すでに、いくつかのメディアで「現在の新型コロナ感染への対策が施されている中で、地震等の災害が発生した場合の避難をどうすべきか」という問題が提起されています。
私は東日本大震災の時などに、避難所の中でインフルエンザの流行が懸念されたことを思い出しました。
でも、今回の新型コロナは毎年流行するインフルエンザよりも感染力が強い。その上、すべての人が免疫力を持っておらず、重症化のリスクもインフルエンザよりも高い。
だから、東日本大震災時やその後の災害の時の対応を参考にしてそれで済ませていたのでは不十分になる可能性が高いと私は思います。
しかも、すべての人が未経験の事態!
さらに、準備しておくべき物資の中には、入手が難しいものもある(例えばマスクや消毒液)!
加えて、多くの人が共同作業をすることもやりにくい(3密)!
それでも、防災対策を考える時に最も大切な「想像力」をフルに発揮し、少しずつやれることをやっておくしかないでしょう。
以下に、いくつかの私の思い付きを書いてみます。お読みになった方々で、さらにご検討ください。
※それぞれの避難所での対策を当事務所でも一緒に考えさせていただきます。まずはメールで御相談ください。(初回無料)
1.大雨対策ならば知人宅への事前避難。
もちろん、浸水や土砂災害の恐れがないならば、自宅で待機することが求められるでしょう。金銭にゆとりのある方ならば、ホテルへの避難もあるかもしれません。
知人宅へ事前避難する場合、次の点を合意しておく必要があるかもしれません
- 避難する側が持ち込む物 と 家を提供する側が貸す物 との区別
- 滞在費用の負担
- 滞在期間(特に、避難する側の家が被災した場合、いつまで滞在できるか)
- 感染リスクへの対応(特に、避難する側の配慮が求められることかと思います)
2.地震の時は、建物が倒壊する危険がないなら在宅避難。または車やテントを利用。
上記、1や2の避難者に対する、地域の自主防災組織や行政などによる次の配慮は欠かせません。
- 支援物資の提供
- 災害や支援、復旧に関する情報の提供
- 被災状況や、必要とされる支援、救護等の要望事項等の収集
さらに可能であれば事前に、避難所以外への避難を選択する人・世帯を把握しておくことが望ましいと思います。
3・避難所の使用割当の見直し
新型コロナ対策で大切なことの1つが「3つの密」を避けることでした。
現在の状況下で避難の在り方を見直すのは、この3密の解消の必要性からです。そのために知人宅への事前避難や在宅、車・テント避難が可能な人には、そちらを選択していただき、避難所を利用する人を減らすしかないと私は思います。
その上で、次にあげるような避難所の運営方法を見直すことが大切になるでしょう。
① 1つの世帯あたりの避難所での利用面積を広める。
② 世帯と世帯の間隔を広げる。
最近は、段ボール等で区割りをしている避難所もあるようですが、その準備がない所では3密を可能な限りで解消するために、人と人との間を開ける手立てが必要です。
例えば、通常の避難場所が「学校の体育館」だけを使用する計画であるならば、校舎の教室のいくつかも使用できるようにすることも考えなければならないと思います。
安全な場所ならば、地域の集会所やビルの会議室を提供してもらうことも検討してよいかもしれません。
③ 定期的に消毒をする。また、その当番を割り当てる。
④ 救護班や救護所を複数化する。
これは、発熱、咳等の症状から感染症(かぜ・インフルエンザも含む)への罹患が疑われる人を、他の人々とは離した方が良いと考えるからです。
また、避難所に備蓄しているマスクや手袋、防護服があるはずがないのでそれに代わるエプロンや、防護服代わりにするゴミ袋や、廃棄物を入れるゴミ袋には限りがあると思います。特にマスクやゴム手袋は、感染症対応班や消毒係に優先的に配当しやすくする必要があります。
⑤ 支援物資の配給場所および時間と、行政等からの情報を提供・掲示する場所を工夫。
⑥ 動線の整理をする。
例えば「正午より昼食の炊き出しを行います」という告知では、炊き出し場所に人々が殺到してしまうことでしょう。
だから時間をずらして支援物資を取りに来てもらうとか、配給場所を複数用意するなどの工夫をする必要があると思うのです。
これと同様のことは、行政などからの復旧や支援に関する情報提供にも言えると思います。
例えば、掲示板を何箇所かに分けて設置し、1つ掲示版に集まる人数を減らすことも考えられます。
人の動きが滞るところがあると、そこに一時的にでも3密の場面が出てきてしまいます。
それを避けるためにも、避難所の利用計画を見直し、人の動線を整理することが重要になるでしょう。
要するに
新型コロナの広がりが心配される現在、避難先での3密を避けるには
- 避難所利用者を少なくする手立て(自助も含めて)
- 避難所内での3密の解消の工夫
- その他、避難所内での感染の広がりを防ぐための手段
が必要なのだと思います。
その方法として、以上のことを思いついたのですが、ここまで読んでくださった方はどう思いますか?
課題
障がい者や介護が必要な高齢者、自宅療養をしている傷病者の避難行動は、新型コロナ対応においては一層の配慮や困難が予想されます。
こうした方々のために福祉避難所がありますが、新型コロナ等への感染リスクを考えると、受入施設の立場からすると難しい判断を迫られるような気がします。
最後に
沖縄は例年5月上旬には梅雨入りします。
過去には4月下旬に台風が鹿児島県に上陸した時もあったようです(昭和31年)。
地震には季節は関係なく、いつ発生してもおかしくはありません。
最悪の事態を想定し準備をしておくのが防災ならば、
今、新型コロナ感染拡大を防止しつつ、自然災害への対応をどうするのか?
を考えることは非常に大切なことであると思います。
自助と共助の両方を、少し考えてみてはいかがでしょうか?