60歳からの終活~連絡帳第6章(2)不動産

当事務所が作ったエンディングノート「~からの連絡帳」の第6章に、不動産についての情報をまとめるページがあります。

ここに記入するのは、自分の名義の不動産だけではありません。

借りていたり、他の人と共同名義の不動産についても書くようにします。

不動産の売買や相続については、一歩間違えると大きなトラブルにつながります。特に、次の6つの注意事項については相続する方が戸惑わないように、詳しい情報を残す、あるいは伝えておくようにした方がよいと思います。

★御本人が元気なうちに、権利関係等を整理しておくこともお考え下さい。

要注意1 抵当権等がついている不動産

ローンを完済したのに、登記から抵当権を抹消していない場合には、できれば元気なうちに抹消登記をした方が良いと思います。

ローンがまだ残っている場合は、

団体信用生命保険(略して団信)に加入しているかどうかを、連絡帳(エンディングノート)に必ず書きましょう!

団体信用生命保険に加入しておらず、しかもローンがまだ残っている場合には、その不動産を受け継ぐか、相続放棄をするかを相続人は判断する必要があります。

また、その不動産を相続する場合でも、「実際に相続するのが誰なのか」ということを、債権者である金融機関と協議しなければならなくなります。

以上の点を踏まえて、エンディングノートには詳しい情報を残してください。

要注意2 私道の持分

これは私の失敗経験を踏まえて、強く申し上げます。

自宅前の道路などが私道の場合、その私道についても所有している(あるいは共有持分がある)ことがあります。

しかし、私道の持分があるということが固定資産税納税通知書に書かれていなかったり、自宅の登記簿等を見てもわからなかったりします。

だから、私道の持分等がある場合には、これも忘れずに連絡帳やエンディングノートに書いてください。

さらに、不動産を購入した時の売買契約書や権利証も整理して、ご家族が分かるように保管しましょう。

要注意3 相続手続をしていない不動産

「自分名義の不動産だと思ったら、祖父の代から名義を変えていなかった」

という事が多くあります。

 こうなると、自力で解決することは難しいので、早めに弁護士か司法書士に相談することをお勧めします。

 相談した結果を踏まえて、連絡帳への記載の仕方などを検討しましょう。

要注意4 固定資産税納税通知書に書かれていない不動産

市区町村から毎年送られてくる固定資産税納税通知書。相続の御相談をお受けする時は、納税通知書を見せていただいております。

でも、この書類に記載されない不動産があります。

例えば、評価額が0円の不動産。これは納税通知書には書かれません。

しかし納税通知書に書かれていなくても、自分名義だったり、持分がある不動産については相続手続をする必要があります。

こうした不動産については連絡帳に書いておくほかに、登記簿謄本等を取得しておくなど、ご家族が困らないようにしておきましょう。

要注意5 仮登記の不動産

仮登記とは、何らかの事情で本来の登記ができないため、将来の登記の順位を確保するためにする予備的な登記のことです。

仮登記の不動産であっても相続の対象になり得ますので、ご家族等にはその存在を知らせておくべきです。

また、「なぜ本登記ができないのか?」という情報も相続手続に必要になるかもしれません。

したがって、仮登記の不動産がある場合には、連絡帳に記載するほかに、本登記ができない理由あるいは本登記をするための条件等も残すようにしましょう。

要注意6 農地と山林

農地や山林は、相続する時には登記をすることの他に、農業委員会や市区町村、水利組合への届出などいくつかの手続が必要になります。

しかもこの他の手続が必要か否かは、登記簿謄本を見てもわかりません。仮に登記簿謄本等の地目に「農地」と書かれてあっても、現在の土地の状況や農業委員会が作成・保管している農地台帳への記載の有無によっても手続が変わります。

相続人であるお子さんが、農業や林業と関わらない生活をしている場合には、農地や山林に関する権利や義務、所属する組合等のことを御存知ないこともあります。

そのため、財産に農地や山林がある場合には、権利証や登記簿謄本だけでなく、農地台帳や隣地台帳の写しを保管しておくと良いでしょう。

また、土地改良区や水利組合に関する書類も整理しておきましょう。

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