だと、私は思うのです。

今回の台風15号について私は移動する速度が速いと思いましたが、2日前の9月7日午後1時発表の天気予報では、970hPaの台風が発達しながら北上し、9日に関東上陸と、統計史上最強の可能性が指摘されております。また、8日朝刊には8日午後9時ごろ神奈川付近に上陸し、9日午後9時に岩手県沖に抜ける予報が掲載されています。

つまり、8日中には県と市町村は必要な職員を庁舎に待機させ、県は市町村との連絡要員等を派遣するなどの対応も出来たのではないかと思うのです。

災害対策基本法第23条は「・・・災害が発生するおそれがある場合において、・・・都道府県知事は、都道府県地域防災計画の定めるところにより、都道府県災害対策本部を設置することができる」と規定しており、同法第23条の2では市町村にも事前に災害対策本部の設置を認めています。

地震の場合は、発生後にしか対策本部を設置することはできないけれど、台風のような気象災害は事前に対策本部を設置し、対応を始めることが法的にも可能なのです。

今回の台風15号で、事前対応ができていたとしても、現在も多くの方が直面している被害を免れることができたかどうかは分かりません。

けれども、具体的な被害予測ができないとしても、「強い台風が通過することで、何かが起きる可能性がある」程度の危機意識があれば、遅くとも8日の段階で県および市町村に災害対策本部を設置し、関係諸機関との連絡調整や職員の配置、地域住民への呼びかけをすることで、幾分かの混乱は抑えられたのかもしれません。

もちろん、このことは政府にも言えることです。

国が設置する非常災害対策本部も緊急災害対策本部も、災害対策基本法上は「災害発生後に設置する」そういう規定になっています(第24条、第28条の2)。けれども、関係省庁災害警戒会議なら設置できるはずです。実際に、首相官邸ホームページには、平成26年7月7日(おそらく台風8号が沖縄に上陸する前)に、官房長官が関係省庁災害警戒会議を開く旨の記者会見を行っています。(もちろん安倍首相、菅官房長官。世耕官房副長官)

つまり、台風は事前対応がある程度できるものであり、行政機関の初動の遅れは、事前の準備不足を窺わせる。私はそう思います。

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