少子高齢化と人口減少の時代の、高齢者の生活を支えることについて思うこと

イラストは、KONIさん(illust ACより)

近頃「あゝ、少子高齢化って、こういう事なんだなぁ」と身に染みて感じることが、多くなりました。

例えば、終活相談にいらっしゃった高齢者の家族構成を聞いていて。

あるいは、地域包括支援センターの職員さんたちと話をしていて。

相続手続をしている中で。

そこで私が感じたことを、記してみます。

1.少子高齢化の社会について。私のイメージ

 「現役世代の人が1人で、高齢者を1人~2人を支える社会」

ちょっと前まで、私もそうしたイメージをボンヤリ抱いていました。冒頭のイラストのように。

 このイメージだけでも十分「大変な世の中になるなぁ」と思いますが、実務を通して感じることは、もっと深刻です。

 実際に、次のそれぞれの場合について、想像してみてください。

 【例1】子供がいない高齢者夫婦の場合

 このお二人の遺産は誰が受け継ぐでしょうか?

 誰が死後の手続をするでしょうか?

 このお二人のうち、どちらかが介護が必要になったら?

【例2】障害のある子どものいる高齢者の場合

自立している(あるいは、自立できる)障害者は除いて考えてください。

もし、高齢者に「万が一」のことが起きたとします。

そうすると、この「万が一」への対応は、高齢者ご本人の他に、そのお子さんのことも考える必要がでてくるのでは?

2.少子高齢化の時代の、高齢者を支える者は?

 上の【例1】の子供がいない高齢者のケースで、この高齢者夫婦を支える者について考えてみます。

 実際に、終活相談などでお聞きする回答は、だいたい次の4つのうちのいずれかです。

  ① 兄弟姉妹

  ② 甥・姪

  ③ 友人・知人

  ④ 誰にも頼りたくない。

 兄弟姉妹から「大丈夫、いざとなったら、面倒見るから」と言われている方も大勢いらっしゃいます。

 それでも、一度、立ち止まって考えてみてください。

 「高齢になっている兄弟姉妹・友人・知人に、あなたの世話をしてもらえますか?」

 では、甥・姪はどうでしょう?

 甥・姪の両親が御存命であれば、もしかすると、その両親の世話を甥・姪はしているかもしれません。さらに、甥・姪が結婚していれば、配偶者の親も存命かもしれません。

高齢者の支援を業務とする事業者に頼る

 近しい親族や友人に頼れないのであれば、高齢者を支える者の選択肢としては、高齢者の支援を業務とする事業者が残ります。

 でもテレビや新聞では、「〇〇業界は人手不足」というニュースがしょっちゅう報じられています。

 つまり、高齢者を支える事業者も不足する可能性が高い。実際、介護業界は既に深刻です。

 ということは、自分が支援を必要になった時、支援をしてくれる人が見当たらないという事態も十分にあり得るのです。

3.考え得る1人1人の対策

 では、「将来、必要になった時に、支援をしてくれそうな人が見当たらない」からといって、「誰にも頼らない」という選択はどうなのでしょうか?

 「誰にも頼らない」ということは、不可能です。

 これは、相談の場面でそういう事を口にする人も、「不可能」と知っていながらおっしゃっています。「誰にも頼らないと決意している」のではなく「どうしたら良いか分からない」のだと、私は思います。

 実のところ、私も「こうしたら絶対大丈夫!」という回答は持ち合わせていません。

 何らかの制度的な解決を期待したくもなりますが、そうした何らかの制度ができたとしても、効果は限定的だろうと私は思います。

 ですから、「大丈夫とは言えないかもしれないけれど、とりあえず、次のような準備をしておこう」と高齢者1人1人が工夫していくことが大切なんだろうと思います。

 具体的な方法は、それぞれの方の状況に応じて考えていくべきかと思いますが、とりあえず将来の”もしも”への対策を考える「目標」として次の2点をお示しします。

  1.  支援してもらう内容を、減らす。
  2.  支援の時間が短時間で終了するように、準備する。

対策を考える際の心構えとしては、以前のような「家族にお任せ」を改めることです。

たとえ頼りになる家族がいたとしても、その人の負担を少しでも軽くするように準備すべきかと思います。

具体的に検討する場合には、まず、次の制度・契約・サービスについて調べ、相談し、お考えになると良いと思います。

  • 見守り契約
  • 任意後見契約 と 財産管理委任契約
  • 民事信託(家族信託)
  • 信託銀行等による高齢者向けのサービス(代理出金機能のあるもの)
  • 遺言
  • 死後事務委任契約

以上の中で、遺言と死後事務委任契約は、財産の有無に関わらず重要な手段として検討してください。

なお、これとは別にお住まいの地域にある地域包括支援センターの催しには、元気なうちから参加しておくと良いです。高齢者について困った時の最初の相談先として最適です。

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