昨日(9月9日)の台風で、被害に遭われた方々に、お見舞い申し上げます。
昨日朝のNHKのインタビューに「これから修学旅行に行くために、羽田空港に向かう」と答えていた高校生は、その後どうなったのでしょう?記憶によれば「とりあえず空港に集合」と学校から言われたから、羽田にタクシーで行こうとしていたらしいのです。学校からそう連絡されたのが、いつの時点だったのか?他人事ながら心配になってしまいました。
さて、当事務所は昨日は臨時休業にいたしました。午後から中小企業庁主催の「中小企業強靭化対策シンポジウム」がありましたが、これももちろん欠席です。
このことは、前日の夜には9割がた決めていました。
日曜の天気予報では、私のいる仙台は9日(月)のお昼くらいに暴風域が近接すること。この台風は小さいけれど、勢力が強い(960~980hPaほど)まま近づいてくること。仕事としては、月曜に何がなんでも事務所に出勤しやらなければならない仕事はなかったし、午後のシンポジウムは楽しみにしてはいたけど、体を張って聞かなければならない必須のものでもない。
以上が、臨時休業決定の主な理由。
結果的には幸いなことに、住まい周辺も事務所所在地も「台風が来た」というほどの荒れ方ではなく、普通に出勤し、シンポジウムにも参加できるような風雨でした。
ただ、こうなることは、つまり「臨時休業するほどのこともないかもしれない」ということは、日曜の時点でも予想はしていました。だから後悔はありません。シンポジウムはちょっと残念でしたけど、自分ではやむを得ない選択だったと思います。
そして、こうした「空振り」覚悟の、過剰とも言えるかもしれない安全志向こそが、防災には大切なのだと信じてもいます。
BCP(事業継続計画)は、災害発生後にできるだけ速やかに事業を再開し、損失を最小化するための計画と言えます。でも忘れてはならないのは、まず全ての関係者の人命を守るために最善を尽くすことです。命の安全が図られて、初めて事業が継続できるのです。
防災教育に携わってきた片田敏孝先生が、東日本大震災前に関わっていた岩手県釜石市の児童生徒に伝えてきた避難三原則「想定にとらわれるな」「その状況下において最善を尽くせ」「率先避難者たれ」は、防災への取組の基礎基本だと私は思っています。
(参考「 子どもたちに『生き抜く力』を ~釜石の事例に学ぶ津波防災教育~」 片田敏孝著 フレーベル館)
今回の当事務所の臨時休業は、この原則にそったものだと私は言いたいのです。
防災やBCP策定支援を業務の1つとしている私は、そこは譲れません。
羽田に向かった高校生は、修学旅行に行くどころか、羽田に行くことすら困難だったでしょう。もし、連絡が行き違いで自宅に戻ることになったとき、何時くらいに家についたのでしょうか?
昨日のニュースで見た出勤のために駅で電車を待つ人たちの長蛇の列。送電線の鉄塔やゴルフ場の防球ネットが倒れ、電柱が折れ、死亡された方すら出た関東での光景です。
あれはやむを得ないことだったのでしょうか?いつにも増す長時間の混雑の中の出勤で、仕事になったのでしょうか?事前になんらかの対策はできなかったのでしょうか?
台風シーズンは、まだ続きます。
それぞれの職場で、対応を考えてみてはいかがですか?