第6章は、介護や死亡後の手続に必要になる「私」自身の情報を、家族や支援者に伝えることが目的です。
「第5章 私のために」との違いは、物・権利・人間関係についての事実を記すところです。
内容としては次の10項目です。
- 本籍地など
- 不動産
- 預貯金
- 保険
- その他の金融資産
- 貸付金、ローン・負債、保証人
- 自動車、その他の財産
- スマートフォン、パソコン
- 遺言
- 親族、友人・知人など
以上の中には、持っていない物もあると思います。
「持っていない」 とか 「書くべきことがない」場合には、「無い」と書くとか、赤線で抹消するなど、何らかの対応をしましょう。
なぜなら、「持っていない」からといって何も記入せずにいると、読む人は「『無い』のか『有るのに書かなかったのか』あるいは単に書き忘れたのか」、判断できずに困ってしまうからです。
Table of Contents
(1) 本籍地など
連絡帳の第6章のはじめは「(1)本籍地など」と題しました。
このページには、本籍地と戸籍の筆頭者(あるいは戸主)の記録を書きます。
覚えている範囲でかまいません。
例えば「宮城県仙台市青葉区中央******」までわからなくても、「宮城県仙台市」までは書いてもらえると、相続手続が少し楽になります。
できれば、現在の本籍地から順番に遡って書いてもらえると、さらに良いと思います。
少なくとも現在の本籍地と生まれた時の都道府県・市区町村が分かると良いのですが...。もし、結婚した経歴のある方は、その時の本籍地と筆頭者も記すと良いでしょう。
現在の本籍地も不明の場合には、現在の住民票のある都道府県・市区町村を書いてください。
本籍地が記載された住民票を取得することで、現在の本籍地と筆頭者がわかります。
なぜ「本籍地など」の情報が必要なの?
相続などの死亡後の手続には、「出生から死亡までの連続する戸籍」が必要です。
戸籍は取得する時には「本籍地と戸籍の筆頭者(戦前の戸籍の場合は戸主)」を手掛かりに、市区町村の職員に探してもらいます。
本籍地や筆頭者が変わると、戸籍に「いつ、どこの本籍地の、誰が筆頭者の戸籍に入った」かが記載されます。
出生から死亡までの連続する戸籍と取得する時には、現在の戸籍をスタート地点として、この「いつ、どこの本籍地の、誰が筆頭者の戸籍」をたどって、出生まで遡って取得していくのがスタンダードです。
ただこの方法の場合、何度も戸籍を異動している方だと、すべての戸籍をそろえるのに長い時間がかかります。私の場合、数カ月かかったこともあります。
そのため、本籍地や筆頭者が分かっている場合には、それを教えてもらえれば手続が楽になるのです。
自分の戸籍をとっておく
元気なうちに自分の戸籍を、出生の時まで遡って揃えておくと、大変助かります。
★ 帰化をした方の場合
帰化した方後は、日本国籍をもった方なので、生まれた時から日本国籍の人と同じです。
ただし、帰化した方が亡くなった場合、その方の相続人を確定するためには、「帰化する前」の家族等を調べる必要があります。
そのため、出生から帰化する前までに持っていたすべての国籍を、家族や支援者は知っておいた方が良いでしょう。
★ 外国籍の方の場合
外国籍の方の場合には、次の2つのパターンがあります。(その他に、無国籍の方なのか、多重国籍の方なのかという点も課題になります)
- 外国籍の方の死亡後の手続に備える。
- 推定相続人に外国籍の方がいる。
いずれにしても、手続の前提として「その外国籍の方の法律上の権利や義務を決めるのは、どこの国の法律によるのか?」という課題を解決する必要があります。
そのため、出生から現在に至るまでの国籍を、現在の家族や支援者は知っておいた方が良いと思います。