
令和8年も終活に関わるいくつかの制度の法改正が行われました。
- 身寄りのない人等の身元保証や死後事務の公共サービス(社会福祉法)
- 成年後見制度が大きく変わる(民法等)
- 遺言書にハンコを押さなくてもよくなる(民法)
- パソコンで作成した遺言書を法務局に預けるサービス(民法等)
これらの中にはニュースや新聞でも度々取り上げられたものもあるので、「制度が変わる」「新しい制度ができる」ことは御存知の方もいらっしゃることでしょう。
では、その新しい制度はいつから始まるのか?
これは終活のスケジュールにも関わることですので、これから終活に取り組もうとしている方にとっては大切な情報です。
でも、まだ正確な日程は公表されていないので、今回は「おおよその制度スタートの目安」をお示しします。
それぞれの新制度がスタートするまでは、現在の法律に従う必要がありますので、くれぐれもご注意ください。
なお、一つ一つの改正の内容は、別の投稿で説明いたします。
Table of Contents
身寄りのない人等の身元保証や死後事務の公共サービス
入院するときや高齢者施設に入居するときなどに求められる「身元保証」。

入院や退院の手続き、入院費などの支払いを本人に代わって行うことが大きな役割ですが、一人暮らしの方にとって、こうした役割を誰に頼むのか?という事が大きな悩みの種です。
民間の事業者が優良で身元保証サービスを提供していますが、料金が高額で、全ての人が気楽に利用できる状況ではありません。
そこで、今回の法改正で経済的な事情で民間のサービスを利用できない方も安心できるように、社会福祉サービスとして提供できるようになります。
日程は現時点(令和8年7月17日)時点では公表されていないようですが、おおむね今後2年以内にスタートする見込みです。
ただ、この制度の担い手の準備状況は地域によっても変わると思います。ですから、私たちがいつから利用可能なのかどうかは地域の情報を待つしかないと思われます。
※公布の日(令和8年6月25日)から2年を超えない範囲内で政令で定める日。
成年後見制度が大きく変わるのは
成年後見制度は、「法定後見」と「任意後見契約」の2つに分けられます。
今年の法改正で大きく変わるのが、法定後見の方です。任意後見契約の方も法規定は一部変わります。
私の印象では法定後見が利用しやすくなることに伴い、任意後見契約の代理権(後見人に任せる事務の内容)が大きく見直されるのではないかと思います。
今回の法改正により、例えば次のような成年後見制度の利用が考えられます。
「将来、認知症になった場合の預貯金や金銭の管理、支払い関係等の事務は親族と任意後見契約を結んでおく。現在の持ち家の売却のような一生に1回程度の出来事は、法律が変わった後の法定後見で対応する。」
というのも、法定後見は「家庭裁判所が認めた事務だけを行い、その事務が終了したら後見人を辞めることができる」ようになるからです。また、任意後見では任意後見監督人をつけることが必須だったのが、場合によっては監督人をつけなくても良くなる(定期的な家庭裁判所への事務の報告だけですむ)からです。
と言っても「そもそも成年後見って何?」という方にとっては、「なに言ってるの?」という話ではありますが...。
この法改正は非常に重要なので、機会を改めて投稿いたします。また、セミナーも企画する予定です。
この新成年後見制度は令和10年(2028年)の12月末までにスタートします。
ですから「今」終活を始めた方やご家族にとっては、この新成年後見制度の概要を理解しておくことが大切です。
※公布の日(令和8年6月24日)から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日。
遺言書にハンコを押さなくても良くなるのは
現在の手書きで作る遺言書には、署名の他に押印が必要です。
でも、公証人に作成してもらう公正証書遺言では、既に押印をしなくなっています。
しかも現在、利用が増えている「自筆証書遺言保管制度」(手書きの遺言書を法務局に預かってもらう制度)や、次に紹介する遺言書をパソコンで作れる制度では、法務局の担当者が、本人と面談し遺言書が本人の意思を書いてある事を確認することになっています。
そうしたこともあって、手書きの遺言書に押印しなくても良いことになりました。(これまで通り、押印しても大丈夫です)
この制度は来年、令和9年7月までにスタートする予定です。
ですから、それ以前に手書きの遺言を作る方は、押印が絶対に必要ですのでご注意ください。
※公布の日(令和8年6月24日)から1年を越えない範囲内で政令で定める日。
遺言書をパソコンで作成し、法務局に預けられるようになるのは
手書きの遺言は手軽で安価だけど、本文を全て自分で書かなければならず、間違えた時の修正も面倒。また死亡後にトラブルが起きることが多いなどの欠点もありました。
一方で、公証人に作ってもらう公正証書遺言は、法律の知識がなくても正確な遺言書ができる一方で、証人を2人用意しなければならない他、費用もそれなりにするため、利用をためらう人も多くいました。
今回の法改正で、パソコンで作った遺言書に本人が署名し、法務局に預かってもらうことで有効な遺言書になることになりました。
これによって、手書きの苦労から解放され、誤字脱字を見つけた場合でも簡単に修正できるため、遺言書を作るハードルが一気に下がると思います。
ただ、この制度は令和11年(2029年)の7月までにスタートすることとなっています。
それまでは手書きの遺言か公正証書遺言か、あまり利用されていない秘密証書遺言で作る必要があるのでご注意ください。
※公布の日(令和8年6月24日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日。