今回は、能登半島地震の報道に触れて思ったことを書いてみます。
頭に浮かんだことを単に吐き出しているだけですから、何の検討も検証もしていません。ですからトンチンカンな記述もあるかもしれません。その点を踏まえて「そういう意見もある」程度に受け止めてください。
Table of Contents
1.災害への備えを考える上で念頭においたこと
高齢化と人口減少、中でも労働人口の減少は災害への備えを考える上でも、決して無視できないと思いました。
能登半島地震で死亡と行方不明の方の年齢をニュースで見ましたが、60歳以上の方が非常に多い印象でした。地方の高齢化率の高さが、そのまま反映された感じです。
また、高齢者が多いことから築年数の古い住宅もそれに比例して多いことが予想され、さらに耐震化等のリフォーム資金や意欲への課題もありそうです。
人口減少あるいは労働人口の減少の影響は
災害時に緊急対応を担う消防・自衛隊・警察その他の大勢の公務員の他、医療従事者、瓦礫の撤去や屋根の雨漏り補修等を担う土木・建築関連事業者、電気・水道・ガス等の復旧に携わる方々、支援物資の輸送等に携わる方々を「これまでの災害時と同じくらいに救護、復旧や支援の人数を確保できるのか?」という疑問が私にはあります。
もしかしたら、今後、対応できる人数が確保できないために、支援が届くまでにこれまで以上に時間がかかる可能性もあるのではないでしょうか?
2.集落・地域としての備えとして
自治会等で防災を考える時、「被災する可能性」を検討することはあると思います。そのため、自宅や避難場所等のハザードマップ等を確認したり、実際に歩いてみたり・・・。
今後は、集落・地域の地理的状況を「孤立する可能性の有無」の視点で見直す必要があるかもしれません。
そして孤立する可能性が1%でもあるならば、「孤立する時間が生じる」こと前提に、備えを検討した方がよいと思われます。
その際に、以下のポイントを押さえておくことが必要かもしれません。
- 集落住民の構成(世帯ごとの年齢、性別、職業、要支援の有無など)
- 集落住民の中で緊急対応が可能な人のリスト(医療関係、介護・福祉関係、建設・土木関係、通信関係、SNS等の利用等)
- 集落内の避難場所
- 備蓄しておくべき物(各家庭で、集落として)
- 集落で調達可能な物
- 外部との連絡手段
- 外部からの物資の調達方法
- 外部への避難方法と避難場所
以上の中には、従来の地域の防災計画に組み込まれている項目もあると思います。
その項目が「集落が孤立するときに利用できるかどうか?」という視点で見直してみることです。
また、各家の立地状況によっては、もしかすると従来より小さな単位(町内会とか部落単位だけでなく数戸単位)で、対応を考える必要があるかもしれません。
例えば、ヘリコプターによる救援または支援物資の運送を考えてみます。
A集落には、ヘリコプターによる救援等に適した土地が無く、隣接するB集落にはそうした場所がある場合。A集落とB集落の間は、車または徒歩等により移動または運搬をすることになるでしょう。そうした防災計画と訓練、そして市町村との連携をあらかじめ図る必要がありそうです。
3.集落・家の終活
東日本大震災後に地域の防災として「災害前の集団移転」のような話題があがりました。
それを真剣に検討すべき時期ではないかと私は思います。
なぜなら、国や自治体の財政状況や、人口減少等を考えたとき、被災した地域をすべて復旧することは難しくなると思うからです。事前対策として、例えば「土砂災害を防止するための工事」等をするにしても同様ではないでしょうか?
自分が生まれ育った場所、先祖伝来の土地に愛着があり、そこに死ぬまで住み続けたいという気持ちは理解できます。
けれども、そこに住むために道路や橋等を復旧したり電線を敷設しなおしたりするとなると、相当の期間と費用がかかることが予想されます。また、その間の被災者の精神的な苦痛・疲労も無視できません。
まだ被災しておらず、精神的なゆとりのある時に、事前の防災として考えておいた方がよいのではないでしょうか?
相続の手続で出会った、あるお寺のご住職が、こんなことをおっしゃっていました。
「市町村で空き家を買い取って(あるいは寄付)、災害時の見なし仮設住宅とか、DV被害者のシェルターとかに活用すれば良いのに」
それを、ふと思い出しました。
もし、災害リスクが少なく、かつ、孤立する可能性も低い地域に空き家があれば、それを地域や家の終活を考える資源として活用することも有り得るのではないかと思います。
隣接するA集落とB集落がある場合。災害リスク・孤立する可能性共に低い(あるいは孤立したとしてもヘリの離発着に便利な土地がある等、A集落よりも条件が良い)B集落に空き家があるならば、A集落からB集落に移転する。そういう方法も検討してみてはいかがでしょう?
ただ、所得税とか固定資産税などの税に関わることや、先の例で言えば人のいなくなったA集落の土地をどうするのかなどの検討課題が多くあります。市町村役場と協議・支援を受けながら考えた方が良いかもしれません。