法定相続情報証明制度

 数年前に父が亡くなった時の相続登記手続きは、素人だった私が行ったのでした。

 その時には、添付書類として戸籍謄本の束の他に「相続関係説明図」というものがありました。言ってみれば、必要最小限の家系図のようなものです。それを自分で作って、登記申請書に添えて提出しました。

 現在は法定相続情報証明制度という法務局のサービスにより、この相続関係説明図の代わりに、相続情報一覧図というものを添付してもかまわないことになっています。この制度を改めて考えてみると、とっても便利な法務局のサービスだなと思うのです。

 この一覧図は、相続登記手続きに先立って法務局に提出し、その写しをもらって利用することになるのですが、以下の2つの点で「いいね!」と私は思いました。

 まず、この一覧図の写し1つで、不動産の登記だけでなく、金融機関の口座や自動車所有権など、様々な相続手続に利用できるのです。戸籍の束は、一覧図を作るための1部で良いことになります。(手続きの種類によっては、戸籍の束が必要になるかもしれませんが・・・)

 これがどのくらい便利かというと、この一覧図の写しがなければ、一つ一つの相続手続に、戸籍や除籍などの謄本を添付しなければなりません。本籍地が遠方にあれば、その本籍地の市町村から必要な数だけ戸籍・除籍謄本を送付してもらわなければならないわけです。事前に必要数を計算した上で申請しなければ、何回も送ってもらう必要があります。ですが、この一覧図の写しで全ての相続手続が済むのであれば、必要数は一部で済みます。

 この一覧図の2つ目の良さは、少なくとも1人のプロの目によって、法定相続人の確認ができるということです。行政書士や、弁護士、司法書士などのプロに依頼するのであれば、その方々も加えるので、安心感はさらに高まるはずです。

 法定相続人の確定というのは、ちょっと面倒なところがあります。特に、再婚をしていたり認知した子がいたりすると、相続人を確定するのに慎重を要します。ここを適当にやってしまえば、後から「私の相続分をよこせ」という争いに発展しかねません。

 この法定相続情報証明は、法務局の登記官というプロが、提出された戸籍から相続人を確認してくれるのです。かつての私のように、素人の相続人が手続きする際には、とても頼りになるのではないでしょうか。(ちなみに私も「私の確認にミスがなかった」という安心を得られています)

しかも、この証明は、無料です!(これも入れれば、この制度の良さは3点か!)

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