子供を預かる施設こそBCPが必要、という理由

 保育所・幼稚園・小中学校等の子供を預かる施設で、BCPを策定しているところはどのくらいあるのでしょう?

 私はこのテーマについての統計データを持っていないので、わからないのです。ただ、これだけは断言したい。

 子供を預かる施設もBCPを策定すべきです。

 BCPとは何かを簡単に説明します。BCP(Business Continuity Plan)は日本語で事業継続計画といいます。主に災害発生後の緊急対応が落ち着いた後、通常通りの業務ができるようになるまでの行動計画を指します。

 では、なぜ子供を預かる施設でも、BCPが必要なのか?

 理由は大きく分けて2つあります。1つは、言うまでもなく子供および保護者のためです。2つ目は、職員のためです。

「子供と保護者のためにBCP」という理由

 BCPは災害発生後に、必要に応じて発動させます。ではBCPが必要な時とはどんな時かというと、施設を含む地域に甚大な被害が生じたときです。

 そういう時、まず、保護者の生活はどうなるでしょうか?

 今や多くの保護者が仕事を持っています。その仕事の再開に向けて動く必要がありますよね?また、家屋も被害を受けているかもしれません。その復旧や、罹災証明取得等の手続きがあります。もし、家族にケガ人いたら?そのほかにも水・食料の確保などなど、普段の生活より忙しくなります。こうしたことも重なり疲労が蓄積していくわけです。

 普段より、一時でもいいから子供を預かってほしい、というニーズが高まっているのではないですか?

 子供にしても、不安を抱え、心理的なケアを必要としている子が増える時期でもあります。カウンセラーなどが派遣されたりもしますが、普段、身近に接している大人の方が安心できることだってありますし、そうした人たちだからこそ、深刻な変化に気づくかもしれません。

 少し年齢が上がれば「自分も復旧の役に立ちたい」と考えるかもしれませんが、平時より環境的に危険因子が高まっている時なので、ボランティア活動に参加させるにしても成人の支援が必要でしょう。

 つまり、保護者は、自らの復旧活動を支えるためにも子供を預かってほしい時期ですし、子供自身も身近な大人にそばにいてほしい時期でもあります。普段通いなれた保育園・幼稚園・学校ほど、そのニーズに適した場所はない、と私は思うのです。

 だからこそ、子供を預かる施設は、発災後、早期に業務を再開する必要がある。たとえそれが、一日の内の短時間であっても、です。

 しかし、建物や敷地に被害があるかもしれません。断水や停電等がおきているかもしれません。トイレもすべては使えないかもしれません。平時と同様の規模で子供を預かることには無理が生じます。

 子供・保護者のニーズは高い一方で、環境的な問題がある。だからこそ、BCPを策定・周知し、リスク・コミュニケーションによって相互理解を進めておくのです。

「職員のためにBCP」という理由

 子供のためにも、保護者のためにも(つまりは地域のためにも)子供を預かる施設の早期の再開は必要です。

 しかし、忘れてならないのは、職員も被災者だということです。

 BCPが必要になる状況を想像すれば、職員も被災者であることは容易に理解できることです。つまり、職員の自宅も被害を受けて、職員の家族も支援が必要になっており、職員の生活のために水・食料等を確保しなければならないのです。

 職員も、平時同様に勤務することはできないのです。それは本来、公務員であっても同じはずです。

 公務員が「全体の奉仕者である」ということの意味を間違えてはいけないと思います。「一部の者への奉仕者ではなく全体の奉仕者」なのであって、「どんな時も奉仕に徹せよ」ということではない。「奴隷的拘束」を受けないのは、公務員も同様です。

 つまり、職員一人一人の勤務時間を減らす必要があるのですから、業務の規模は一定期間は縮小せざるを得ないはずです。

 子供・保護者のニーズに応えることと、職員とその生活の保護の調整を図るためにも、BCPの策定は必要なのです。

 BCPを策定するのは、手間がかかります。平時から業務繁多の施設で、BCP策定にかけるゆとりはないかもしれません。でも、もしまだ対策を立てていない施設で、上記のことからBCP策定の必要性を御理解いただけたなら、方針だけでも早急に立ててほしいと願います。方針が立てられれば、あとは、定期的に開かれる会議・打合せで少しずつ対応を決めていけばよいのですから。

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