「終活を始める」・・・。
そもそも、どんな事をしたら、「終活を始めた」ことになるのでしょうね?
様々な高齢者の終活を支援してきて、何度も何人もの人に対して感じた事
「もっと早く、取り掛かっていれば、もっと楽に安く安心できたのに」
この想いを基に、以下、記します。
1.終活の情報を集めれば、終活を始めたことになる?
新聞や雑誌で、終活に関わる記事を読む。あるいはテレビ番組を観る。
終活に関するセミナーに出席する。
このようにして、終活の情報を集め始めることは大切な1歩です。
私も、そう思うし、セミナーでも言っています。
でも・・・。
「話しを聞いて終わり。」
「エンディングノートをもらってきて終わり。」
そんな風になっていませんか?
大切なことは、次の2歩目を踏み出すこと。
例えば、エンディングノートの1ページ目を書く。
財産の一覧表を作る。現在の収入と支出を計算してみる。
延命治療に対する自分の考えを紙に書く。
緊急連絡先のメモを財布に入れる
……。
情報収集の後の、具体的な2歩目が大切です。
2.「認知症になる前に」から「体力・気力のあるうちに」へ
終活セミナーで、私はこれまで「遅くとも、認知症になる前に、終活に関連する契約をしたり、遺言を準備しましょう」と言ってきました。
でも最近、私の考えは少し変わってきました。
「体力や気力があるうちに、契約や遺言などの重要な事は済ませましょう!」
なぜ、私の考えが変わったのか...。
多くの高齢者と話しをするうちに、「老いる」ということの一面について、ようやく理解し始めたことにあります。
例えば、公務員や大企業で重要なポストで働いていた方。恐らく現役の頃は、優れた理解力や記憶力をお持ちであっただろうと考えられます。
でもそうした方でも、任意後見契約だとか死後事務委任だとか、その方にとって馴染みの薄かったであろう制度については、理解に時間がかかるし、面談の時に話したことを忘れてしまったりすることがしばしばあります。言葉がなかなか出てこないこともあります。
耳が遠くなると、説明を聞き直すこともあります。「何回も聞き直すのは申し訳ない」という思いから、「理解したふり」をしたけれど、本当は良く分かっていなくて不安が募る。
また、手が震えたり力が入らないため、名前や住所を書くのに時間がかかったり、読みにくい文字になったり。
それが「老いる」という事の一面なんです。
そして、そうしたご自身の老いを、恥ずかしいとか悲しいとか、そうしたマイナスの感情で捉えたり、中には「ふがいない」と怒りや焦りを表す方も。
「80歳を過ぎたら、ガクッと、いろんことが出来なくなってきた」というもうすぐ90歳の方の言葉が印象に残っています。
つまり、
「80歳を過ぎてご自身や家族の先行きを考え、任意後見契約だとか死後事務委任契約だとかを検討し始めたけれど、難しすぎて、なかなか理解できない」
とか
「今後を考えてお金を節約するために、自筆で遺言書を書き始めたけど、思うように字が書けない」
ということになってしまいがちなのです。
そして、誰にでもそうした時期がやってくる。
ですから、終活に関わる契約や遺言は
「自分はまだまだ元気で、1人で何でもできる」
と思えているうちに、
「とりあえず、将来に備えて準備をしてしまう」
くらいが丁度いいのではないかと、私は思います。
ということで、今回、私が一番申し上げたい事。
終活は、体力や気力があるうちに、済ませておきましょう!