災害公営住宅の家賃

大きな自然災害が毎年のように発生し、そのたびに、それまでの住まいを無くされた方が増えていきます。

災害で家を失った方の中には、自治体が整備した災害公営住宅に入居した方もいらっしゃるでしょう。入居当時は、比較的安い家賃で安心されたことと思います。

今朝(2019年9月14日)のNHKで、東日本大震災後に災害公営住宅に入居した方の家賃が値上げになりお困りになっていると、ニュースで伝えておりました。

出勤後に調べてみると、このことは地元紙の河北新報が8月14日に同種の問題を報じていたのですね。

なぜこうしたことが起きるのか、法律や制度について調べてみました。短時間なので理解不十分のところがあるかもしれませんが。

まず、災害公営住宅も一般の公営住宅と同様に「公営住宅法」を根拠にしているようです。

公営住宅法の目的は「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転嫁することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」となっています。

そして家賃は同法16条第1項で「公営住宅の毎月の家賃は、毎年度、入居者からの収入の申告に基づき、当該入居者の収入及び当該公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数その他の事項に応じ、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で、政令で定めるところにより、事業主体が定める」と定められています。

事業主体が定めるので、仙台市についてみてみます。

仙台市では、次のような世帯ごとの月額の所得に応じて、家賃が4段階(裁量階層を入れると6段階)に、その住宅ごとに定められています。

世帯所得月額

平成26年度完成の高層住宅、4Kのおよそ家賃例

0円~104,000円
104,001円~123,000円
123,001円~139,000円
139,001円~158,000円
158,001円以上 申込みができません(裁量階層世帯を除く)

つまり、158,000円を超えると公営住宅には裁量階層世帯を除いて入居できない決まりになっています。では、裁量階層世帯とは何か。国土交通省住宅局の解説によると、障がい者や被災者で世帯収入が一定額未満の世帯です。仙台市では214,000円が上限です。

ただし、激甚災害に指定された場合は、災害発生の日から3年間は、災害によって家を失った方には収入条件は関係なく入居募集に応募できるんです。

しかも、宮城県によれば災害公営住宅が完成してから10年間は、収入の低い方を対象に家賃を特別に低く設定しています。ただし、6年目からは段階的に家賃を引き上げていくのです。

災害公営住宅といえども、公営住宅法の目的に適うように入居希望者を公平に扱わなければなりません。ただ、被災してから数年は、生活再建のために優遇措置を設けるなどの補助を受けられる。逆に言えば「その優遇期間内に生活を再建してください」というのが、この制度の趣旨なのかなと私は思いました。

だから、被災された方が災害公営住宅に入居して遅くとも10年後には、他の公営住宅入居者と同条件で住むことは仕方がないとも言えます。

けれど、問題があります。

東日本大震災後の災害公営住宅は平成25年以降に完成したものばかりです。つまり、他の公営住宅に比べ新しい。これを近隣の民間賃貸住宅と同様の家賃設定にすると、当然、他の公営住宅より高額にならざるを得ません。

これではもともと年金生活をしていた高齢者が、そのまま災害公営住宅に住むには家賃負担が大きいと思います。(病院への通院費や交通費負担も加わる・・)

住宅ローンを抱えた状態で、家を失った方もいます。震災後に私的債務整理に関するガイドラインが整えられ、これによる手続きを踏めばローン残額を免除されます。けれども、2017年3月の報道によると、この制度への申込みが5755件あったのに対し、ローンが免除されたのはその4分の1程度だそうです。すると、4300件以上の人は、そのローンを抱えたまま生活再建しなければなりません。支払えなければ自己破産になるのでしょう。中にはある程度の所得を得ている人がいるかもしれませんが、ローンを支払いながら家賃も負担する。住居費用が他の人の倍以上になる計算です。

仙台市の市営住宅募集の案内の中の「2 ご存じですか」の項には、こんなことが記されていました。

市営住宅は、市民の財産です

もちろん、市営住宅は税金から建てられているのだから市民の財産です。災害公営住宅は国の補助もあって建てられているから国民の財産とも言えるかもしれません。

では、市民や国民は、災害公営住宅に入居されている被災者が、年々家賃が高額になり(月8万とか10万とかになる例もあるらしい)ることで苦しんでいることをどう考えるのでしょうか?

他の安いところに移ればいい。

そうかもしれません。でも、住まいや持ち物一切を一瞬で失い、長く狭く寒く暑く湿気の多い仮設住宅を転々とし、ようやく「被災者のために建てられた災害公営住宅」に落ち着いたと思ったら、家賃が年々上がり生活が苦しくなっていく人々に、また、「引っ越せば」というのでしょうか?

もちろん、他の生活困窮者との公平性の問題もあります。

だからこそ、本来は、政治の出番なのではないですか?

私たちは、こうした問題に真剣に向き合い、解決を図ろうとする人こそ、首長や議員に選ぶべきだと思うのです。

この長いブログの結論は、私たちの身近な問題の解決を図るのが政治の大事な使命の1つなのだから、これにふさわしい人を首長や議員に選びましょう、ということかな。

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